インフェクションコントロール

Volume 17, Issue 1, 2008
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特集
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- 保存版・ラウンドで使える INFECTION CONTROL チェックリスト
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1 一般病棟のチェックポイント
17巻1号(2008);View Description
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一般病棟において,ICTラウンドで確認すべき実践状況は,標準予防策と感染経路別予防策が必要な場面で正しく行われているか,さらに,実行するための環境が整備されているかという点です.通常,ICTがラウンドに費やすことができる時間は限られており,テーマを決め,ポイントを絞ってラウンドを行うことになります.そこで本項では,一般病棟においてどのような点をチェックすればよいかについて解説します. -
2 手術室のチェックポイント
17巻1号(2008);View Description
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手術室は血液・体液で汚染される機会が多く,環境の汚染だけでなく,スタッフの曝露の危険性が高い部署です.手術を受ける患者は,免疫能が低下している患者が多く,また侵襲が大きいので感染症を起こしやすい状況下に置かれます.感染を起こせば,患者に苦痛を与え,感染に対する治療を要して入院期間が長引くことになります.同時に,社会的・経済的な病院の損失にもなります.また,手術室で働く医療従事者は,患者のリスクを少しでも減らし,感染への機会を減らさなければなりません.また,自分自身も血液や体液からの曝露を避ける必要があります.そこで,それらのリスクを少しでも避けるために行っておくべき点をチェックポイントとして示しました. -
3 ICUのチェックポイント
17巻1号(2008);View Description
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重症集中治療室(以下,ICU)入室患者は,重症患者や濃厚な医療・処置を受けた患者が多く,栄養状態の低下,宿主の免疫力の低下により易感染状態に置かれています.特にICUではさまざまなルートやチューブなどのラインが多く使用されており,感染の機会も多くなると予測され,病院感染対策を実施するうえで重要な領域といえます.ICUでの病院感染の発生は,米国CDCがNNIS(National Nosocomial Infections Surveillance)レポートで,ICUのタイプごとに医療器具関連の感染率を報告しています1).日本では2000年より,JANIS(Japanese Nosocomial Infections Surveillance:厚生労働省院内感染対策サーベイランス)が集中治療部門のデバイス関連感染率を季報・年報として報告しています(表1)2).ICUにおけるハイリスク患者にとって,一度感染が起こると,重篤かつ難治性の感染症に進展しやすく,原疾患の増悪,患者の苦痛の増強,生命の危機をも招くことが予測されます.加えて入院期間の延長や,治療・処置に伴う医療負担も増加します(表2)3, 4).患者から感染という合併症を回避し,早期に回復に導くためには,基本的な知識に基づいた技術の実施,侵襲的器具に関連した感染対策の実施が重要といえます. -
4 NICU のチェックポイント
17巻1号(2008);View Description
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新生児集中治療室(NeonatalIntensiveCareUnit:NICU)に入室する患児は,免疫能の未熟性,常在菌叢の未形成,皮膚・粘膜の未発達などの特徴があり,感染リスクの高い対象であるといえます.しかし,NICUにおける感染対策は,EBMがまだ十分であるとはいえない状況です.もちろん成人における感染対策を適用できる部分もありますが,NICU特有の器具や処置も少なくありません.本稿では,NICUの感染対策において必要な項目を,NICU,新生児の特徴も踏まえて解説していきます. -
5 透析室のチェックポイント
17巻1号(2008);View Description
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2005年の透析患者の主な死亡原因は,心不全24.3%,感染症23.7%,悪性腫瘍9.4%となっており,感染症による死亡患者は1990年以降一貫して増加してきている1)とのデータが発表されています.またCDCによると,透析室における感染防止対策は,標準予防策のみでは不十分であるとも指摘されており2),透析室における感染防止対策を十分に行うことは重要です. -
6 内視鏡室のチェックポイント
17巻1号(2008);View Description
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消化器内視鏡は,治療技術の向上と内視鏡機器の進歩とが相まって,今後ますます適用の拡大が予測されます.内視鏡は,医療器具を消化管内部に挿入するため,感染のリスクが伴うことはいうまでもありません.スコープを介した感染事例報告は,いずれも洗浄・消毒が確実に実施されていなかったことに起因するものと考えられます.したがって,内視鏡室における感染対策は,感染源となりうるスコープと処置具の洗浄・消毒・滅菌を確実に行うことが重要です.また,内視鏡室では消化管出血などの緊急処置など,血液曝露の危険性を伴うため,環境管理に加えて職業感染防止対策も重要な項目となります. -
7 救急/外来のチェックポイント
17巻1号(2008);View Description
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救急・外来の感染対策の基本は,標準予防策の実施です.救急・外来では患者の感染症に関する情報を持たずに対応することが多いため,標準予防策を遵守することが重要となります.手指衛生は患者ごとに診察前,処置前に行います.各診察室,処置台に擦式消毒用アルコール製剤を配置し,手が目に見えて汚れていない場合はアルコール製剤を用いて手指消毒を行い,手が目に見えて汚れている場合は石けんと流水で手を洗います.外来は昼間に患者が集中し,忙しさから手指衛生の遵守率が低下しがちです.定期的に擦式消毒用アルコール製剤の使用量をチェックし,手指衛生の遵守状況を確認することが必要です.また救急・外来に搬送される患者は外傷や吐下血などにより出血している場合や,嘔吐物,排泄物などにより身体が汚染していることがあります.このような状況でも安全に診察や処置が行われるように手袋,マスク,ガウン,アイプロテクションなどの個人防護具の配置が必要です. -
8 産科のチェックポイント
17巻1号(2008);View Description
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産科領域とは,対象の出産経験を通じて自己変革を助け,ケアを行う部署です.周産期を含め,妊娠初期の妊婦から褥婦および新生児を対象にします.正常経過をたどる産婦だけでなく,切迫早産や合併症のある妊産褥婦も対象に入ります.産科領域での感染経路は,新生児に対しては,[分娩時に起こる垂直感染]と[分娩後,母親・その他の家族・医療従事者からの水平感染]があります.また,[医療従事者や家族からの妊産褥婦への感染]や[医療従事者に対して起こる職業感染]があります.感染対策は,基本的には標準予防策の徹底に尽きます.産科領域にかぎらずどの科でも「明らかな感染症」以外には寛容な雰囲気がありますが,特に産科領域では,「お産は病気ではない」という意識がこの雰囲気を強くしている傾向にあると思われます.産科で感染対策を行うには,㈰血液曝露の機会がある,㈪救急対応が多く防御が間に合わない,㈫易感染性の新生児を保育するといった,産科特有の危険性を理解してもらうことも重要であると考えます. -
9 介護関連施設のチェックポイント
17巻1号(2008);View Description
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病院感染を防止するためには,日ごろからの標準予防策の実践が重要です.しかし,高齢者などの介護を必要とする入所者の「生活の場」である施設においては,基本通りの感染対策の実施が困難であるという現実があります.本項では,そのようななかでも“これだけは実践していただきたい”ものについて説明します. -
10 在宅領域のチェックポイント
17巻1号(2008);View Description
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医療制度構造改革において,医療法の改正や診療報酬の評価などで,在宅医療の推進を図ることが記されています.具体的には,主治医など医療従事者と介護サービス従事者などとの連携が図られるよう,在宅医療に関わる地域連携体制の構築を医療計画に位置付けること,患者の退院時にほかの医療機関や在宅医療の提供者との連携を図る退院調整機能を強化すること,平成18年度診療報酬改定では,新たに在宅医療において中心的な役割を担う「在宅療養支援診療所」を設けて24時間往診・訪問看護などの提供体制を構築することなどがあげられました1).在宅医療を受ける人々はますます増えることが推察され,在宅領域での感染対策は重要であるといえます.ここでは,在宅領域で実践する感染対策のポイントを示します.
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連載
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- フロントエッセイ
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これからの職業感染対策について思うこと
17巻1号(2008);View Description
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職業感染対策は,病院などの医療施設内で勤務するすべての労働者を対象として,病原微生物から労働者への曝露を防ぎ,発症を予防する対策です.針刺しなどの血液・体液曝露対策,B型肝炎ウイルスやインフルエンザに対するワクチン対策は,主な職業感染対策として現在ほとんどの病院で実施されています. - 感染管理認定看護師 私の研修ライフ
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神奈川県立保健福祉大学 実践教育センター
17巻1号(2008);View Description
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この連載では,感染管理認定看護師を目指す全国の研修学校の生徒の方々にスポットを当て,研修生活の模様をリレー形式で紹介していただきます. - 写真で教えよう!感染対策の“手技”
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ラウンド時のチェックポイント(1)
17巻1号(2008);View Description
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言葉だけでは伝わりにくい,感染対策に関連する“手技”.「職員にうまく伝えられない……」というあなたのために,本連載では,カラー写真でわかりやすく手技のポイントを解説します.職員の教育などにご活用ください! - 月刊CDCガイドラインニュース
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- IC日記
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「文化」を作ること 共有すること
17巻1号(2008);View Description
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「病院感染対策の専門家とは何だろう」と考えることがあります。優れた専門家がいても、感染対策が有効に機能するかどうかは、現場のスタッフ一人ひとりにかかっているからです。みんなが当然のこととして共有する、その施設独自の「文化」を作ることが重要だと感じています。 - ICN Sachikoの感染対策奮闘記
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何の病気かわからんから森下さん呼んで!
17巻1号(2008);View Description
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当院は,救急病院でもない普通の整形外科を主とした病院ですから“困った症例”は基本的にないはず(?)ですが,先日,こんなことが外来でありました. - Dr.イワタの感染対策放浪記/神戸の教壇から
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にもかかわらず(2)/有意義な研修に必要なこと
17巻1号(2008);View Description
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今月の一句:偽善は,悪よりも悪い./早いもので私の担当も最終回となりました.最後までお付き合いいただき,ありがとうございます.今回は,研修期間を有意義に過ごすコツをご紹介したいと思います. - カンセナー救済企画 現場の疑問氷解Q&A
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