整形外科看護

手術合併症（感染や血腫，出血過多，深部静脈血栓症など）は，頻度は低くても一定の確率で生じます．まず，「手術合併症は生じるものだ」という認識をもってください．そのうえで，患者を24 時間観察できるのは看護師であることを考えてください．いつ発症するかわからない手術合併症の第一発見者は看護師です．経験したことのない合併症にも適切に対応できる力をつけてください．

薬は両刃の剣といわれる．効能どおりの良薬となる場合もあれば，逆に使い方を誤れば強い毒ともなる．一つは古い例であるが，ナースが麻酔前投薬のネンブタール.のmg とmL を間違えて，15 倍量ものネンブタール.を静注して3 歳児が亡くなった．もう一例はヒビテン.液をヘパリン生食と取り違えて静注し，58 歳の主婦が帰らぬ人となった．病棟で使われる薬剤がどういう性質をもっているのか，何が危険なのか，新人のナースにもわかるようにまとめた．わからないときには先輩に聞いて確かな知識をもって看護に当たろう．患者さんの生命を守り，医療人としてのナースの資格を守るために役立てていただければ幸いである．

脊椎椎体圧迫骨折（以下，圧迫骨折）は，日常の外来で最もよく遭遇する疾患の一つです．圧迫骨折とは，脊椎（背骨・腰骨）の椎体がつぶれた状態になることをいいます．　原因としては，高齢者にみられる骨粗鬆症が主に挙げられます．ときに，スポーツ外傷や転落などによって発生する若年者の圧迫骨折にも遭遇しますが，これらは比較的まれです．本稿では，骨粗鬆症を基盤として発生する高齢者の脊椎椎体圧迫骨折について解説します．

角谷整形外科病院4・5 階病棟，手術室スタッフは，“ 明るく” をモットーに患者が安心できる環境をつくろうとさまざまな配慮を行い，努力している．そんなスタッフに患者への応対で心がけていることをうかがった．

私はリハビリテーション病院の回復期病棟で、言語聴覚士として勤務しています。この欄では異色かもしれませんが、言語聴覚士と整形外科の患者さんとのかかわりについてお伝えしたいと思います。

本研究の目的は，股関節術後患者における主観的な身体的健康状態を測定するために，WOMAC 日本語翻訳版の信頼性・妥当性を検討することである．術後1 年以上の220 人を分析した結果，WOMAC 下位項目の「痛み」項目で床効果があったが，内的整合性はWOMACの3 つの下位尺度内でのCronbach’s α係数が0.74 〜 0.95 で，29 人の再調査によるSpearman相関係数や各項目の一致率が高く，信頼性が示された．SF-36 との比較による基準関連妥当性と弁別的妥当性は認められたが，構成妥当性についてはWOMAC（英語原版）と尺度構造が異なる股関節術後患者の身体的な特徴に即した4 因子構造の解釈が妥当と考える．日本人股関節術後患者において，WOMAC（日本語翻訳版）の信頼性・妥当性が示され，評価指標として有用なことが示唆された．〔注：WOMAC，SF-36 は健康関連QOL 尺度で，主観的な健康度を評価する〕