ニュートリションケア
Volume 1, Issue 5, 2008
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特集
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- これだけは知っておきたい!アセスメントに役立つ検査値の読みかた
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- これだけは知っておきたい!アセスメントに役立つ検査値の読み
- 特集1
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1 栄養アセスメントにおける検査値の読みかたのポイント
1巻5号(2008);View Description Hide Description「栄養アセスメント」とは身体計測、生化学検査、臨床検査、食事摂取状況などから得られる情報に基づいて、栄養状態の評価を行うことです。そのためには、個々の患者の病態や病状を十分理解したうえで行われなければなりません。むろん疾病や検査値の意味を熟知していることが大切です。アセスメントは、現在の状況一点のみを知るためのものではなく、1 週間前または1 週間後の状態(結果)とも比較検討し、再評価するとともに、栄養改善につなげていくものです(図1)。 - 特集2
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2-1 身体計測(身長、体重、BMIほか)
1巻5号(2008);View Description Hide Description栄養アセスメントは、栄養スクリーニングで栄養学的にリスクを有すると判定されたすべての患者について、問診、身体検査、各種検査に基づいて栄養状態を総合的に評価する方法です。臨床でのアセスメントは数値のみで判断するのではなく、全身の外観や浮腫、腹水、皮膚の変化などの理学的所見も含めて評価することが大切です。ここでは栄養アセスメントにおいて、もっとも簡易で基本的な身体計測について説明します。 -
2-2 安静時エネルギー代謝量(基礎代謝、呼吸商)
1巻5号(2008);View Description Hide Description安静時代謝量(resting metabolic rate;RMR)とは、坐位における基礎代謝量のことを示します。また、基礎代謝量(basal metabolic rate;BMR)は生命維持に必要な最小エネルギー量のことを意味し、快適な環境下での仰臥位、安静、覚醒状態のエネルギー消費量のことをいいます。その実測値が間接カロリーメーターを用いて測定された消費熱量、つまりエネルギー消費量(energyexpenditure;EE)です。さらに、EE に生活活動における必要な活動代謝量と、食事摂取に伴う体熱産生の量(食事誘発性体熱産生〈diet-induced thermogenesis;DIT〉)を加えたものが、1 日の総エネルギー消費量(total energy expenditure;TEE)ということになります。 -
2-3 赤血球指数(RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC)
1巻5号(2008);View Description Hide Description血液1 μL 中には赤血球が約450 万個含まれ、その寿命はおよそ120 日といわれています。通常、肘正中皮静脈から採血した検体で評価します。ここでは各赤血球指数の定義などを説明します。 -
2-4 総たんぱく質(TP) 血清アルブミン(Alb)
1巻5号(2008);View Description Hide Description血液中のたんぱく質を調べることにより、たんぱく質の摂取、吸収、合成にかかわる臓器の状態とたんぱく質量に影響する血漿水分量や漏出、炎症に伴うグロブリン(Glb)の増加などを知ることができます。 血液中には約100 種類のさまざまなたんぱく質が存在しており、栄養の補給や物質の輸送、免疫など重要なはたらきをしています。 -
2-5 血糖(HbA1C、GA、GLU
1巻5号(2008);View Description Hide Descriptionグリコヘモグロビン(HbA1C)はヘモグロビン(Hb)にブドウ糖が結合したもので、採血時より過去1 〜 2 ヵ月の平均血糖値を反映します。グリコアルブミン(GA)はグルコース(GLU)とアルブミン(Alb)が非酵素的に結合したもので、過去2 週間〜 1 ヵ月の平均血糖値を反映します。GLUは血液中に存在する糖類で、ブドウ糖が主成分です。血糖値は血中のブドウ糖濃度を示します。 -
2-6 脂質(Tcho、LDL-C、HDL-C、TG)
1巻5号(2008);View Description Hide Description近年、生活習慣の変化による肥満、脂質異常症例の増加が問題になっています1)。また、脂質は栄養状態の指標として用いられますが、種々の疾患や薬剤の影響を受けるため注意が必要です。脂質は水に溶けにくいため、アポたんぱくと結合してリポたんぱくとして血中に存在しています。密度によりカイロミクロン(CM)、超低比重リポたんぱく(VLDL)、中間比重リポたんぱく(IDL)、低比重リポたんぱく(LDL)、高比重リポたんぱく(HDL)に分類されます。CM は腸管から吸収された脂質(おもにトリグリセリド〈TG〉)を運搬し、VLDL、IDL、LDL は肝臓で合成された脂質を末梢に運搬します。VLDL はおもにTG を、LDL はおもにコレステロールを運搬し、IDL はVLDL がLDL に代謝される中間産物で、CM の代謝産物を含めてレムナントと呼ばれています。コレステロールは細胞膜、ステロイドホルモンや胆汁酸の原料として重要ですが、過剰なLDL は動脈硬化の原因となります。HDL は末梢の余ったコレステロールを肝臓に運ぶので、抗動脈硬化作用があります。また、TG(CM)が著増している場合は急性膵炎に注意を要します。 -
2-7 コリンエステラーゼ(ChE
1巻5号(2008);View Description Hide Descriptionコリンエステラーゼ(ChE)は肝細胞で合成され、コリンエステルを有機酸とコリンに加水分解する酵素であり、血清総たんぱく質(TP)やアルブミン(Alb)、総コレステロール(Tcho)、総リンパ球数(TLC)とともに栄養アセスメントの客観的な指標として用いられます。栄養障害の判定や経過観察に有用ですが、肝障害などでも低下することから、栄養障害に特異的な指標ではないことに留意する必要があります。 -
2-8 クレアチニン(Cr) クレアチニン・クリアランス(Ccr)
1巻5号(2008);View Description Hide Description腎臓の機能は、一般には血清クレアチニン(Cr)値を用いて評価します。Cr は「クレアチン」という筋肉の構成要素が分解されて血中に流れ出たもので、腎臓経由でしか体外に濾過・排出されません。腎機能が正常であればつねに一定の値が保たれますが、腎機能が低下して糸球体の濾過機能が落ちてくると、血中に残るCr が増え、血中のCr 濃度が上昇します。血清Cr 値は、この血中のCr 濃度の指標です。血清Cr 値は各人の体重、年齢、性別によって大きなばらつきがあります。 血清Cr と尿Cr を用いてクレアチニン・クリアランス(Ccr)を計算して、腎機能を評価します。 Cr は筋肉中のクレアチンの終末代謝物であり、腎糸球体で濾過され、尿細管での再吸収や分泌が少ないので糸球体濾過量(GFR)の指標として用いられます。しかし、GFR が3 分の2 程度に低下するまで(軽度の腎機能低下、CKD ステージ1・2 などの時期)、Cr の著変を評価することは困難です。 -
2-9 血中尿素窒素(BUN) 尿酸(UA)
1巻5号(2008);View Description Hide Description尿素は尿酸(UA)とともに、たんぱく質の主要な最終代謝産物です。肝臓で尿素サイクルを経て合成され、腎臓で排泄されます。血中尿素窒素(BUN)は、血中尿素に含まれる窒素成分を表したものです。BUN は、腎機能障害の疑いがある場合、クレアチニン(Cr)とともに必須の検査項目です。ただし、消化管出血、心不全、ショック、脱水、発熱などで上昇し、たんぱく質、水分の摂取状況などの影響を受けることがわかっています。 -
2-10 電解質(Na、K、Cl)
1巻5号(2008);View Description Hide Description体液中に溶解して解離した陽イオン(cation)と陰イオン(anion)は、電流を通すことから電解質(electrolyte)と呼ばれ、おもに、体液浸透圧の調整、酸塩基平衡の維持、電流による運搬、さらに酵素活性に必要な補助因子として機能します。電解質濃度は、溶液中のイオンの電荷数で表し、その単位はmEq(ミリグラム当量;milieqivalent、通称メック)で示されます。電解質は体液量の変化に影響を受けることから、まずは体液分布を理解しておくことが大切です。体液は、体重の約40%が細胞内液(intracellular fluid;ICF)、体重の約20%が細胞外液(extracellular fluid;ECF)で、さらに細胞外液は間質液(intersticial fluid;ISF)15%と血液中の血漿5%に分けられます。
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特別企画
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特定検診・特定保健指導導入によって何が変わるか
1巻5号(2008);View Description Hide Description2008 年4 月から特定健診・特定保健指導が始まりました。この背景には、糖尿病、脂質異常症などに代表される生活習慣病によって引き起こされる心筋梗塞や脳梗塞といった動脈硬化性疾患の増加があります。それぞれ日本人の死因第2 位と3 位であり、国民医療費の面でも現在30%を占め、これが年々増加傾向にあります1)。
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レポート
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- がんばる栄養士を応援します! わたしたちの施設の期待の星
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社会福祉法人明石恵泉福祉会 恵泉第3特別養護老人ホーム 浅田有美さん
1巻5号(2008);View Description Hide Description今回の期待の星は、2007年4月に開設したばかりの兵庫県明石市にある恵泉第3特別養護老人ホームの浅田有美さんです。
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連載
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- ベテラン栄養士からのメッセージ 思い出の扉を開けて
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毎日が前進! プラスにならないことはない
1巻5号(2008);View Description Hide Description私が病院の栄養士になって30 年が過ぎました。今では考えられませんが、私が就職したときは栄養士が10 人もおり、私が11 人目でした。まず3 年間は厨房のみの仕事でしたが、それが今の土台となっています。 - フレッシュ栄養士のひとりごと 私の心に残った患者さん
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患者さんの不安と向き合っていきたい
1巻5号(2008);View Description Hide Description私とA さんとの出会いは、低アルブミン血症と浮腫で入院している患者さんに「何かできることはないか?」という個別対応の依頼からでした。 - アレンジ簡単! 治療食からふるレシピノート
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行楽弁当
1巻5号(2008);View Description Hide Description今回は秋の食材を用いて、彩りや味つけがバラエティ豊かな、どの食種も楽しめるお弁当です。主食は、秋ならではの栗ご飯。副食は、冷めてもおいしい秋鮭のマリネ、彩りがきれいな千草焼き、鶏の照り焼き、きのことピーマンの炒めもの、なすの田楽、五目煮、ブロッコリーのチーズ焼き、スイートポテトです。品数は多くなりますが、効率よく展開しながら、1 つのお弁当のように盛り合わせます。常食は、お弁当に果物とすまし汁を添えました。 - 管理栄養士ぷらすワン 資格取得のススメ
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製菓衛生師
1巻5号(2008);View Description Hide Description「お菓子やパンが焼きあがったいいにおい」。小さかったころの楽しい記憶には、いつもこのいいにおいがついてきます。私の実家は祖父の代からの製菓業者で、毎日毎日、父はさまざまな和洋菓子やパンをつくっていました。幼い私にとって、父の手から次々とたくさんのお菓子がつくられていく様子を見ることは、本当にワクワクして楽しいものでした。でもその楽しい思い出が、すぐに製菓衛生師の資格取得へと結びついたわけではありません。 - ダメダメ指導にさようなら 栄養指導の○と×
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慢性維持血液透析患者の栄養指導
1巻5号(2008);View Description Hide Description2006 年度末の「わが国の慢性透析療法の現況」1)によると、わが国で慢性透析療法を実施している患者数は264,473 人であり、前年度より6,708 人の増加、さらに平均年齢は64.4 歳で0.5 歳の上昇と、透析患者の増加と高齢化が社会的問題となっています。また、糖尿病性腎症が透析導入原因疾患の第1 位(42.9%)となっており、糖尿病を含めた生活習慣病の疾病予防が今後の課題です。一方、透析期間別でみると、10 年以上の長期透析患者の割合も25.3%と少しずつですが増加しています。 - 栄養療法・栄養指導に役立つ 特殊食品・栄養補助食品オススメファイル
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固形・半固形化調整食品
1巻5号(2008);View Description Hide Description使用者の評価(医療者の声)◎ 半固形化栄養剤を使用することがむずかしい経鼻経管栄養の患者に使用できるので、重宝しています。◎ 別途水分補給の必要がないケースが多く、水分管理が容易です。◎ 胃食道逆流や下痢が改善されました。◎ 液状経腸栄養剤単独で使用する場合や半固形化栄養剤を使用する場合に比べ、多少手技が複雑なので使用時に注意が必要です。 - イラストでわかる 臨床栄養にいかす生化学講座
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ビタミンD
1巻5号(2008);View Description Hide DescriptionビタミンD は、カルシウムの吸収を促して丈夫で健康な骨をつくる栄養素です。古くからヨーロッパを中心に多くみられた、骨の病気「くる病」の予防に有効なビタミンとして発見されました。ビタミンC の次に発見されたので、ビタミンD と名づけられたようです。 ビタミンD は日光にあたることによって、コレステロールの中間体の7- デヒドロコレステロール(プロビタミンD3)から皮膚で合成されます。そういう意味では、厳密には体内でつくれないビタミンとは言えません。しかし、日光が不十分なときには牛乳、乳製品、卵、肝臓、魚などからとる必要があります。 - 臨床で自信がつく! 栄養アセスメントクイズ
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- フローチャートで一発理解! 疾患別栄養療法のすすめ方
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脂質異常症
1巻5号(2008);View Description Hide Description脂質異常症とは、血清LDL コレステロール(LDL-C)、トリグリセリド(TG)、HDL コレステロール(HDL-C)濃度のいずれか1 つ以上が異常である場合に診断されます(表)。脂質異常は冠動脈疾患の重要な危険因子であり、高コレステロール血症の治療による1%の血清コレステロールの減少は、2%の虚血性心疾患の発症を減少させるとされ、脂質異常症の治療は心筋梗塞の一次・二次予防に不可欠です。 - NUTRITION ANTENNA
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