ネオネイタルケア

最近は，血液ガス分析の際に，重炭酸イオン（HCO3—）や電解質の結果を同時に得ることが可能である．酸・塩基平衡や水・電解質の考え方だけで1 冊の厚い本ができるほど，ヒトのpH，電解質は生きていくために精巧に調整されているものである．新生児期は基本的に腎不全である．腎臓は高分化臓器であり，満期産児でもまだ完成していない1 〜 3 ）．腎不全であれば，代謝性アシドーシス，高K血症傾向であり，さらに多尿性腎不全の病態であるため低Na血症となりやすい．そこで，ここではおもに代謝性アシドーシス，ナトリウム（Na），カリウム（K）異常について述べる．

新生児の黄疸は，生後早期に最もよく見られる症状の一つである．わが国では黄疸の管理は，光線療法の普及やRhD不適合による溶血性黄疸の予防などにより重症黄疸が減少し，核黄疸は非常に稀となっている．しかし，適切な時期に適切な治療が行われない場合や，重症黄疸の場合，超早産例等で不可逆性の神経障害を残した核黄疸例が報告されており，看過することはできない．そのため，黄疸は現在も重要な疾患という位置づけに変わりはない．また，新生児の高直接ビリルビン血症をきたす疾患は早期に治療方針を決定する必要があることが多く，その原因の究明と対応は重要である．本稿では高ビリルビン血症の見方と神戸大学の治療基準の根拠を中心に述べる．

わが国の新生児医療の進歩は，超低出生体重児の保育を可能にし，以前なら死亡していたであろう新生児を救っている．現在，新生児死亡率の低さは世界トップクラスである．しかし一方で，重症呼吸器系疾患や低酸素脳症などのいわゆる重症慢性疾患を合併し，NICUに長期入院する子どもが増加している1 ）．新生児への集中ケアが本来の目的であるNICUに重症で，かつ慢性の経過をたどる子どもがいることは，子どもだけでなく，親・家族，医療従事者にとっても好ましいことではない．そこで本研究は，NICU看護師の語りからNICUに長期入院する子どもに関する問題を明らかにする目的で行われた．

小児期の悪性軟部腫瘍で，未分化な骨格筋細胞由来の腫瘍である．組織学的には，胎児型embryonal type，胞巣型olveolar type，多形型pleomorphic type とその混合型mixed type，その他に分類され，胎児型が60 ％，胞巣型が20 ％を占める．とくに新生児，小児では，多くは胎児型で，胞巣型は年長児に，多形型は成人に多い．発生部位は，身体のあらゆる部位に発生するが，頭頸部に最も多く（約35 ％），そのうち眼窩，鼻咽腔に好発する．そのほか，泌尿生殖器（膀胱，前立腺，腟），四肢，鑷幹などに好発する．また，本腫瘍は，局所湿潤のみでなく，遠隔転移をきたしやすく，肺，骨髄，骨，リンパ節などへの転移がみられる．発症年齢は，平均5 歳であるが，小児外科的悪性腫瘍の約5 ％を占め，新生児腫瘍の1 ％といわれる．

今月は，まず前号で取り上げたケース3 の続きから見ていきましょう．皆さんのなかには，同様のケースによく遭遇するという方もいらっしゃるでしょう．支援ポイントはどこなのか，注意しながら読みすすめてみてください．エビデンスを交えた実際の援助方法をご紹介していきます．