ENDOSCOPIC FORUM for digestive disease

Volume 38, Issue 1, 2022
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<臨床研究>
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大腸憩室出血に対する最適な診断と内視鏡的止血術の検討
38巻1号(2022);View Description
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当院で直近6 年間に大腸憩室出血と診断された重複例を含む延べ78 例を対象に,出血源同定の重要な因子および有用な内視鏡的止血法を検討した。最終血便から内視鏡検査までの時間は同定群で有意に短く,24 時間以内の内視鏡検査ではそれ以降より有意に出血源同定率が高かった。24 時間以内の内視鏡施行下では,完全な前処置で同定率は高い傾向にあり,入院期間は同定群で有意に短かった。止血法の検討では,内視鏡的バンド結紮術はクリップ・凝固法と比較して有意に入院期間を短縮させた。大腸憩室出血の出血源同定のためには,少なくとも最終血便から24時間以内に完全な腸管洗浄後の内視鏡検査が必要と考えられた。内視鏡からの腸管内洗浄を水の代わりに透明なgel を注入するgel immersion endoscopy や透明ロングフード装着などの工夫を加えた上で,内視鏡的バンド結紮術での止血法が有用と考えられる。
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<症例報告>
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- [食道]
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広範な食道裂創を来した好酸球性食道炎の1 例
38巻1号(2022);View Description
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症例は66 歳,男性。朝食中に喉の詰まりを感じ,無理に吐こうとしたところ吐血したため当院を受診した。Mallory‒Weiss 症候群を疑って上部消化管内視鏡検査を施行したところ,食道中部から下部にかけて約10 cm の広範な縦走する裂創を認めた。裂創周辺の食道粘膜には気管内腔に類似した多発輪状溝がみられ,背景に好酸球性食道炎があることを疑った。裂創周囲より鉗子生検を行ったところ食道粘膜内に多数の好酸球浸潤を認めた。胸部CT では縦隔気腫は認めず,食道壁の軽度肥厚がみられた。保存的治療として,絶食と補液,酸分泌抑制薬の投与を行った。数日で症状は改善し,1 か月後の上部消化管内視鏡検査では裂創は瘢痕化していた。欧米では好酸球性食道炎の病悩期間が長くなると食道狭窄や食道穿孔などの様々な合併症が発生することが報告されているが,本邦では重篤な合併症の報告は比較的まれである。穿孔は伴わなかったものの,広範な食道裂創を来した広義の好酸球性食道炎の1 例を報告する。 - [小腸]
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Billroth Ⅱ 法再建後に発生した十二指腸癌による閉塞性黄疸に対し,EUS 下経胃経肝的に挿入した金属ステントが腸管に脱落した1 例
38巻1号(2022);View Description
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症例は80 代,男性。20 代の時に胃下垂のため,Billroth Ⅱ 法再建術を施行されている。20XX‒3 年6月に輸入脚盲端に十二指腸癌を認め,化学療法を開始した。20XX‒1 年12 月に食欲不振を理由に緩和医療に移行したところ,20XX 年2 月に肝障害を認め,腫瘍増大に伴う閉塞性黄疸と診断した。十二指腸乳頭部への腫瘍浸潤により,経乳頭的ドレナージが不可能であったため,EUS 下経胃経肝的ルートで金属ステントによるドレナージを行った。その後肝障害は改善したが,6 月に再度肝障害増悪を認め,CT にて体内に金属ステントは同定できなくなっていた。腸管への脱落と判断し,すでに瘻孔は閉鎖していたため,EUS 下に再度より太い径の金属ステントを留置した。その後7 か月ステント再脱落は認めていない。経胃経肝的に挿入した金属ステントが腸管に脱落した1 例を報告する。 -
カプセル内視鏡によって乳糜漏出を確認した腸リンパ管拡張症の1 例
38巻1号(2022);View Description
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症例は62 歳,男性。X‒1 年両下肢の浮腫,X 年2 月腹部膨満感を自覚し,X 年5 月近医を受診したが,検査で異常を指摘されなかった。X 年6 月25 日排便後に意識消失し転倒,その後冷汗を自覚したため当院を受診した。低蛋白血症,低アルブミン血症,右胸水と腹水を認め,精査加療目的に入院した。腹水試験穿刺を施行し乳糜腹水を認めた。α1‒アンチトリプシン・クリアランス高値を示し,蛋白漏出性胃腸症と診断した。上部消化管内視鏡検査を行い十二指腸より生検し,粘膜固有層でリンパ管の拡張を認めた。下部消化管内視鏡検査では回腸末端より生検を行いリンパ管の拡張を認めた。カプセル内視鏡検査で白色絨毛,散布性白点を認め,粘膜からの乳糜漏出を直接確認した。以上より,腸リンパ管拡張症と診断し,低脂肪食を指導し軽快退院した。本症例のようにカプセル内視鏡で粘膜からの乳糜漏出を直接確認できた症例はまれであり,文献的考察を交えて報告する。 -
高度貧血を契機に発見された空腸Pyogenic Granuloma の1 例
38巻1号(2022);View Description
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症例は70 代,男性。黒色便とふらつきを自覚したため前医を受診した。血液検査にてHb 5.6 g/dLと高度貧血を認め,腹部骨盤部造影CT に加えて上部および下部消化管内視鏡検査が施行されたが,異常なく,小腸の精査目的に当科紹介となった。小腸カプセル内視鏡検査を施行し,空腸に血液の付着したびらんを伴う隆起性病変を認めた。経口的にダブルバルーン小腸内視鏡検査を施行し,空腸中部に約10 mm大の発赤調で白苔が付着したびらんを伴う易出血性の広基性隆起性病変を認め,生検にて血管腫が疑われた。この病変が出血源と考えられ,その近傍に点墨およびマーキングクリップを施行し,待機的に腹腔鏡下小腸切除術を施行した。術後病理組織学的診断では内部に平坦な内皮に覆われた血管腔の集簇を認め,びらんや炎症細胞浸潤を伴う肉芽組織様の像を呈しており,化膿性肉芽腫(pyogenic granuloma)と診断した。上部および下部消化管内視鏡検査で出血源が不明な消化管出血において鑑別にあげるべき疾患である。 -
ダブルバルーン小腸内視鏡検査にて術前診断し得た出血性空腸リンパ管腫の1 例
38巻1号(2022);View Description
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症例は29 歳,男性。黒色便,血便,ふらつきなどの自覚症状はなかったが,検診で高度の貧血を指摘され紹介となった。腹部CT 検査にて空腸に約30 mm の低吸収腫瘤を認め,貧血の原因と考えられた。ダブルバルーン小腸内視鏡検査を行ったところ,遠位空腸に約2/3 周性の軟らかい粘膜下腫瘍様隆起を認めた。表面は黄白色顆粒状の絨毛が密に存在し,所々に血豆様の発赤部を伴い,複数箇所から湧出性出血を認めた。内視鏡像からリンパ管腫と診断し,外科にて小腸部分切除術を施行した。組織学的に粘膜固有層から漿膜下層にかけて拡張した大小のリンパ管の集簇を認め,表層部では拡張したリンパ管内への赤血球の漏出と間質への出血が散見された。異型は認められずリンパ管腫の所見であった。小腸リンパ管腫はまれな疾患であるが,消化管出血の原因となることがある。今後,小腸内視鏡検査の普及により小腸リンパ管腫の発見機会の増加も予想され,特徴的な内視鏡像を知っておく必要がある。 - [膵]
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急速な増大を認めた低分化型膵管癌の1 例
38巻1号(2022);View Description
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症例は77 歳,男性。2009 年CT で膵頭部に3 mm の囊胞性病変を認めたため,膵癌の高危険群として経過観察中であった。2011 年に囊胞性病変は8 mm に増大したが,以後は変化を認めなかった。2020 年5 月のEUS で囊胞性病変の尾側主膵管の拡張と10 mm の不整形の充実性病変を新たに認めた。6 月のUSでも主膵管狭窄と充実性病変を認めたが,造影CT ではいずれも指摘できなかった。ERCP では膵頭部主膵管の不整な狭窄と尾側膵管の拡張を認めたが,膵液細胞診はclass Ⅱ であった。病理組織学的確定診断は得られなかったものの,US とEUS にて指摘された充実性病変が微小膵癌である可能性が高いと判断した。最終的にcStage ⅠA の膵管癌と臨床診断し,2020 年7 月27 日に亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。最終病理組織学的診断は18×12×12 mm の低分化型腺癌,pT3(pCH1,pDU1,pPV1),pN0,M0,pStage ⅡA であった。本例は診断後約2 か月半の間に急速に増大し,術後301 日目に死亡しており,分化度の低さが急速な増大と予後不良に関与していたと考えられた。 -
FDG‒PET/CT が診断の契機となった膵神経内分泌腫瘍(pNET, G1)の1 例
38巻1号(2022);View Description
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症例は80 歳台,男性。多発性骨髄腫で血液内科を通院していた。病状評価のために行われたFDG‒PET/CT 検査で,膵尾部に10 mm 大のFDG 集積を認めた。自覚症状はなく,腹部単純CT では膵に明らかな腫瘤性病変は指摘されなかったが,MRI ではT1 で低信号,T2 でやや高信号な膵腫瘤を認めた。また超音波内視鏡検査では,膵尾部に境界明瞭で類円形の内部が均一な13 mm 大の低エコー腫瘤が描出され,同部位に対して超音波内視鏡下穿刺吸引法(endoscopic ultrasound‒fine needle aspiration: EUS‒FNA)を施行した。細胞異型は軽度で核分裂像は<1/5 HPF,neuroendocrine cell tumor,G1 の所見であった。今回われわれは,膵神経内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumor: pNET)をFDG‒PET/CT 検査にて偶発的に発見できた1 例を文献的考察を加えて報告する。 - [EUS-FNA]
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肺癌転移と直腸癌術後再発の鑑別に副腎腫瘤に対するEUS‒FNA が有用であった1 例
38巻1号(2022);View Description
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症例は70 歳台,男性。貧血精査にて進行下部直腸癌と左肺下葉に区域性の濃厚陰影を認めた。肺病変は経気管支生検にて悪性所見なく,経過観察となった。下部直腸癌(cT3N1bM0,cStage Ⅲb)に対し,化学放射線療法後に手術が施行された(ypT0N0M0)。半年後に左肺下葉腫瘤の増大と転移(縦隔リンパ節,肝,左副腎,骨)を疑う所見があり,肺病変からの経気管支生検再検にて扁平上皮癌を認め,直腸癌と肺癌の多重癌と診断された。転移巣は肺癌転移と直腸癌術後再発いずれの可能性もあり治療法の選択が問題となった。左副腎腫瘤に対し超音波内視鏡下穿刺吸引生検を行い,肺病変と同様の扁平上皮癌を認め,肺癌の副腎転移と診断した。これにより肺癌に対して化学療法が開始された。左副腎腫瘤に対する超音波内視鏡下穿刺吸引生検が,多重癌における鑑別ならびに治療方針決定に有用であった1 例を報告する。
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<会告>
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第7 回大腸ESD ハンズオンセミナーin 北陸/第119 回日本消化器内視鏡学会北陸支部例会/第93 回日本消化器内視鏡学会甲信越支部例会/第31 回日本消化器内視鏡学会北陸セミナー/第34 回日本消化器内視鏡学会甲信越セミナー
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<支部例会を終えて>
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第91 回日本消化器内視鏡学会甲信越支部例会を終えて/第91 回日本消化器内視鏡学会甲信越支部例会 優秀演題受賞者
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<抄録>
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<支部例会を終えて>
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<抄録>
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<その他>
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