ニュートリションケア
Volume 3, Issue 5, 2010
Volumes & issues:
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目次
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特集
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- イラストと画像でわかる! 消化器疾患の栄養療法① 消化管編
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- 1 消化管のしくみとはたらき
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1 食道のしくみとはたらき/2 胃のしくみとはたらき
3巻5号(2010);View Description Hide Description食道は、咽頭と胃をつなぐ細長い消化管で、食物を消化する機能はなく、食物を口から胃へ送る通路です。食道の上端は輪状軟骨下端(第5-6 頸椎)から始まり、後縦郭を下降し横隔膜を貫き、第11 胸椎の前左側で胃噴門に移行します。成人では、個人差はありますが平均25cm程度です。 -
3 小腸のしくみとはたらき/4 大腸・肛門のしくみとはたらき
3巻5号(2010);View Description Hide Description小腸は消化管のなかでいちばん大事な臓器です。ほかの消化管(食道、胃、大腸)はなくても(手術などで全部とっても)生きていけますが、小腸なしでは生きていけません。そのため、心臓、肝臓、肺などとともに移植手術の対象にもなっています。ヒトは酸素と水と栄養がなければ生きられません。心臓と肺なしで生きられないのは全身に酸素(血液)を供給できないからですが、小腸がないと生きられないのは、食物の消化と吸収ができなくなるからです。 - 2 消化管疾患と栄養療法
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1 胃食道逆流症(GERD)
3巻5号(2010);View Description Hide Description胃内容物が食道内に逆流する現象を「胃食道逆流現象(gastroesophageal reflux;GER)」と呼びます。GER によって苦痛や不快を伴う症状や、胃酸による食道粘膜障害などの合併症を起こす場合は「胃食道逆流症(gastroesophagealreflux disease;GERD)」と診断1)されます。 GERD の代表的な症状は、逆流性食道炎による食道粘膜の障害からひき起こされる胸焼けです。さらに、胃酸の逆流が咽頭にまでおよぶと呑酸(酸っぱいものがこみ上げて喉がヒリヒリする)や慢性咳嗽、喘息様発作、狭心症様胸痛、嗄声、耳痛など多彩な症状を呈することがあります。このなかでの呼吸器症状は、食道内の迷走神経反射に加え、誤嚥が起きている危険性を示唆しています。 注意すべきは寝たきりの患者や重症心身障害児の場合です。自分で症状を訴えることが困難なため、嘔吐や逆流性食道炎からの吐血、摂食障害や反芻運動などの消化器症状の出現、また咳嗽発作や喘息・喘鳴、反復性肺炎などの呼吸器症状が出現してはじめてGERD に気づかれることがあります。 -
2 ダンピング症候群
3巻5号(2010);View Description Hide Description「ダンピング(dumping)」とは、一般には「投げ売り」などという意味ですが、医学的には「急速に落ちていく」と解釈されます。胃切除術により胃の貯留機能が失われるために、食べた食物が急激に腸に落ちていくことをダンピングと言います。「ダンピング症候群(dumpingsyndrome)」には、食後30 分以内に起こる「早期ダンピング症候群」と食後2 ~ 3 時間後に起こる「晩期ダンピング症候群」1)があります。早期ダンピング症候群は、幽門輪が残る術式、空腸(.)間置術では有意に低率2)という報告もあります。 -
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4 胃・十二指腸潰瘍
3巻5号(2010);View Description Hide Description胃・十二指腸潰瘍とは、胃・十二指腸内の攻撃因子(塩酸、ペプシン)と防御因子(粘液)のバランスがくずれることにより、胃・十二指腸粘膜が損傷されて発症します。現在では、ヘリコバクター・ピロリ菌が潰瘍の発生と再発に深く関与していることが判明しています(胃潰瘍では約7 割、十二指腸潰瘍では9 割以上)。また、近年、高齢化社会となり、NSAIDs(非ステロイド抗炎症薬)による潰瘍が増加傾向であり、基礎疾患に対する抗血小板薬、抗凝固薬使用による出血の合併症が問題となっています。病理学的には粘膜の限局性組織欠損であり、粘膜筋板を越える深さの欠損を呈します。 臨床の現場では崎田・三輪による内視鏡的病期分類が広く用いられており、活動期(A1、A2)、治癒過程期(H1、H2)、瘢痕期(S1、S2)に分けられています(写真、図)1、2)。胃潰瘍の好発部位は胃角部および胃角部小彎で、十二指腸潰瘍の好発部位は球部とされます3)。 -
5 炎症性腸疾患
3巻5号(2010);View Description Hide Description炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBD)とは、主として消化管に原因不明の炎症を起こす慢性疾患の総称で、「潰瘍性大腸炎」「クローン病」からなります。病因は特定されておらず、根本的な治療法は確立されていませんが、いずれも慢性的な栄養障害を呈しやすい疾患です。とくにクローン病の栄養療法は長期にわたって行われることが多く、患者のQOL を考慮しながら、継続的に患者とかかわっていくことが大切です。 -
- 3 経腸栄養時の液体栄養剤症候群 より生理的な胃瘻からの経腸栄養法をめざして
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経腸栄養時の液体栄養剤症候群 より生理的な胃瘻からの経腸栄養法をめざして
3巻5号(2010);View Description Hide Description経腸栄養法は、経静脈栄養法に比べ経口摂取に近く、腸を経由して栄養が吸収されることにより腸の萎縮を防ぎ、防御機能を維持できることや細菌感染のリスクが低いことから安全性が高く、管理が比較的容易であり安価であることから、消化管機能が保持されている患者においては第一選択です。 胃瘻からの経腸栄養法は長期にわたる栄養管理が必要な患者がその適応とされ、そのメリットとして、経鼻胃管による身体的苦痛の軽減と胃食道逆流(gastroesophageal reflux;GER)の頻度が減ることがあげられますが、経管栄養目的で開発された液体栄養剤が胃瘻からの経腸栄養にも転用され使用されてきたため、栄養剤が液体であること自体による合併症、すなわち液体栄養剤症候群というべき合併症は解決していません。 本稿では、胃の正常構造および機能と筆者が提唱する胃瘻からの半固形栄養材短時間注入法を解説し、液体であることに起因することが多い経腸栄養法の合併症である胃食道逆流および下痢の原因と病態および対応について概説します。
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レポート
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- がんばる栄養士を応援します! わたしたちの施設の期待の星
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連載
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- 味・予算・見た目・大量調理のコツもばっちり! 野菜スクラップブック 病院食のPoint
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- ベテラン栄養士からのメッセージ 思い出の扉を開けて
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- フレッシュ栄養士のひとりごと 私の心に残った患者さん
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- ダメダメ指導にさようなら 栄養指導の○と×
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- 栄養療法・栄養指導に役立つ 特殊食品・栄養補助食品オススメファイル
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- NST回診日誌
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栄養サポートチーム加算:専従者の役割とは
3巻5号(2010);View Description Hide Description今回も、前回にひき続いて栄養サポートチーム加算を取り上げます。全国的に算定への動きが活発です。そろそろ準備期間も経過し、実践モードといったところでしょうか? NST としての活動もこの算定用件を満たしていかないといけません。ご存じかと思いますが、この加算では「専従者」が必要です。前回でもお約束した「専従者の役割(研修実績などを含む)」について考えてみましょう。 - ほんとうは大切な義歯のはなし 管理栄養士が知っておきたい口腔機能を学ぶ
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- なんでもお答えします! NST Q&A
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- NUTRITION ANTENNA
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