Volume 11,
Issue 11,
2008
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【展望】
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臨床精神薬理 11巻11号, 1983-1998 (2008);
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抗精神病薬ではdopamine仮説を越え,抗うつ薬ではmonoamine仮説を越え,抗不安薬と睡眠薬ではGABA系への作用を越え,抗てんかん薬でも第二世代へと足を踏み出し,そして何といってもAlzheimer病あるいはAlzheimer型痴呆への治療薬はcholine‐esterase阻害薬の枠を越えた根本的治療に迫ろうとしている。従来の作用機序を取り込みつつ発展するもの,まったく新しい機序のもとでの創薬から進展していくものなど,多彩であり,絶えることなく,続いている。新しい向精神薬の可能性は限りないものがあると期待されよう。 Key words :new mechanism―psychotropic drugs, glutamate hypothesis, mGlu2/3R agonist, GABA interneuron, 2nd generation antiepileptics
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【シリーズ】
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臨床精神薬理 11巻11号, 2071-2073 (2008);
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【原著論文】
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臨床精神薬理 11巻11号, 2075-2084 (2008);
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十分に心理教育を受け病識を獲得し退院した後,1年間追跡できた統合失調症患者32人をolanzapine(OLZ)またはrisperidone(RIS)単剤入院治療群の2群に分けた(OLZ群13人,RIS群19人)。2群で退院後の非再入院率,服薬中断率,通院単剤治療継続率を調べた。非再入院率はOLZ群(0.846)でRIS群(0.526)より高い傾向があり(P=0.0848),服薬中断率はOLZ群で有意に低かった(P=0.0252)。通院単剤治療継続率は,OLZ群(0.769)でRIS群(0.263)より明らかに高かった(P=0.0112)。本研究の結果から,統合失調症治療での有効性と有用性は,OLZがRISより高い可能性があり,退院後の通院治療での薬物有用性には副作用や忍容性の問題が大きく影響することが示唆された。なお,本研究は非無作為化オープン試験なので,結果の解釈には限界がある。 Key words :olanzapine, risperidone, the non―rehospitalization rate, the rate of continuation of outpatient―monotherapy, schizophrenia
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臨床精神薬理 11巻11号, 2085-2092 (2008);
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著者らは,olanzapineの安全性調査を目的に実施した製造販売後調査で収集したデータを追加解析して,体重増加のパターンとその背景因子を検討した。投与開始後4週間で7%以上の急速な体重増加が認められた(Rapid weight gain:RWG)群と,体重増加が7%未満であった(Non―rapid weight gain:NRWG)群に分けると,評価対象1,250例のうち4.7%(59例)がRWG群,95.3%(1,191例)がNRWG群に分類された。NRWG群の体重変化は,4週時点で0.3±1.5kg,52週時点で1.6±5.6kgであるのに対し,RWG群の体重変化は,4週時点で5.5±1.9kg,52週時点で7.2±6.4kgと,いずれの時点においても有意に体重増加幅が大きく,投薬初期の急速な体重増加が約1年後の臨床的に重要な体重増加の予測因子であることが判明した。背景因子を比較すると,NRWG群と比較して,RWG群において有意に年齢が低く,女性が多く,罹病期間が短く,外来患者が多く,開始時BMIが低かった。また調査期間を通じて,RWG群は1日平均投与量が低く,体重増加による中止率が高く,最終全般改善度で「改善あり」が有意に多かった。これらの追加解析結果を先行研究の報告と比較し,治療効果との関連,RWGへの対応策,臨床的意義について考察した。 Key words :olanzapine, postmarketing study, early and rapid weight gain, predictive factors
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臨床精神薬理 11巻11号, 2093-2102 (2008);
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不安を併発した大うつ病性障害に対するsertralineの有効性について,日本の承認用量内(100mg/日以下)で検証するために,sertralineを可変用量で8週間投与した海外の2件のプラセボ対照二重盲検比較試験のデータを統合し再解析した。解析対象はsertralineの最大投与量が100mg/日以下の患者に限定し,薬剤投与前のHAM―D―17項目anxiety―somatizationの評価点が7点以上の場合を不安うつ病と定義した。主要評価項目は,HAM―D―17項目の合計評価点を用いて,評価点が50%以上低下した場合を反応群とした。その結果,対象外来患者397例のうち,不安うつ病の基準を満たしたのは122例(31%)であった。8週間後のHAM―D―17項目の合計評価点は,sertraline群がプラセボ群に比べて有意に低下していた(-14.7±8.3vs.-11.3±7.7;P<0.05)。HAM―D―17項目における反応率も,sertraline群がプラセボ群に比べて有意に高かった(79.3%vs.50.8%;p<0.05)。不安うつ病患者におけるsertralineの有効性は,全患者におけるHAM―D―17項目の合計評価点の減少および反応率と同等であった。今回,欧米のうつ病患者を対象として実施された臨床試験に関する既報について,sertralineの日本の承認用量内(100mg/日以下)にて再解析を行ったところ,sertralineは不安を併発したうつ病にも優れた効果を有し,その抑うつ症状の改善度は大うつ病性障害の全患者における改善度と同等であった。 Key words :anxiety depression, major depressive disorder, sertraline
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臨床精神薬理 11巻11号, 2103-2121 (2008);
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統合失調症急性期の患者1142名を対象に実施したolanzapineの特定使用成績調査をもとに,中間解析対象患者583名における安全性と有効性の調査結果を報告する。安全性に関しては,olanzapine投与開始後に錐体外路症状の改善が認められ,著しい過鎮静は1名のみに生じただけであり,認容性に大きな問題は観察されなかった。有効性の指標としたBPRS陽性サブスケール合計点は,olanzapine投与開始3日後から有意な改善を示し,6週間後まで継続した。またolanzapine開始時の1日投与量が多い程,またolanzapine以外の抗精神病薬の1日投与量が少ない程,6週間後の症状改善が認められた。この結果より,統合失調症急性期に対して,臨床経過や症状にあわせての十分なolanzapineの処方と共に,他の抗精神病薬の投与量の見直しなどが陽性症状を改善し,かつ錐体外路症状も悪化させにくい認容性の高い治療法である可能性が示唆された。 Key words :olanzapine, schizophrenia, acute, efficacy, observational
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【症例報告】
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臨床精神薬理 11巻11号, 2123-2127 (2008);
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妄想と幻視を主訴とするうつ病にfluvoxamineが奏効した1例を報告する。症例は64歳男性で,妄想に伴う鮮明な幻視が持続したことが特徴的であった。当初は,うつ症状が目立たず,妄想と幻視の治療目的でolanzapineを用いたが,反応を示さなかった。治療の経過において,うつ病に特徴的な罪業,貧困,心気妄想が明らかになった。活動性の著しい減退,不眠と入院を要するほどの困惑状態も認めたことから“妄想性うつ病”と診断し,fluvoxamineの投与を開始した。Fluvoxamineは150mgまで漸増し,olanzapineは漸減中止したところ,妄想および幻視は消失し退院となった。Fluvoxamineの妄想性うつ病に対する高い有効性にはσ1受容体に対する親和性が関与している可能性が示唆されていることから,興味深い症例と考えられる。 Key words :selective serotonin reuptake inhibitor(SSRI), fluvoxamine, depression, visual hallucination
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【シリーズ】
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臨床精神薬理 11巻11号, 2129-2139 (2008);
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【講演紹介】AAPシンポジウム2008:基調講演
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臨床精神薬理 11巻11号, 2159-2167 (2008);
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【講演紹介】AAPシンポジウム2008:講演
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臨床精神薬理 11巻11号, 2168-2174 (2008);
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【講演紹介】AAPシンポジウム2008:特別講演
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臨床精神薬理 11巻11号, 2175-2185 (2008);
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