ニュートリションケア
Volume 1, Issue 1, 2008
Volumes & issues:
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創刊特別企画
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- 編集委員長の言葉
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- 編集委員・編集顧問の言葉
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- Nutrition Care編集同人
- 編集同人に聞く!
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患者の栄養を支える5 年後の私、10 年後の私
1巻1号(2008);View Description Hide Description「Nutrition Care」創刊にあたり、編集同人にご参画いただいた先生方に、「5 年後の私」「10 年後の私」というテーマで、アンケートにご回答いただきました。目標や希望は周囲に宣言すると叶いやすくなるそうです。もちろん一日一日の積み重ねが大切なのはいうまでもありませんが、何年後かの自分を想像しながら日々の仕事に取り組むと、その一日も変わってくるのではないでしょうか。仕事のことだけでなく、プライベートのことも含めて、さまざまなご意見が集まりました。今から5 年後、10 年後が楽しみですね。ご協力いただきました編集同人の先生方、ありがとうございました。ぜひ読者のみなさんの「5 年後の私」「10 年後の私」も、Nutrition Care 編集室に教えてください。
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特集
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- ベッドサイドでみる・きく・さわる 栄養状態のフィジカルアセスメント
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- 特集(1)
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フィジカルアセスメントの意義と考え方
1巻1号(2008);View Description Hide Descriptionフィジカルアセスメントの「フィジカル」とは「身体的な」ということです。一方の「アセスメント」とは「情報となる素材の収集とその整理」と考えられます。かつては、physical は物理学を表すphysics と似ていることから「理学」と訳されていたことがあり、本来は「身体所見」と訳すのが正しいはずのphysicalfindings が、「理学所見」と呼び慣わされていたという経緯があります。 - 特集(2)
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ヘルスアセスメントの栄養領域へのいかし方
1巻1号(2008);View Description Hide Descriptionヘルスアセスメントは、1970 年代、アメリカにおいてはじめて看護領域に導入され、わが国では1990 年になってから看護教育に導入されました。遅れること10 年、21 世紀になり臨床栄養教育の場にも、ヘルスアセスメントの考え方が取り入れられつつあります。最近の管理栄養士の業務領域を考えると、臨床から地域や福祉施設、在宅栄養管理へと大きく拡大しています。このような状況を踏まえると、これまでのように医師や看護師、保健師、薬剤師、介護士、理学療法士など、さまざまな職種とチームケア活動を行う必要性に迫られるなかで、管理栄養士だけが献立作成や栄養価計算、身体計測、栄養食事指導といった業務のみにとどまっていたのでは、生き残っていけない現状を認識することが必要です。 そこで今回は、栄養アセスメントと称される域を大きく拡大した視点で、ヘルスアセスメント技法から栄養状態の把握、介入、教育、実施、効果という一連の流れを考えてみたいと思います。 - 特集(3)疾患別フィジカルアセスメントのポイント
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3-1 消化器疾患(肝臓)
1巻1号(2008);View Description Hide Descriptionまずは患者の訴えに耳を傾けることがもっとも重要です。肝疾患においても違いはありません。肝機能の改善、悪化に伴う症状の変化を加味することにより、適切な栄養管理につなげることができます。 -
3-2 消化器疾患(腸)
1巻1号(2008);View Description Hide Description小腸に病変が存在することにより、栄養の吸収不良となるため、やせ、皮下脂肪の減少、筋肉の減少となることが多いです。また、肛門病変や腹痛、下痢のために摂食を避けるようになると、急激な体重減少を起こすことも少なくありません。 -
3-3 消化器疾患(胃・十二指腸・膵臓)
1巻1号(2008);View Description Hide Description患者の病気については、生活像や主訴、現病歴、既往歴、家族歴などを合わせて関連づけて聴取します。患者やその家族の生活環境、家庭生活の状況、暮らし方のスタイル、運動、趣味、嗜好(タバコ、アルコール、そのほか)など、アウトラインをあきらかにしていきます。 視診で重要なのは、「何を診 ているか」をあきらかにすることです。つまり、「診るべき疾患」がわかっていないと、「何を見 てよいのか」はわからないといえます。 また、栄養状態の把握においては、患者の状態を指標に置き換えることが多々あります。BMI をその例にとってみますと、BMI 22 の患者すべてが栄養状態は良好であるわけではありません。腹水や浮腫がある場合、筋肉質なのかどうかも含めて考える必要があります。つまり、単に「見 る」のではなく、「観点を明確にして観察する」ことが大切です。 -
3-4 消化器疾患(急性・イレウス)
1巻1号(2008);View Description Hide Description口唇を含めた皮膚の乾燥がみられる場合は、脱水が考えられます。脱水は皮膚を脆弱化させ褥瘡をもたらしやすく、注意が必要です。 長期絶食にて末梢静脈栄養(partialparenteral nutrition;PPN)、中心静脈栄養(totalparenteral nutrition;TPN)を導入している患者、および高齢者の場合は、パラフィン様皮膚〈蛋白質〉、口唇炎〈ビタミン〉、褥瘡〈エネルギー、蛋白質、ビタミンC、亜鉛〉、蒼白〈ビタミンB12、葉酸、鉄〉、皮膚の角質細胞が?がれる〈必須脂肪酸、蛋白質、ビタミンA 群、ビタミンB 群、亜鉛〉、皮膚角質化〈ビタミンA、ビタミンC〉がみられます。 -
3-5 心臓疾患
1巻1号(2008);View Description Hide Description脂質異常症(高脂血症)の患者にしばしば黄色腫(xanthoma)がみられます。黄色腫は脂質の沈着によって、皮膚にできる黄色みを帯びた盛り上がった斑点状の発疹です。黄色腫は、上眼瞼内角に対側性にできることが多いとされています(写真1)。また脂質異常症の型によって、特徴や場所が異なります。家族性高コレステロール血症では、皮膚のみならず腱鞘(とくにアキレス腱)にも出ることがあります(腱黄色腫)。 -
3-6 腎疾患
1巻1号(2008);View Description Hide Description慢性腎不全透析患者においては、皮膚のかゆみはもっとも頻度の高い合併症状です。かゆみの原因として、尿毒症物質の蓄積、二次性副甲状腺機能亢進症、透析器材の滅菌などによるアレルギー、皮脂腺機能低下などが考えられています。これらの点と食事管理を関連づけて考えると、二次性副甲状腺機能亢進症の抑制にはリン摂取のコントロールが重要です。 -
3-7 脳血管疾患
1巻1号(2008);View Description Hide Description脳血管疾患は、高血圧症、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などが要因となっています。そのため、それらの疾患に応じたアセスメントが必要ですが、今回は誌面の都合上別ページにゆずり、本稿では脳血管疾患に特異的な問題である、摂食にかかわるアセスメントについてのみ述べたいと思います。 -
3-8 貧血
1巻1号(2008);View Description Hide Description貧血(anemia)とは、血液中のHb 濃度、赤血球(RBC)、Ht が基準値未満に低下した状態です。より簡単には、血液単位容積中のHb の低下を貧血といいます。WHO の基準に準拠して、男性では13g/dL 未満、女性では12g/dL未満としています。参考になるPracticalHaematorogy による赤血球系血算と赤血球指数の基準値を表11)に示します。自覚症状としてみられる息切れ、動悸、倦怠感や頭痛、めまい、浮腫など、貧血の一般症状を表21)に示します。本稿では貧血のフィジカルアセスメントのポイントについて述べます。 -
3-9 るいそう(食欲不振)
1巻1号(2008);View Description Hide Description当院では入院時スクリーニング(SGA により看護師が実施)と、栄養アセスメント(管理栄養士実施)にて過去6 ヵ月、および過去1 ヵ月での体重の変化、とくに減少率やBMI または標準体重に対する% IBW を算出します。そこでるいそうが著明である患者に対しては「体重減少」や「低体重」といった身体的評価を行ったあと、さらに摂食状況や検査データなども加味し、最終的な栄養状態の評価を実施しています1)。その後コメントを添えて病棟へ評価用紙が戻り、主治医へのNST 依頼の有無の確認後、必要によりNST による栄養ケアが開始されるシステムとなっています。 -
3-10 肥満
1巻1号(2008);View Description Hide Description肥満とは、「体の構成成分のうち脂肪組織の占める割合が正常以上に増加した状態」と定義されています。肥満は「単純性肥満」と「症候性肥満」の2 種類に大別されます。前者は過食や運動不足が原因で、90%以上がこのタイプです。後者は、何らかの基礎疾患に起因するものです。
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レポート
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- がんばる栄養士を応援します!わたしたちの施設の期待の星
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聖バルナバ病院 谷本直子さん
1巻1号(2008);View Description Hide Description第1 回の期待の星は、大阪市天王寺区にある聖バルナバ病院、栄養管理室の谷本直子さんです。
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連載
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- アレンジ簡単! 治療食からふるレシピノート
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節 分
1巻1号(2008);View Description Hide Description入院中だからこそ、食事を楽しみにしている患者さんも多いと思われます。各施設でも味はもちろんのこと、食材の切り方、いろどり、盛りつけ、器やメッセージカードなど、さまざまな工夫で治療食を提供していることでしょう。この連載では、患者さんに季節を感じてもらえるような行事食を中心に取り上げ、毎回8 種類のアレンジを紹介します。 - 管理栄養士ぷらすワン 資格取得のススメ
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健康運動指導士
1巻1号(2008);View Description Hide Description病院の管理栄養士として入院・外来・在宅・健診センターの栄養相談・指導・教育に従事しているときに、疾病の予防・治療と身体活動・運動は切り離せないことに気づきました。私の大学時代の栄養士養成のカリキュラムには、運動生理学の講義も実習もありませんでした。人間のエネルギー消費と身体活動・運動との関連に疑問が生じたころに、健康運動指導士の情報が入ってきました。 - ベテラン栄養士からのメッセージ 思い出の扉を開けて
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そうめんゼリーがおいしい!
1巻1号(2008);View Description Hide DescriptionA さんは嚥下障害により経口摂取ができない状態でしたが、むせながらも口から食べたいという思いが強く、「そうめんゼリー」をつくって食べてもらうことにしました。 - ダメダメ指導にさようなら 栄養指導の○と×
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胃切除後の栄養指導
1巻1号(2008);View Description Hide Description患 者:A さん、40 歳代半ば、男性。既往歴:虫垂炎(24 歳時)。診 断:胃がん(病期Ⅲ b)。術 式:胃全摘術(R-Y 法:食道小腸吻合)。主 訴:体重減少。 - フレッシュ栄養士のひとりごと 私の心に残った患者さん
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患者さんとアジフライから始まった私の一歩
1巻1号(2008);View Description Hide Description私は今年(2007 年)大学を卒業し、新米の栄養士として当院に勤めています。この半年は今までの生活と違い、たくさんの方々とお会いすることができました。そのなかでいちばんに思い出すのは、アジフライがあるときの笑った顔が印象に残っている、ある一人の入院患者さん、A さんのことです。 - 栄養療法・栄養指導に役立つ 特殊食品・栄養補助食品オススメファイル
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経腸栄養剤(食品タイプ)(1)
1巻1号(2008);View Description Hide Description使用者の評価 ◎ ほかの栄養剤でコントロールがむずかしかった重症の呼吸器疾患の症例に使用後、状態が安定しました。◎重症肺炎で糖尿病の合併症のある症例に使用し、状態が改善しました。◎下痢が持続している症例に使用後、良好な排便コントロールが可能となりました。◎胃全摘術前の低栄養症例に経口投与し、術後も良好な経過をたどりました。◎ PEG 造設のクリニカルパスの投与栄養剤としてルーチンで使用しています。◎重症の褥瘡症例で使用し、改善がみられました。 - イラストでわかる 臨床栄養にいかす生化学講座
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糖 質
1巻1号(2008);View Description Hide Description糖質は、脂質、蛋白質と並んで3 大栄養素の一つで、ごはんやパンなどの穀類に多く含まれ、おもにエネルギー源として利用される重要な栄養素です。糖質は炭素(C)、水素(H)、酸素(O)で構成されており、1 gで産生されるエネルギーは4kcal です。化学構造の特徴から、ブドウ糖などの「単糖類」、ショ糖やオリゴ糖などの「少糖類」、でんぷん、グリコーゲンなどの「多糖類」に分類されます。植物は水と二酸化炭素から光合成によってブドウ糖をつくり、根などにでんぷんとして蓄え、エネルギー源として利用します。われわれ動物は脂肪やアミノ酸から合成される糖質はあるものの、大部分は植物の糖質を利用しています。糖質は摂取エネルギーの50 〜 70%を供給し、そのうちでんぷんとショ糖が約90%を占めています。 - 臨床で自信がつく! 栄養アセスメントクイズ
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BMI
1巻1号(2008);View Description Hide DescriptionA さん、55 歳、男性。全身倦怠感と膝の痛みを主訴に来院しました。下記の検査データをもとに、A さんのBMI と肥満度を求めてください。また、A さんはメタボリックシンドロームに該当するでしょうか。〈初診時の検査データ〉 身長192cm、体重110kg、腹囲84cm、TG 145mg/dL、HDL コレステロール45mg/dL、FBS 108mg/dL、上腕血圧右125/80mmHg、上腕血圧左129/79mmHg。 - フローチャートで一発理解! 疾患別栄養療法のすすめ方
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胃・十二指腸潰瘍
1巻1号(2008);View Description Hide Description胃酸やペプシンにより胃や十二指腸壁が損傷を受け、欠損を生じる病態であり、総称して「消化性潰瘍」とよばれることもあります。組織欠損の深さにより4 段階に分類されます(図1、2)1)。粘膜層のみの欠損を「びらん」、粘膜下層におよぶ欠損を「潰瘍」といいます。筋層、漿膜に達するものほど治癒しにくくなり、漿膜におよぶ深部の潰瘍では穿孔を生じることもあり、腹膜炎を生じると手術が必要となる場合もあります。なお、十二指腸潰瘍は胃幽門部に近い球部にもっとも多く生じます。 - NUTRITION ANTENNA