インフェクションコントロール

Volume 21, Issue 7, 2012
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目次
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連載
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【フロントエッセイ】 まれではあるが,やっかいなStenotrophomonas maltophilia 感染症
21巻7号(2012);View Description
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TOPIC
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連載
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特集
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1.東日本大震災における感染症の発生状況の総括
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東日本大震災後,地震や津波に関連した破傷風患者や,津波で水を飲んだ方のレジオネラ症も複数認められたが,関係者の努力もあって,各被災地では急性呼吸器症候群,インフルエンザ様疾患,急性胃腸症候群の散発的な発生はあったものの,インフルエンザやノロウイルスによる感染性胃腸炎の集団発生が認められたのは一部の避難所にとどまった.急性呼吸器症候群は,多様な原因(非特異的,あるいは細菌性など)を含むもので,高齢者を中心に発生が継続したが,いずれも散発的で,多くは肺炎球菌などの市中肺炎の原因となる病原微生物によるものであった.感染症が大きな問題にならなかったのは関係者の献身的な努力によるところが大きいと考えられるが,今後のためにも,自然災害直後から回復期に至るまでの明確な対応メカニズムを準備しておく必要がある. -
2.被災地病院における感染対策の経験
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東日本大震災で沿岸部に甚大な津波被害がもたらされた石巻市では,行政や多くの医療機関も機能を失った.残された医療機関では,感染対策の視点から職員の職業感染防止,ファシリティマネジメント,避難所ではボランティアとの連携など,院内外で多岐にわたる活動を展開し,感染症の拡大を防ぐことができた.大規模災害発生時の感染対策について,各施設でマニュアル作成が求められる. -
3.被災地での地域連携-大学病院の立場から-
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2011年3月11日,東北地方を中心に東日本大震災が起こり,翌12日には福島第一原発が爆発した.逃げ場を失った人々は避難所生活を強いられた.発災直後からしばらくは,食糧,水,燃料,電気などライフラインは途絶えていた.我々は,そのような環境のなか,大学病院という立場から地域と連携し,感染のリスクを少しでも低減できるよう避難所を巡回した.結果的には,福島県の避難所でインフルエンザ,ノロウイルス,結核などの感染伝播がみられた. -
4.被災地での支援活動- ICD の立場から-
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東日本大震災は,地震・津波・原発事故・風評被害という4 種類の災害が組み合わさった複合災害であるといわれ,「医療システムの崩壊」と「避難所の衛生状態の悪化」が2大特徴であったとされている.感染対策の点において,DMAT に代表される急性期対応のみではなく,その後の亜急性期~慢性期への対応も非常に重要であるが,ICD の資格を持つ救急医の立場から被災地での支援活動を振り返ると,DMAT 活動開始時点より感染対策を含めた公衆衛生対応が必要であった.今後はDMAT の教育・運用に際しても,感染対策を含めた公衆衛生対応を盛り込む必要があると考えられる. -
5.被災地での支援活動- ICN の立場から-
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東京都の医療救護班として,震災後1ヵ月の時期で医療体制は急性期から慢性期への移行期に医療支援活動を行った.気温の低下やライフラインが途絶えたことにより,インフルエンザや感染性胃腸炎などが流行していた.手指衛生環境の改善や環境整備などを実施することにより,終息がみられた. -
6.隣接地からの支援と感染症・感染対策
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山形県は内陸に位置し,地震による被害はほとんどなかったが,その後の物流障害によりさまざまな物品の不足が懸念された.幸い底をつく前に物流が回復したため,事なきを得た.むしろ普段できない感染対策の推進が可能であった.市中感染症の流行は下火になっており,震災を契機とした新たな流行も当地では発生しなかった.医療支援に関しては,甚大な被害を受けた隣の仙台市を中心に患者の受け入れや滅菌の代行を行った.教訓としては,感染防止に必要な機材をある程度の量は備蓄しておくことが望ましい. -
7.災害時における自衛隊との連携
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東日本大震災において自衛隊は多くの機関や組織と連携してさまざまな活動を行った.自衛隊の災害派遣は,都道府県知事などからの要請により部隊などを派遣することを原則とするが,より迅速にかつ柔軟に対応ができるよう,平素より連携強化のためのさまざまな施策を行い,法や計画の整備に取り組んできた.災害対応においてはcommand & control(指揮および統制)が非常重要であるが,適切な連携を取るためには適切なレベルおよび部署との調整が必要である. -
8.海外の災害における感染症と感染対策-海外保健福祉機関との連携-
21巻7号(2012);View Description
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海外の自然災害と感染症の関係は, 「災害=感染症の大流行」と認識されているほど単純ではない.災害発生後,感染対策は最優先事項であり,適切かつ迅速に被災地の状況をリスクアセスメントし,優先されるべきニーズに対応していくことから始まる.しかし,何よりも重要なのは,災害前からの感染対策である.海外で自然災害が発生すると,国内外から数多くの支援団体が被災地で活動をすることが多い.被災地に有効かつ有益な支援活動が提供できるように,2005年にクラスターアプローチが導入され,世界保健機関(WHO)が保健クラスターで牽引的な役割を担うことになった.日本を含む東アジアや西太平洋諸国地域を管轄するWHO 西太平洋事務局は,東日本大震災において,災害発生直後から事務局内に緊急オペレーションセンターを設置し,国際社会に対して被災地の情報とアドバイスを提供するプラットホームとして活動し,感染対策については被災地の感染症発生動向のサーベイランスを支援した.
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取材
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第27回 日本環境感染学会総会
21巻7号(2012);View Description
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2012年2月3~ 4日,福岡国際会議場ほか3会場にて,第27回日本環境感染学会総会が開催された.会長は尾家重治先生(山口大学医学部附属病院),今学会初の薬剤師としての学会長である.「感染制御の維新を目指して」をメインテーマとし,6,000名を超える参加者が来場した.各会場では活発な議論が展開された.プログラムの一部をレポートする.
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その他
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連載
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【Hospital Epidemiologist のイキイキ活動日記】 そして,感染症疫学に,出会った~/【感染症から歴史がみえる! IC 誌的医史学よもやま話】 梅毒:文化波及よりも早く世界を席巻-性病の花,ヴィーナスの病-
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【感染対策の弱点克服! レベルアップのための特別講義】 すすぎにご注意(1) 浸漬を含む用手洗浄のすすぎ不良の実態
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【Infection Control コンサル劇場】 手術部位感染対策-手術室,ICU,外科病棟すべてを巻き込んで-
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【投稿】 看護師に対するフィードバックと相互評価が手指衛生行動に与える効果
21巻7号(2012);View Description
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擦式アルコール製剤による手指衛生の遵守・維持のために,「患者と直接接触する前・後」「手袋を外した後」「手指消毒剤の適正量での使用」の4 項目の手指衛生遵守状況を観察した.その後の教育期間に,これらの観察結果をフィードバックするとともに,対象者間で相互評価する機会を設けた.相互評価だけを継続させたまま再度観察を行った結果,すべての項目で手指衛生遵守率が上昇した.この結果は,行動観察の結果のフィードバックと対象者の相互評価が手指衛生の遵守・維持をもたらすことを示唆している.
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その他
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