がん看護

Volume 18, Issue 6, 2013
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特集 【がん放射線療法看護 ~治療計画から看護支援を考える~】
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放射線療法を受ける患者へのセルフケア支援
18巻6号(2013);View Description
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放射線療法は適応判断がなされたときから多くのプロセスを経て患者個々の綿密な治療計画が立てられる.治療が開始されれば,予定されたスケジュールを完遂することで治療効果が得られる.治療完遂のセルフケア支援を行うには,看護師は治療計画のプロセスを理解することから始まるため,治療計画のプロセスと患者支援,治療が順調に進んでいくためのセルフケア支援が重要となってくる. -
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放射線療法を受ける小児へのケア
18巻6号(2013);View Description
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放射線療法を受ける子どもと家族にとって,“放射線”は目に見えず,未知でわかりにくいもので,何だか怖いといった不安や恐怖を抱きやすい.そのため,放射線療法を選択する子どもや家族に対し,さまざまな不安を軽減するための十分な説明や支援が重要になる.また,複数回にわたる放射線療法を完遂するには,子どもへの病気や放射線療法についての説明と,子どもの理解や協力が必須である.そのためには,多職種が連携したチーム医療を実践しながら,子ども・家族中心医療(patient- and family-centered care)を提供することが,放射線療法を受ける小児へのケアの中で重要なポイントとなる.今回,子ども・家族中心医療の考え方と,子どもが主体的に放射線治療に参加するための支援,多職種が連携する意義について紹介する. -
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最期の日々を生きるがん患者を支える~訪問看護の現場から~
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BOOK
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連載
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放射線療法チームのスキルミクスと看護の役割~患者のQOL の維持・向上のために~【2】:ここまで進んだ放射線療法~放射線療法の展望と看護に求めるもの~
18巻6号(2013);View Description
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遺族の声を臨床に生かす~J-HOPE 研究(多施設遺族調査)からの学び~【2】:療養場所の意思決定
18巻6号(2013);View Description
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【付帯1】 わが国では,緩和ケア病棟(以下,PCU)への入院を決める際,同時に積極的治療の中断についての意思決定を行うことになります.そのため,患者と家族は,強い心理的負担を感じることになります.医療者は,患者や家族に対して,PCU に関する適切な情報を提供する必要がありますが,どのような情報提供を行っていけばよいのでしょうか.PCU で患者を看取った遺族を対象としたJ-HOPE 研究の結果をもとに,PCU への入院を検討する家族への望ましい情報提供について検討していきます. 【付帯3】 終末期がん患者(以下,患者)と家族は,患者の病状が悪化する中で,最期を過ごす場所の意思決定が迫られることになります.緩和ケア病棟(以下,PCU)への入院は,治癒を諦め,死を意識することになるため,その意思決定に際して患者と家族は強い苦痛を抱くことになります.しかし,そのような苦痛を伴う意思決定を行った遺族の後悔については知られていません.J-HOPE 研究の一環では,PCU で患者を看取った遺族のPCU への入院の意志決定の後悔を明らかにしました.その結果から,PCU への入院の意志決定に携わる家族への支援について検討していきたいと思います. 【付帯14】 終末期を迎えたがん患者とその家族の多くは,在宅療養を選択する際に,その意思決定までに多かれ少なかれ在宅療養への不安や悩みを抱えています.患者が「自宅で過ごしたい」と思っている場合や家族が「不安は大きいけれど,できれば本人の自宅で過ごしたい思いを叶えてあげたい」と思っている場合に,看護師はどのようなかかわりで在宅療養への意思決定を支援していくことができるのでしょうか. J-HOPE 研究の一環で,在宅ホスピスのケアを受け自宅で看取った遺族を対象に,在宅療養の意思決定についての調査を行いました.その結果をもとに,看護師が患者・家族への在宅療養の意思決定を援助する際にどのようにかかわることが必要となるかを検討します.
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JJCCレクチャー
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看護師が実践するグリーフ・ビリーブメントケア~アセスメントの視点を理解する~【4】:事例:肺がんの親を亡くす思春期の子ども
18巻6号(2013);View Description
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みなさんは,臨床で親を亡くす(あるいは亡くした)子どもにかかわった経験はありますか?「子どもはちょっと…」というふうにとらえている方もいるのではないでしょうか?先行研究1)でも,「子どもをケアの対象としてとらえられない」,「子どもと接するのが苦手」という考えや,「かかわりたくても,忙しくてかかわれない」など,親を亡くす子どもへのかかわりに関して看護師はいろいろな困難さをもっていることが示されています.また,子どもに病気や死について伝えたほうがよいと思っても,患者自身が「弱る自分の姿を子どもに見せたくない」,「子どもに負担をかけたくない」といった思いを強くもっている場合や,家族が「子どもに死を伝えるのは残酷だ」,「死に逝く患者を見せるべきではない」などと考えることがあります.そのため,親を亡くす子どもに対して,看護師をはじめとした医療者が支援を提供するにあたっては一筋縄ではいかないのが現実のようです. 一般的に,子どもは親が病気になることで変化を感じます.今までいつも家にいた親が頻繁に病院へ行って家にいなくなる,今までご飯を作ってくれた母親がいない,お風呂に自分1 人で入らなくてはならなくなった,外食が増える,親戚が手伝いにくるなど,生活の変化に適応することは大人にとってもたいへんなことですが,子どもにとってはこうした変化が自分の知らないうちに起こっていることもあるため,混乱したり,不安を抱くことがあります.その結果,授業に集中できない,忘れ物が増える,ちょっとしたことで同級生とけんかをしてしまうなど,学校生活でもなんらかの変化がみられるようになるといわれています2).こういった子どもたちの不安は患者である親のがん診断時から始まるため,診断時からの子どもへのかかわりが重要となります. とくに,患者さんの身体的な変化に子どもは驚くといわれています3).たとえば,手術痕,化学療法中の脱毛や吐気などの副作用,そして,終末期になると,るいそうによる容姿の変化が挙げられます.子どもはこれまでと違う親の姿を怖いと感じることがあります.まれに,自分の親であっても別の人のように感じてしまう子どももいるようです.このような子どもたちに対して,私たち看護師はどのようなかかわりができるでしょうか?今回は思春期の事例ですが,親を亡くす子どもへのかかわりについてみなさんと一緒に考えていきたいと思います.
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連載
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がん患者と子どもに対する支援~親ががんであることを子どもに伝えるためのサポート~【5】:【事例】子どもに伝えることを拒んだ終末期がんの患者と家族
18巻6号(2013);View Description
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子育て世代のがん患者は増加しており,日常診療において,子どもに親のがんを告げられないまま終末期を迎えるケースに遭遇することが増えてきた.子どもに伝えたほうがその親子にとっては,貴重な残された時間を有意義に過ごすことができるのではないかと感じつつも,どのようにしたらよいか分からず,そこまで踏み込んで介入してもよいのか,おせっかいではないのか,こちらの価値観を押し付けていないかなどと戸惑う場面もある. また,患者,家族,医療者が,「子どもに伝えること」の話に重点を置くばかりに,話が進展しないことも経験される.本稿においては,“親が子どもに伝える・伝えない”から“子どもを主語に”へ視点を変え,子どもがその後,成長していく中でどのように感じるかを話し合い,その結果,子どもに病気を伝えるにいたったケースを紹介する. -
がん化学療法におけるナーシング・プロブレム【63】:分子標的治療薬の名前がもつ意味を知る~薬を理解するうえで必要な情報~
18巻6号(2013);View Description
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がん化学療法は,抗がん作用をもつ物質をスクリーニングすることから始まり,殺細胞作用をもつ薬剤(いわゆる抗がん薬)の開発が行われてきた.これらの抗悪性腫瘍薬はさらなる効果を目指して,複数の薬剤を組み合わせて行う多剤併用化学療法が行われるようになり,造血器腫瘍など多くのがん種で生存期間の延長や治癒といった効果をもたらすようになった.他方で,治療による厳しい副作用症状のコントロールがむずかしいことや,満足する治療効果が得られない領域もあるという課題があり,さまざまな医薬候補の検証がなされてきた結果,分子標的治療薬が誕生した. 分子標的治療薬の開発は,1980 年代ころから分子生物学の研究が活発になったことで始まった.ヒト細胞に関する増殖,細胞周期,DNA 複製,転写などの特徴が分子レベルで明らかになったことでがん細胞の生死や増殖に影響している一部の分子の同定ができるようになり,その分子を標的として開発されたのが分子標的治療薬である.日本では2001 年に承認されたトラスツズマブをはじめとして,20 種類を超える分子標的治療薬が臨床で使用されている.2000 年以降,分子標的治療薬の開発は急速に進み,現在では年間に数種類の薬剤が厚生労働省の認可を受けている. 分子標的治療薬の名前は従来の抗がん薬と異なっており,標的分子名や剤形が名前に反映されている.非常に特異的で覚えにくいといった印象があり,単に薬の名前を覚えようとしても,その発音はむずかしく,理解しにくい.しかし,薬の名前にはある一定の規則があるため,それらを把握することで,名前を覚えやすく,容易に薬剤情報にアクセスすることができ,薬剤の理解が深まるのではないかと考える.そこで,本稿では医薬品情報に関する文献から,分子標的治療薬の名前の意味についてまとめ,容易に薬剤の情報収集ができる足がかりとなる情報を提供したい.
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研究報告:乳がん体験者の夫への思い
18巻6号(2013);View Description
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本研究の目的は,乳がん体験者が生活をともにする夫とかかわるうえで感じている夫への思いを明らかにすることである.乳腺外科に通院している,または乳がん患者会に所属している乳がん体験者のうち,現在,夫とともに生活をしている5 名を対象として,半構成的面接調査を実施し,質的帰納的に分析した. その結果,乳がん体験者が生活をともにする夫とかかわるうえで感じている夫への思いとして,【夫婦の親密性が深まる】,【夫のサポートを感じる】,【私のすべてを受け止め支えてくれる夫に感謝する】,【私のすべてを理解することができない夫に対し,失望や不満を抱く】,【今後の人生を想定し,母親・妻としての役割を夫に託す】,【今までと変わらない生活の継続を願う】,【夫の気持ちを常に考え,夫に心配をかけまいと強くあろうとする】,【傷跡のある乳房により女性として妻として負い目を感じる】の8 つのカテゴリーが明らかになった.夫婦の互いの気遣いによる支え合いが相互に作用し,夫婦の親密性を深めていることが示された.また,乳がん体験者は夫婦の親密性が深まる実感とともに,女性としての負い目を併せもち,それぞれの思いを夫婦で共有することの重要性が示唆された.
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