糖尿病ケア
Volume 5, Issue 1, 2008
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特集
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- HbA1Cをもう1%下げるために私たちの療養指導と患者さんとのかかわり
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HbA1Cをもう1%下げるために私たちの療養指導と患者さんとのかかわり
5巻1号(2008);View Description Hide Description糖尿病治療の目標は、QOLにかかわる重篤な合併症を防ぐことにあり、そのためには「良好な血糖コントロールを保つこと」の重要性が大規模臨床試験で示されています。そして、血糖コントロール状態を見るためによく活用されるのが、過去1〜2か月の血糖の平均をあらわすHbA1Cです。日本糖尿病学会は、血糖コントロール指標であるHbA1C値を重視し、「(血糖コントロールの)主要な判定はこれによって行う」としています。そして、同学会の示す血糖コントロールの指標と評価では、HbA1C5.8%未満が「優」、5.8〜6.5%未満が -
- マイナス1%のための取り組み
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食事指導に重点を置いて
5巻1号(2008);View Description Hide Description糖尿病患者さんの療養に携わっている医療スタッフの多くが、どのようにすれば患者さんが意欲を持ち、治療を継続してもらえるか悩み、日々苦労しています。特に2 型糖尿病は、その発症に食事や運動などのさまざまな生活習慣が深く関与しており、医療スタッフが具体的にかかわって生活習慣を改善させることが、治療面において必要不可欠であると思います1)。なかでも食事指導は、患者さんの心理状態を把握し、患者さんを受け入れ、理解することから始まります。このような内面的アプローチと同時に、患者さんの栄養状態を多角的にきっちりと把握する必要があります。 -
運動療法に重点を置いて
5巻1号(2008);View Description Hide Description糖尿病に罹患したことから、後悔や失望感を持つ患者さんとしばしば出会います。合併症や将来の不安を考えると、その気持ちは十分に察することができます。負のイメージが大きい患者さんほど、指示カロリー以上の食事療法やきつい運動療法を自身に課し、血糖コントロールに厳格になりすぎるという印象を受けます。ときに血糖値に一喜一憂し、落ち込む姿も見ます。筆者らはそのような患者さんに対して、日々の血糖値だけでなく、1 か月、2 か月単位で評価できるHbA1C も併せて総合的に判断するよう話しています。まじめでがんばりすぎる患者さんでも、手抜きをしながら楽しく運動療法が続けられるよう、筆者らが心がけている指導のポイントについて紹介します。 -
SMBGを活用して
5巻1号(2008);View Description Hide DescriptionSMBG はご存知のように“Self Monitoring ofBlood Glucose(血糖自己測定)”の略ですが、これは、単に血糖を自分で測るという意味だけではありません。そのときの血糖の高さを単に確認するだけでなく、なぜその血糖値が出たのか、その意味を考えて、食事・運動などの日々の生活や、糖尿病治療にフィードバックし、よりよい血糖コントロールを達成するという目的を持っています。本稿では、SMBG を活用して糖尿病をコントロールしようとする意識を高めることにより、良好なコントロールを達成できた症例を通して、SMBG の有効な活用方法を示します。 -
フットケアを通じて
5巻1号(2008);View Description Hide Description昨今、糖尿病患者が増加の一途をたどっており、それに伴い糖尿病足病変を合併する患者も増加しています。特に足壊疽をきたした場合、悪化すれば足の切断を余儀なくされ、日常生活にも大きく影響します。足病変の悪化は血糖コントロールにも影響します。感染を伴えばインスリン抵抗性が増強し、血糖値は上昇します。そうすると、さらに感染は悪化するというような悪循環に陥ります。また、足病変を伴うと運動量も減少し、血糖コントロールを悪化させます。したがって、糖尿病足病変を有する患者のケアはきわめて重要です。しかしながら、時間が限られた糖尿病診療の中で足を診ることは、ついついおろそかになりがちです。糖尿病治療はチーム医療の最たるものであり、チームとして足病変を早期に発見し治療していく必要があります。そこで今回、患者さんの足を診ることで、足病変の改善のみならず、血糖コントロールも改善した一例を紹介します。 -
HbA1Cマイナス1%がこころに与える影響
5巻1号(2008);View Description Hide Description近年、糖尿病診療においても心理面からのアプローチが重要視され、さまざまな知見が報告されています。たとえば、血糖コントロールの良好な患者さんとそうでない患者さんでは、心理特性にどのような違いがあるのか、あるいはその対処法としてどのような工夫が必要かなどについて、研究がなされています。以前、筆者らが行った調査では、血糖コントロールの良好な患者さんはそうでない患者さんに比べ、糖尿病の罹患ストレス(糖尿病に罹患した際の受け入れ段階でのつまづき)が低く、社会的な支援を享受しているという結果が出ています。すなわち、医療者は患者さんが疾患をきちんと受け入れられるように導き、また社会的資源を十分に活用して援助することが重要だといえます。今回のテーマである、「血糖コントロールがよくなったときの気持ち」については、あまり論じられることもなかったせいか、適切なデータが見当たりませんでした。おそらく、血糖コントロールの良好な患者さんに対しては、それ以上介入する必要もないので、コントロールの悪い患者さんを調査対象にすることが多かったからと思われます。そこで今回、血糖コントロールの改善が、実際に患者さんの心にどのような影響を与えるのか、筆者らが行った調査結果をもとに考察します。 -
HbA1C認知向上への工夫
5巻1号(2008);View Description Hide Description知っているようで意外に理解されていない「HbA1C」。社団法人日本糖尿病協会では2007 年6 月より、糖尿病の正しい知識を学びながらウォーキングと卓球を楽しく体験する「グリコヘモグロビン(HbA1C)認知向上運動」を開始し、東京、静岡で順次イベントが開催されています。患者さんにHbA1C を理解してもらうためには、「HbA1C 値の結果に「30」を足して体温に例える(36 度は平熱、37 度は微熱で注意、38 度は高熱で危険)」など、従来からさまざまな工夫がなされてきました。日常診療でHbA1C の理解を高めるためになされている工夫の報告を紹介します。
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レポート
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連載
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- LOOK!LOOK!CDE活動状況報告書
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- デンナースのヒュゲリな生活
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- 糖尿病の文献 これだけはおさえておこう!
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- ケアの?に理学療法士が答える!糖尿病療養援助誌上相談室
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患者さんに運動療法の大切さを指導しているのですが、継続率が思わしくありません。どのように指導したら患者さんはやる気になって運動を継続してくれるのでしょうか?
5巻1号(2008);View Description Hide Description - 糖尿病の検査と病態 正しく学ぶ! AtoZ
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- 聞いて! 聴いて! 効いた! 食事指導
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寄稿
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- ケースレポート
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糖尿病教育入院患者への看護学生のかかわり −患者理解からの指導を振り返る−
5巻1号(2008);View Description Hide Description今日、生活習慣病は代表的な疾患の一つで、糖尿病患者は増加の一途をたどっています。糖尿病患者は約740万人おり、「糖尿病の可能性を否定できない人」を合計すると、約1,620万人いるとの報告があります1)。糖尿病は生涯にわたって、食事、運動、薬物などの自己管理を必要とする疾患であり、良好な自己管理を行っている患者については、合併症が軽微であるといわれています2)。成人慢性期看護学実習において、看護学生が糖尿病を理解して必要な知識や技術を習得することを目的とし、糖尿病患者を受け持つ機会が多くあります。今回の実習で学生は、糖尿病の教育入院を目的とした患者を受け持ちました。学生は実習の中で、患者とともに栄養指導や運動療法に参加して多くの時間を共有、また情報収集を行うことで、退院後に活用できる食事・運動に向けたパンフレットを作成し、指導を行いました。当初、学生が作成したパンフレットは、患者の退院後の食生活や運動において活用しにくいものであることがわかりました。そこで、患者からの意見や不足している情報の収集を整理していく過程で、患者が退院後も継続して活用できる食事・運動へのアドバイスを教員から行いました。学生は他部門と連携を図りながら、パンフレットの修正を行いました。その過程の中で、患者の個別性に向けた指導の大切さや患者を理解することの難しさを学生が実感する学びにつながったため、ここに報告します。