Volume 17,
Issue 12,
2008
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特集
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ICTとしておさえておきたい論点・要点2008
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1171-1171 (2008);
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1172-1176 (2008);
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本年(2008 年)4 月,島根県益田市の診療所で,同一の針による微量採血用穿刺器具*(表1)を複数患者に使用していた問題が発生した.この問題に端を発し,針だけでなく,針を交換したうえで先端キャップ部分を消毒・滅菌して複数患者に使用した場合も,不適切使用として,厚生労働省(以下,厚労省)は5 月30 日,都道府県宛に当初6 月20 日を提出期限(最終的には6 月30 日に変更)とした調査を依頼し,6 月末までに結果を集約し,「不適切な使用」が判明した医療機関名を公表する旨の通知を発出した1).さらに,県によっては,微量採血用穿刺器具のみでなく,真空採血管ホルダーの複数患者への使用も不適切として調査を行うという問題にまで発展した. この問題が発生した当初から,各医療機関だけでなく,地域住民の不安が増大しないように,日本医師会は微量採血用穿刺器具とホルダーの問題に関して,厚労省医政局総務課医療安全推進室と同医薬食品局安全対策課と,終始,協議を続けてきた.その結果,不安を可及的に少なくするような現実的対応に至った経緯と,今後の,微量採血用穿刺器具の取り扱いに関する見解を述べる.
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1177-1179 (2008);
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2008 年4 月,島根県益田市の診療所において微量採血穿刺器具の針が交換されず複数患者に使用されたことが発表された.それに伴い,全国病院の実態調査が行われ「器具の使い回し」をしていた病院名が公表されたが,その対応の途中に,「真空採血ホルダー」の使い回しの指摘を受けた病院の謝罪会見が行われ混乱が生じた.本稿では,真空採血管ホルダーによる感染の危険性について,ホルダー採血の方法,ホルダーの汚染,再使用の是非を中心に考えてみたい.
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1180-1186 (2008);
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2008 年6 月に三重県で,注射薬に起因する感染事例が発生した.ノイロトロピンR 注とメチコバールR 注とを生理食塩液100mL に混注した輸液の投与で, セラチア( Serratia liquefaciens)によるアウトブレイクが生じたのである. この原因は,生理食塩液の口(ゴム栓の表面)の消毒にセラチア汚染を受けたクロルヘキシジン(ヒビテンR,マスキンR など)綿を用いたことと,これらの調製済み輸液を室温で数日間にわたって作り置きしたことであった1).生理食塩液へのノイロトロピンR 注とメチコバールR 注の混注時に,注射針とともに混入したセラチアがこの輸液中で増殖したと推定される. そこで,本稿では点滴の作り置きの問題について言及する.
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1187-1191 (2008);
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20 世紀には,新型インフルエンザの出現とその世界的大流行(パンデミック)が3 度発生した.このなかで最大のものは1918 年(大正7 年)に発生した,いわゆる「スペインインフルエンザ」である.このときは世界で4 千万人以上,わが国でも約39 万人が死亡したとされている.加地ら1)の調査によると,わが国でスペインインフルエンザの流行が始まったのは大正7年8月ごろであり,それから数ヵ月をかけて日本列島全域に拡大した.東京で流行が始まったのは同年10 月中旬以降である.われわれが当時の東京の病院のカルテを調査したところ,同年11 月から「流行性感冒」「流行性感冒性肺炎」による入院が急増し,呼吸器疾患の入院患者数が通常の平均の5 倍以上になっていた2).突如として,医療機関に過重な負担が発生した様子がうかがえる.
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1192-1197 (2008);
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今回,日本消化器内視鏡学会および日本消化器技師学会に,感染対策の専門学会である日本環境感染学会を加えた3 学会で,それぞれの従事する業務内容や専門知識を合わせて,統一された内視鏡洗浄・消毒に関する指針を示すという構想のもと「消化器内視鏡の洗浄・消毒マルチソサイエティガイドライン」が作成された.草案の段階で,関連する学会,さらに内視鏡製造業界および自動洗浄器業界,消毒薬製造販売業界に対して広くパブリックコメントを求め,得られた意見を検討し,最終案を決定した. 以下にその抜粋を示し,要点を解説する.ガイドラインに引用された個々の論文については,ここでは触れない,各学会ホームページに掲載されているガイドラインをご参照いただきたい.
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1198-1201 (2008);
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クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakobdisease:CJD)の原因であるタンパク性の病原体はプリオンであり,1985 年にはプリオンタンパクが同定されている.さらに,狂牛病(牛海綿状脳症:bovine spongiform encephalopathy:BSE)が英国で初めて確認されたのは1986 年であり,BSEの牛の組織を食することでヒトにも感染することが1996 年に明らかとなり,変異型CJD(variantCJD:vCJD)といわれている. ヒトのプリオン病は,古典的CJD などの孤発性CJD(sporadic CJD:sCJD), 家族性CJD,医原性CJD,変異型CJD に分類される.ヒトのプリオン病の約80%を占める孤発性CJD の発生頻度は100 万人に1 人程度である.
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1202-1203 (2008);
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今年のAPIC 学会は,コロラド州の州都デンバーでの開催でした.デンバーはマイル・ハイ・シティと呼ばれ,標高約1 マイル(1.6km)の高さに位置します.今年の学会のテーマは“Leading toNew Heights(新しい頂点を目指して)” ということで,医療関連感染(病院感染)を予防するためのさまざまな取り組みが発表されていました.
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1204-1206 (2008);
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米国医療疫学学会(Society for HealthcareEpidemiology of America, SHEA)はAPIC(Associationfor Professionals in Infection Control andEpidemiology) と並んで米国の医療関連感染(Healthcare-associated Infection,HAI) 関連の二大学術団体である.SHEA の年次集会が学術的な研究発表の場であるのに対し,APIC は医療現場で感染対策に従事するICP(InfectionControl Practitioner, Infection ControlProfessional) の生涯教育の場である. 以下,2008 年のSHEA の活動を,学術集会を中心に紹介する.
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連載
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フロントエッセイ
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1149-1149 (2008);
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黒川 清氏が以前,「学術の動向」に寄稿された「医療の安全性− To Err is Human −」1)のなかに,“ 医療の安全性と「5 つのM」” というものがあった.5 つのM は,Market,Microchip/Media,Molecular biology,Moral,Management である.
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院内勉強会に使える 感染対策問題集
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1152-1152 (2008);
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自己学習や院内での啓発活動・勉強会時に活用できる問題集です.感染対策の知識を短時間で正確に理解しましょう.
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院内指導にそのまま使える 感染対策まちがい探し
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1155-1159 (2008);
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場面写真による「まちがいさがし」方式で,感染対策の基礎を学ぶ連載です.勉強会などの院内指導の場で,上手に活用しましょう!
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IC日記
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1210-1210 (2008);
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当院のICTは、平成十二年よりリンクナースとICD大野聖子先生との熱い関係から始まりました。当時、私はリンクナースの一員でしたが、平成二十年四月から二代目感染管理認定看護師(ICN)として働き出しています。
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ICMTから発信! 微生物検査室のSign/北里の教壇から
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1216-1216 (2008);
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「感染症は苦手な領域なので少し慎重になってしまう」という医師の声があるようです.トランプに例えると,感染症患者が来院されると,“JOKER” を引いたような感じと捉える方もいるようです./ 10 月1 日,台風が過ぎ去って晴々しい気持ちで入学式が行われ,私たち専任教員も研修生と同じく身が引き締まり,「開講しなくては」から「研修生が無事に修了できるようにサポートしなくては」とスイッチが切り替わりました.
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グローバル化時代をどう生きるか
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1217-1217 (2008);
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2008 年のノーベル物理学賞,化学賞に4 名の日本人が輝いた.私も「努力は必ず報われるもの」と教えていただいたこの朗報に歓喜しながらも,とても複雑な心境にもなっている.というのは,日本の人材育成,人材登用のあり方について考えさせられるからである.
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月刊CDCガイドラインニュース
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1223-1223 (2008);
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一九九五年、CDC は「感染性結核のある搭乗員や乗客が飛行機に搭乗したという事例が、一九九三年一月〜一九九五年二月の間に6件確認された」と報告した(http://w w w . c d c . g o v / m m w r /p r e v i e w / m m w r h t m l/00036502.htm)。全事例において、肺結核の症状や空洞のある塗沫陽性の患者が搭乗しており、2事例では多剤耐性結核菌だった。結局、2件で機内での結核感染が確認された。驚くべきことに6件のうち2件で、患者は搭乗時に自身の結核感染を知っていた。
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プロの真価が問われる コンサル手順 冒頭10分
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1224-1231 (2008);
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現場からの第一報を受け,担当者は限られた時間のなかでまず何を伝えられるか? 初動「10 分」こそプロの真価が問われるところです.その場で役立つ手順書を感染症ごとに連載します.
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カンセナー救済企画 現場の疑問氷解Q&A 空気感染対策
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1232-1235 (2008);
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皆さんの日常現場での疑問やお悩みに,ICN がズバッとお答えします!
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投 稿
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インフェクションコントロール 17巻12号, 1236-1244 (2008);
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病院職員のムンプス,水痘,風疹,麻疹の4 種のウイルスに対する抗体保有状況を調査し,抗体陰性者にワクチンを接種することは,これらの感染症による病院感染の防止にとって有益である. われわれは2005 年7 月に,当院の全職員を対象にして4 種のウイルス性感染症の抗体検査を実施し,抗体陽性率は水痘・麻疹よりもムンプス・風疹の方が低いこと,風疹抗体陽性率では過去の女子中学生へのワクチン接種の影響がみられること,水痘では加齢とともに抗体陽性率が低下することなどを報告1)した. 今回われわれは,2007 年5 月の麻疹流行時に,前回の検査以降に入職した職員と附属看護学校の学生を対象にした抗体検査を実施した.今回の抗体検査結果を2005 年の抗体検査結果と比較解析したところ,興味ある結果が得られたので報告する.