整形外科看護

　骨粗鬆症性椎体骨折は，受傷当初は通常，神経障害を伴わないことが多く，骨折直後の初期治療は保存療法が原則とされています．最近，早期の疼痛軽減・通常生活復帰を目的として，受傷当初より手術を施行する治療も欧米では広まってきていますが，わが国ではまだ一般的ではありません．一口に骨粗鬆症性椎体骨折といっても，受傷当初の例と，受傷後数カ月経過してなお骨癒合が得られない遷延治癒例では，保存療法は異なるので，ここでは受傷当初例の保存療法について，初めに基本方針を述べて，その後にポイントをQ ＆ A 方式で述べたいと思います．

　骨粗鬆症性椎体骨折の治療には，保存療法と椎体形成術や固定術などの手術療法があります．保存療法では数週間ベッド上のみでの生活になるため，廃用症候群の発症が予想されます．また手術療法でも，術前の安静と術後の創部痛で廃用症候群を起こしやすい状態となります．早期からのリハビリテーション（以下，リハビリ）のポイントは，廃用の防止と改善の2 点です．

東京厚生年金病院整形外科病棟は，別館の6 階に位置している．この別館には，整形外科急性期病棟である6C 病棟と整形外科の回復期病棟，リハビリテーション室などがあり，整形外科に特化したつくりになっている．今回は6C 病棟のナースにお話をうかがった．

　今回は、整形外科の外来でよく見かける強い腰痛によりADL が低下して、危うく寝たきりになりかけた患者さんについてお話しします。

　大腿骨近位部骨折患者の術前の牽引は，疼痛の緩和や整復などの目的で行われている．しかし，2005 年6 月に発表された大腿骨頚部/ 転子部骨折診療ガイドラインによりEBM が明らかではないとされ，ここ数年，術前の直達・介達牽引の実施については各医療機関で異なってきている．　C 病院では，2006 年度の手術までの平均日数は11 日で，術前に医師の指示で直達・介達牽引を行っている．しかし，高齢患者によっては直達・介達牽引の理解が得られず，自分で外そうとすることもあった．また，直達・介達牽引が皮膚トラブルや不眠の原因となる患者もみられた．　そこで今回，私たちは患者の希望によりスピードトラック牽引（以下，牽引）の着脱を行い，牽引の効果を患者自身がどのように感じているのかを明らかにし，術前の期間を安楽に過ごすための牽引に対する援助の検討を行った．