透析ケア
Volume 16, Issue 3, 2010
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特集
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- イラストで確認! 透析患者の骨と関節
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イントロダクション 骨の評価
16巻3号(2010);View Description Hide Description二次性副甲状腺機能亢進症などの腎性骨異栄養症(renal osteodystrophy;ROD)、手根管症候群(carpal tunnel syndrome;CTS)、アミロイド骨症、脊椎症をはじめとする骨と関節の病気は、透析患者のQOL に深くかかわる合併症です。骨の痛みや関節の稼働不全は患者の気力を奪っていきます。これは、いかに米国の4 倍の生命予後をもたらす日本の透析医療とはいえ、本来の腎臓が果たすビタミンD3 の活性化やカルシウム(Ca)・リン(P)などミネラルの調節が不完全であること、そして除去しきれない尿毒素が存在することに起因します。これらに対し、これまで透析方法や透析膜、薬剤の開発、手術法などさまざまな治療戦略が練られてきました。 -
骨が痛む! 骨格が変形する!
16巻3号(2010);View Description Hide Description骨は、筋肉の収縮により関節を屈曲させ等尺運動を行う力学的構造物であるとともに、カルシウム(Ca)などのミネラル代謝を担う内分泌の主要な標的臓器としての機能を兼ね合わせた、ヒトにおいて不可欠な臓器です。骨構造の破壊は「骨折」と称され、骨折が起こると生体防御機構として「痛み(疼痛)」をもたらします。 海綿骨が豊富な脊椎に骨折が及ぶと、その構造は圧迫(圧縮)され、胸郭や腰部は変形します。その骨格の変形は、肺・心臓・腸管などの内臓臓器にも影響を与え、機能障害をもたらすことになります。つまり骨折は、運動機能障害によって生活の質(QOL)を低下させるばかりではなく、生命予後にも影響する因子として認識され、骨粗鬆症を中心として病因や治療が注目されています。 骨折の治療は、治癒を見込むことが困難な場合もあり、骨折の危険因子の管理、つまり予防が重要です。腎不全患者において、骨折のリスクとなる病態としてさまざまな病因が存在しています。本稿では、骨密度の低下にかかわる「二次性副甲状腺機能亢進症」と「線維性骨炎」の病態を中心に述べます。「アミロイド骨.胞」は、特集3(32 ページ)を参考にしてください。 -
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骨が溶ける!
16巻3号(2010);View Description Hide Description透析患者の骨に.胞を形成する(つまり骨が溶けて空洞ができる)代表的な疾患がアミロイド骨.胞です。そのほか、二次性副甲状腺機能亢進症に伴う.色腫(brown tumor)、変形性関節症、慢性関節リウマチ、骨の腫瘍、多発性骨髄腫、悪性腫瘍の骨転移などでも認められることがあります。本稿では透析患者の合併症としてもっとも重要な“ アミロイド骨.胞” について解説します。 -
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手が痛い! しびれる! 整形外科医の立場から
16巻3号(2010);View Description Hide Description手根管症候群(carpal tunnel syndrome;CTS)は、手根管内で正中神経が圧迫されて発症する拘扼性神経障害です。手根管とは手根骨と掌側の横手根靭帯で囲まれた空間であり、その中を正中神経と9 本の屈筋腱が走行しています。 1980 年代初め、CTS を呈した腱鞘の滑膜組織にアミロイド沈着が証明されたことから、血液透析患者に合併するCTS のおもな原因はアミロイド沈着による拘扼性ニューロパチーであることがあきらかになりました1)。その後、1985 年にアミロイド組織の生化学的分析から、β2 ミクログロブリン(β2-m)がアミロイド構成蛋白質であることが同定されました2)。このβ2-m がアミロイド線維を形成し、血液透析期間が長期になると滑膜に沈着して3)、最終的には腱鞘滑膜炎を惹じゃっ起きします。しかし横手根靭帯や屈筋腱は肥厚と硬化が著しく、それらによる正中神経圧迫も大きな要因です。肉眼的にも、横手根靭帯および屈筋腱はアミロイド沈着により.色調に変色し、病理標本でもβ2-m が証明されます4)。 -
手が痛い! しびれる! 透析医の立場から
16巻3号(2010);View Description Hide Description本稿で解説する手根管症候群は、靭帯や滑膜が大好きなβ2-m が手指の腱が集中している手根部に沈着することにより腱鞘滑膜炎を起こし、さらに狭窄を起こすことで正中神経や血管の圧迫症状をひき起こした病態のことです。手根管症候群は、弾発指や手根骨の.胞化を多く伴うことも知られています。 -
腰が痛い! 首が痛い! 手足がしびれる! 整形外科医の立場から
16巻3号(2010);View Description Hide Description手や足のしびれ・痛みの原因は多岐にわたりますが、頸椎や腰椎での脊髄や神経の圧迫も、その大きな原因の一つです。本稿では透析患者にもよくみられる頸椎症性脊髄症と腰部脊柱管狭窄症を概説します -
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連載
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- 最終回 透析室の気になるカタカナ語
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- 使いこなそう! 透析周辺機器 原理と正しい使い方
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- ひらめきをお届け! 透析室のアイデアすぐれモノ
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- 歯科スタッフが教える まるわかり!透析患者のオーラルケア
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- 教えて! 薬剤師さ〜ん 透析患者のくすり箱
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- ケアするあなたに伝えたい!患者さんのホントの気持ち
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- 私の心に残った患者さん
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- いま、振り返る看護 透析エピソードを語り紡いで
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- 移植コーディネーター発 腎移植かわら版
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- 症例別にTry! 療法選択・療法移行へのアプローチ
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- 透析患者のターミナルケア 生と死を見据えて
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- 荷物を背負った人生はそれなりの味がする
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ケアスタディ
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EASEプログラムによる血液透析患者のそう痒感軽減の検証〜セルフ・モニタリング法を用いた一例
16巻3号(2010);View Description Hide DescriptionEASE プログラム(encourage autonomousself-enrichment program)7)とは、認知行動療法を用いてセルフケア行動を高めていく実践的な方法であり、透析患者では食事・水分管理、運動療法などにおいて効果が得られている8 〜11)。そのEASE プログラムの技法の一つであるセルフ・モニタリング法は、自分自身で目標を決定し、観察・記述して振り返る方法で、望ましい行動がよい結果につながることを客観的に理解することによって自己効力感を高め、行動目標を達成・継続することが期待できる12)。 そこで本研究では、.痒感のあるHD 患者にEASE プログラムのなかのセルフ・モニタリング法を用いることによって、外用薬の塗布行動を継続することができるかどうかと、そう痒感の軽減について検討したので報告する。
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TOPICS
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レポート
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