整形外科看護
Volume 15, Issue 3, 2010
Volumes & issues:
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特集
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- 見てわかる 創感染と骨髄炎 予防・治療・看護の実際
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- 整形外科領域の感染予防のスタンダード
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感染予防からみた術前準備
15巻3号(2010);View Description Hide Description整形外科領域の手術は,疾患,年齢層,術式,手術使用インプラントなどが多岐にわたっています.しかも高齢化社会の到来により,変形性膝関節症や変形性股関節症,脊椎疾患などの慢性疾患の割合が増えて,今後ますます高齢者の整形外科手術が増えると考えられます.整形外科手術においては,人工素材(主に金属製)のインプラントを体内に留置するという,他科にはない特殊性があります.すなわち一度感染を起こすと,難治化,遷延化しやすく,より厳格な術後感染に対する対策が必要であると考えられます. 手術部位感染(surgical site infection:SSI)は,感染を抑制する正の因子と増悪させる負の因子とのバランスが崩れて,負の因子が優勢になることにより生じると考えられるので(図1),そのバランスを崩さないことが感染防止の大前提になります1). 今回はそのような点を考慮し,術前準備という観点より,文献的考察および当センターにて留意していることを中心に述べていきます. -
術中の感染予防対策
15巻3号(2010);View Description Hide Description近年, 手術部位感染(surgical site infection:以下,SSI)についてさまざまな研究がなされてきました.骨・関節など整形外科領域の感染は非常に治りにくく,感染を起こさないように予防することが何よりも大切です. 整形外科としては2006 年に日本整形外科学会が「骨・関節術後感染予防ガイドライン」を作成し,感染発生の減少に努めています.とくに手術室では術野の汚染が感染の危険に直結する環境にあり,手術に関与する医療者全員が細心の注意を払い感染予防に努めなければなりません. 本稿では手術中の感染予防対策として,当院で実際に行っている対策を㈰医療者,㈪患者,㈫手術室環境の3 つに分けて紹介します. -
感染予防からみた術後創処置のポイント
15巻3号(2010);View Description Hide Description整形外科の術後合併症では手術部位感染(surgical site infection:以下,SSI)が最も多くなっています1).ここでは,SSI 予防の観点から術後創処置の際に気をつけるべきポイントについて説明します.創傷の治療過程やいろいろなドレッシング方法などを理解し,処置時の交換操作やケアのポイントについても理解しましょう. -
- 骨髄炎の治療と看護
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骨髄炎の病態と早期発見のポイント
15巻3号(2010);View Description Hide Description化膿菌による骨感染症を化膿性骨髄炎,または単に骨髄炎とよびます.いったん骨髄炎が発症すると難治性であり,また近年ではMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)感染が起こりやすいので,予防対策と早期発見がとくに重要です.ここでは骨髄炎の病態,とくに血行性骨髄炎と,骨の外傷後に生じる感染症として日常診療上よく遭遇する,閉鎖骨折の術後感染,および開放骨折後に続発する感染を中心に述べます. -
基礎的な化膿性骨髄炎の治療と看護
15巻3号(2010);View Description Hide Description骨感染症の原因は時代とともに変遷しています.つまり,血行性の感染症が減少したかわりに労災,交通事故を主体とした高エネルギー外傷に伴う症例が増加してきているのです.また,整形外科手術の発達に伴って人工関節や骨折治療,さらに脊椎手術には新たな金属治療材料がめじろ押しで,各種の金属製インプラントが頻繁に使用されているのは皆さんがよくご存じのことと思います.これらが感染の原因となる症例は増加しており,さらには,高齢化社会の到来で透析,糖尿病の患者など,抵抗力の低下した患者が増加する傾向にあり,それに伴う難治性感染なども新たな問題として浮上してきています.メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)なども,抗生物質の使用増加につれて近年大きな問題となっています.整形外科医と看護サイドのチーム医療により,これらの感染症例に対応しなければいけない時代が到来しているといえます. 化膿性骨髄炎は急性と慢性に大きく分けられるため,それぞれについて解説します. -
化膿性関節炎の治療と看護
15巻3号(2010);View Description Hide Description化膿性関節炎は,頻度は少ないものの一度罹患すると治療に長期間を要する症例が多く,後の関節機能に障害が残ることもしばしばあります.良好な治療成績を得るには,早期診断と早期治療が非常に重要となってくることはいうまでもありません. 本稿では,化膿性関節炎の治療法と,その後の管理や注意点を中心として述べることにします. -
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化膿性脊椎炎の治療と看護
15巻3号(2010);View Description Hide Description化膿性脊椎炎は脊柱に生じた細菌感染症で,抗菌薬が出現する以前は死亡率が25 〜 50%に及ぶ予後不良な疾患でした1-5).抗菌薬の出現後には治癒率は向上しているものの,高齢者,易感染性宿主(compromised host)の増加に伴って患者数は増加傾向にあり6-8),治療に難渋する例も少なくありません.そのため,できるだけ早期に診断し,適切に治療することが必要とされます. -
コラム 症例紹介 慢性骨髄炎のため医療不信に陥っている患者にどうかかわったか
15巻3号(2010);View Description Hide Description慢性骨髄炎に罹患してしまうと,その患者は一生病院通いになることも多く,また治癒したかにみえても,いつ再燃するかわからないという恐怖に絶えずさらされることになります.とくに骨折の術後感染で骨髄炎に陥った患者では,「骨折は元通りに治って当たり前」という風潮があるため,医事紛争になることも多いのが特徴です.また交通事故,労災事故の場合も多く,保険や補償の問題,被害者意識の問題などもからみ,患者本人のみならず,病院,医療従事者,家族,保険会社なども巻き込み,複雑な問題が発生することもまれではありません. ここでは,慢性骨髄炎の代表症例を紹介しながら,問題点を述べたいと思います.
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特集2
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- どんな特徴がある? どう予防する? 整形外科病棟の褥瘡対策
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整形外科病棟でみられる褥瘡やスキントラブルの特徴
15巻3号(2010);View Description Hide Description近年,当院では整形外科疾患での高齢者の手術や入院が増えています.整形外科では,疾患の特徴からベッド上安静が必要であったり,車いすのほか,さまざまな装具を使用する機会が多くなります.褥瘡は,同一部位に圧迫や摩擦,ずれが加わり,血流が悪くなることで発生します.そのため,整形外科疾患の患者は,褥瘡やスキントラブルのリスクが増加します. 本稿では,褥瘡やスキントラブルの予防として,当院で行っている取り組み(図1)についてご紹介します. -
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教育講座
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- パスで流れがわかる! 整形外科の周術期ケア
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- 整形外科疾患の保存療法 手術入院までどんな治療を受けてきたのか?
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施設訪問
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- 編集部がおじゃまします!!
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増原クリニック
15巻3号(2010);View Description Hide Description「股関節のトータルケア」をコンセプトとする増原クリニック.病棟に静かに流れるジャズ音楽や,廊下に飾られた絵画の数々に,ゆったりとした気分になる.アットホームな雰囲気が魅力的な同クリニックで,お話をうかがった.
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連載
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- あなたの笑顔が見たいから
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- らくらく♪ 美医食同源さおりレシピ
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- Medical Quiz
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- 部位別でわかる 整形外科「要」語集
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- 3ステップで学ぶ ナースのための整形外科日帰り手術
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- 研究発表に役立つ 医学写真ワンポイントアドバイス
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- 整形外科看護をもっと追究したいあなたへ 文献ナビゲーション
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- 整形外科の歴史
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