脳神経外科速報

Volume 34, Issue 2, 2024
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目次
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第1特集【Neurosurgeon が知っておくべき神経学的診察】
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【総論:脊椎脊髄外科の診察①】診察の手順とポイント
34巻2号(2024);View Description
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筆者らが考える脊髄脊椎外科の魅力は,正確な診断と適切な手術治療により患者の症状を劇的に改善できることです.脊髄脊椎疾患の治療経験が少ない先生は,慢性硬膜下血腫に対する穿頭ドレナージ術,あるいは三叉神経痛に対する微小血管減圧術をイメージしてください.これらの疾患では多くの症例で術後,劇的に症状が改善し,患者と症状改善を喜びあうことができます.実はこのような経験を最も多くできるサブスペシャリティの一つが脊髄脊椎外科です.高齢化社会を迎える現在,変性疾患である脊髄脊椎疾患の患者数は極端な増加傾向にあります.ぜひ,若手脳神経外科の先生には,脊椎脊髄外科を自身の専門分野の一つにしていただき,この喜びを実体験していただきたいと思います. さて,そのために必要なのは,正確な術前診断と,適切な手術方法の選択,そして確実な手術手技の実行です.手術方法の選択と確実な手術手技の実行は他稿に譲り,本稿では特に,正確な術前診断につながる神経診察のポイントについてお話しします. 当然のことながら,診断を見誤るといくら綺麗な手術をしても,患者の症状は回復しません.また,「MRI 画像において狭窄が確認できるので除圧しよう」などのように,画像を治すのを主目的とする手術は厳に慎まないとなりません.症状の原因である責任病変を神経診察により見極め,それを画像所見と照らし合わせ,正確な術前診断に到達することこそが重要です. -
【総論:脊椎脊髄外科の診察②】画像診断
34巻2号(2024);View Description
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神経疾患の診断において画像検査は重要なツールである.こと手術対象となるような脊椎脊髄疾患の診断を決定づけるのは,MRIをはじめとする画像診断であり,手術方針の決定や術前計画にも画像情報が欠かせない.頭部と異なり,脊椎脊髄は頭蓋頚椎移行部から仙椎まで非常に広い領域にわたることから,病歴や神経学的所見から障害神経レベルを推定し,関心領域を絞り込むことで効率よく画像診断を進めることが肝要である. 本稿では画像診断における留意点を,優先度が高いと考えられる検査順に述べていきたい. -
【症状・診断・治療①】救急疾患:外傷・硬膜外血腫
34巻2号(2024);View Description
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脳神経外科医が救急当直の際に遭遇する可能性が高い脊椎脊髄疾患として,脳神経外科レジデントが知っておくべき病態は,①脊椎脊髄外傷,②脊髄硬膜外血腫,③化膿性脊椎炎・脊髄硬膜外膿瘍,④椎間板ヘルニアによる馬尾症候群が挙げられる.このなかで,本稿では脊椎脊髄外傷,脊髄硬膜外血腫について解説する. -
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【症状・診断・治療③】脊椎脊髄疾患:腰椎
34巻2号(2024);View Description
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「脳神経外科医が脊椎変性疾患を診る?」「別に整形外科でよいのでは?」といった趨勢も,地域や施設によってはあると思われる.脳神経外科に入局して脊椎脊髄疾患の診療を行う施設で研修をしてきた筆者でさえ,心の奥底でそう思っていた.しかし,多くの脊椎脊髄外科医から学ぶ機会に恵まれ,治療によって良好な経過を辿る症例を数多く経験することで,いつしか脊椎変性疾患の診療が筆者の専門分野となっていた.また,脳卒中や脳腫瘍などの診療に携わってきた期間はけっして無駄ではなく,むしろ脊椎脊髄疾患の診療において大きなアドバンテージとなっている.脳神経外科医の腰椎変性疾患に対する抵抗が少しでも薄らぐことを期待し記述したい. -
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【症状・診断・治療⑤】脊髄髄内腫瘍
34巻2号(2024);View Description
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脊髄腫瘍は,脊柱管内およびその近傍に発生する腫瘍であり,硬膜外腫瘍と髄外腫瘍,髄内腫瘍に分類される.そのうち,脊髄髄内腫瘍の正確な発生頻度は不明であるが,原発性中枢神経腫瘍の2 〜4 %といわれており,極めて稀な疾患の一つである 1,2).MRIを含めた画像診断技術の進歩により,ある一定の診断精度は得られるようになったが 3-5),診断・治療戦略については確立されておらず,いまだに難渋することも少なくはない 6,7).本稿では,おもに脊髄髄内腫瘍の診断および非腫瘍性髄内病変との鑑別について解説する. -
【症状・診断・治療⑥】脊髄空洞症・くも膜囊胞
34巻2号(2024);View Description
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脊髄内外に髄液などの液体成分が貯留する疾患として,脊髄空洞症や脊髄くも膜囊胞が挙げられる.脊髄空洞症は髄液循環障害によって脊髄内部に液体成分が貯留し,空洞を生じる疾患であり,脊髄くも膜囊胞は脊髄外にくも膜に覆われた髄液の囊胞性病変が生じる疾患である.本稿では代表的な脊髄空洞症やくも膜囊胞の病態と特徴について記載する.
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第2特集【脳血管内治療の臨床テクニック② エキスパートの経験した困難症例<Part 2>】
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【脳動静脈奇形】複数のfeeder をもつ脳動静脈奇形の塞栓術
34巻2号(2024);View Description
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脳動静脈奇形(AVM)塞栓術での治療困難症例といえば,①治療戦略に困惑する多数のfeederをもつ比較的大きなAVM や,②穿通枝などカテーテルアクセスに難渋し,閉塞自体にリスクが伴うfeederをもつ小さなAVM があると思われる.後者は放射線治療の成績が良好であり,大きなリスクを背負ってまで血管内治療を行う必要はないと考えるが,前者は放射線治療を併用するにしても外科的摘出術を行うにしても血管内治療の重要性が非常に高いAVMであることは間違いない.ただし,AVM 塞栓術はあくまで補助的治療という立ち位置であることから,その有効性とともに高い安全性も求められる手技である. 本稿は複数のfeederを有するAVMに対して,安全で効果的な塞栓を行うために筆者が行っている塞栓方法と塞栓物質の使い分けを中心に解説する. -
【硬膜動静脈瘻】Dural AVF に対するTAE における種々のテクニック
34巻2号(2024);View Description
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液体塞栓物質であるOnyx の登場によりdural arteriovenous fistula(dural AVF)に対するtransarterial embolization(TAE)の占める割合が大きくなっている.今回,TAEにおける種々のテクニックについて解説する.
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Arts&Science
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【基本をマスター! 脳神経外科手術のスタンダード】 Paraclinoid lesionに対する前床突起削除,硬膜輪切開の基本とその応用:血管障害から腫瘍性病変まで
34巻2号(2024);View Description
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【専門医に求められる最新の知識 脳腫瘍】 放射線脳壊死の診断と治療
34巻2号(2024);View Description
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放射線脳壊死はMRI 画像上再発腫瘍との鑑別が困難であるため,臨床ではその判断に苦慮することがある.放射線脳壊死は古くから知られる放射線治療の遅発性有害事象であるが,その病態はいまだに解明されていない部分が多い.近年の研究では,血管新生と炎症がその病態の中心となっている可能性が示唆された.PET を含む新たな画像検査の登場によって,放射線画像診断能力の改善が期待されるが,現時点では確立した画像診断検査はない.治療は古くから副腎皮質ステロイドが有効であるが,長期投与では副作用が問題となる.近年では血管新生を阻害するベバシズマブや温熱療法であるlaser interstitial thermal therapy の有効性が報告されている.
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Life&Education
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その他
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Contribution
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【投稿論文:Case Report】 結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫の多発頭蓋骨転移に対し栄養動脈塞栓術と摘出術を併用して治療した1 例
34巻2号(2024);View Description
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【投稿論文:Case Report】 Anterior spinal artery involved typeの破裂椎骨動脈解離に対し,ステント支援下コイル塞栓術を施行した1 例
34巻2号(2024);View Description
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Life&Education
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その他
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