産業看護
Volume 2, Issue 4, 2010
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目次
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Monthly Person
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OH! Nurse
2巻4号(2010);View Description Hide Description卒後,病棟の看護師として仙台市内の病院で内科・外科,皮膚科,泌尿器科などに携わっていた.「たまたま病院をやめていった方が役所の医務室で健康管理をしているというのを聞いて,そういうのがあるんだね,とみんなで言っていたくらいでした」と,そのころは,産業看護という分野があることすら知らなかったという. 当診療所に入職して健診に携わり,結果を評価したりデータをまとめるうち,その職場の状況が浮き上がって見えてきた.「一人ひとりの健診結果だけをみるのじゃないんだとか,健診結果は,環境や仕事のさせ方,食生活と関係がある,と所長の広瀬俊雄先生から教えられて,おもしろいもんだな,と思いました.病院では,対症療法や根本治療で病気を持つ人をケアしますが,病気の根本をたどっていくことはしていないんですね.その人たちの病気の根本を予防するのが大事なんだということと,そのための健診とそれを担う産業医や産業看護職の存在の大切さをここに来て痛感しました」と,語る.健診バスに便乗して,宮城県内みやぎ生協店舗のあるところ,すべてをくまなく巡回.職員の健康を支援している.
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Special Feature
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- 事例から学ぶメンタルヘルス不調者への対応
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メンタル不調者の個別対応について
2巻4号(2010);View Description Hide Description企業におけるメンタルヘルス不調者の対応は,所属上司,主治医,人事など多くの関係者がかかわることが多く,産業看護職は,対象者のQWL(quality of working life)向上を目指して,また組織の円滑な運営支援を目指し,調整をしていくことが重要な職務となると考えています. 企業のなかでもメンタルヘルス不調者は決して少ない数ではないものの,メンタルヘルス不調となる対象者にとっては初めてのことであることも多く,またどんなにベテランの職場管理職にとっても,ケースごとの個別性を理解し対応しつつ組織を運営していくには支援が必要となります.今回はフォロー開始から休業,復職までの一連の支援過程を紹介したいと思います. -
職場が対応困難となった双極性障害の事例へのかかわり
2巻4号(2010);View Description Hide Description職場におけるメンタルヘルス対策は,労働者の安全と健康を守り,さらに企業が社会的責任を果たし,持続可能な発展を続けていくうえで重要,不可欠です.産業看護職は個人,集団,組織を対象に,あらゆる健康段階の人々に対して,メンタルヘルス予防(1 〜 3 次予防)※ 活動を展開していきます. 個人支援では,心の健康問題により休業した社員に対し,主治医,上司,人事労務厚生部門とかかわりを深めながら,円滑な職場復帰を支援できた場合,それに関与する看護職の喜びは大きいものです.一方,困難な事例では,支援プロセスのなかで,支援者としての力が及ばないことや,産業看護職としての支援の限界を感じることもあります.今回,躁状態で職場における対応が困難となり3 度目の病気休暇に至ったA 氏の事例を基に,躁状態の病態を呈したメンタルヘルス不調者への支援を考えます. -
中小規模事業場におけるメンタルヘルス対応を考える —事業場外の立場でどのような支援ができるか
2巻4号(2010);View Description Hide Description今回提供する事例は,社員数300 人前後で非常勤産業医契約をしている事業場での事例です.産業医の来社頻度が少ないため,連携の取り方が鍵となります.事例の問題解決には時宜を得た動きが必要であるため,非常勤ながら中小規模事業場における産業看護職の果たす役割は非常に大きいと日々痛感しています.事業場外産業看護職の立場という制約のある条件のなかで,どのような支援ができるのか,よりよい支援の在り方について事例を通じ検討し考えてみたいと思います. -
産業保健におけるメンタルヘルス 産業看護職に求められるもの—困難事例からの学び
2巻4号(2010);View Description Hide Description当協会は,労働衛生機関として,産業看護職を置いていない中小規模の事業場に,協会の保健師が出向き,事業場の産業看護職の立場で支援しています.今回は,筆者が担当した事業場の困難事例から専門性をもってかかわれなかった部分,必要とされた支援について,整理できたことを紹介します. -
相談者自身が気づいていく過程を援助していった事例
2巻4号(2010);View Description Hide Descriptionここでは,不安や緊張が強く混迷していた相談者が,援助者と出会い→揺らぎ→緩み→気づき→試していく過程について取り上げます.援助の実際は,相談者と援助者とのかかわりの場面をできるだけリアルに,読者の方々が感じとれるよう描いてみました.事例のなかで,援助者(私)はメンタルヘルスケア担当の産業保健師として,こころの相談室において,相談者(A さん)とかかわっています. そして,援助過程が展開していくとき,どのような鍵が隠されていたのかを分析し,かかわりが援助となるポイントについて,幾つかを取り上げていきたいと思います.※事例はプライバシー保護のため,幾つかの事例を基に,論旨に影響のない範囲で修正し,再構成したものです.
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Lecture
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- 産業医に聴く! 現場の活動 コラボと実践
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有害業務に含まれるリスクシェア—特殊健康診断時の事後措置—
2巻4号(2010);View Description Hide Description家庭電化製品の開発によって日常生活が快適になっていることは誰もが実感しているが,このような製品の製造過程には,粉体取り扱い作業,有機溶剤・特定化学物質などの有害化学物質取り扱い作業や紫外線・レーザーなどの物理的有害エネルギー取り扱い作業など,さまざまな有害作業が含まれている.有害作業に従事する作業者の健康障害を予防するためには,作業に含まれるリスクを作業者が十分に認識することが大切である(リスク・シェア).このためには,特殊健康診断後の事後措置を確実に行い,有害作業についての確実な知識と予防方法とを指導する必要がある. - 疾患を理解しよう! 産業保健活動に生かす疾患の知識
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睡眠時無呼吸症候群
2巻4号(2010);View Description Hide Description睡眠障害が誘因となって引き起こされた産業災害事例の報告が多くなり,最近,睡眠障害と産業災害との関係が注目されるようになってきた.欧米ではかなり以前から産業災害の一要因として睡眠障害が指摘されており,とくに1993 年に米国睡眠障害調査研究委員会が,睡眠障害により引き起こされた多くの産業災害事例を紹介した報告書「Wake up America a national sleep alert」(目覚めよアメリカ,睡眠に関する国民への警告)をまとめ,米国議会に提出し,大きな話題となった. 睡眠障害をきたす疾患のなかでも,とくに睡眠時無呼吸症候群は,気付かれないまま放置されていることが多く,産業災害との関連が深い.また,最近では循環器疾患や糖尿病などの生活習慣病との関連も指摘されており,産業保健の取り組みのなかでも重要な疾患となってきている - 保健面接のABC−今日から使えるエキスパートのワザ
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面接の実際−健康相談−
2巻4号(2010);View Description Hide Description健康診断後の保健指導でも自発的な健康相談でも,対象者を主体とした面接のなかで,産業看護職は対象者の情報をアセスメントしながら健康課題を明らかにし,その解決に向けて支援していくという基本に,変わりはありません.そして,その支援方法には,情報提供,教育,支持,カウンセリング,助言,コンサルテーションという要素が組み合わされています. - 産業保健 情報活用学
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情報から創造する・解析する・考える・まとめる
2巻4号(2010);View Description Hide Description「情報の活用術」,情報処理と言える「データ分析方法」については,それぞれ本誌の「産業看護のための看護研究入門」,「3 ステップでわかる・使える情報管理」(2009 年1 〜 6 号)のシリーズで解説されています.ここでは,基になる情報の採否,読み方,論旨への利用,結果の提示方法について概説します.情報は,客観的事実を一定のフィルターを通じて言語化,あるいは視覚化されたものである宿命があります.科学的実験のデータであっても,データの選択,表示方法によって結論が異なることがあるものです.つねにどの「視点」からかを自身が判断することが重要です. - 産業看護職に求められる工学的視点−安全で快適な作業環境の実現のために
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勤務体系の健康影響と対策
2巻4号(2010);View Description Hide Description労働者を取り巻く労働様式は多様化が進んでおり,いわゆる正規雇用の労働者であっても,フレックスタイム制や裁量労働制が一般的となり,またいわゆる非正規雇用労働と呼ばれるパートタイム労働,期間雇用労働や派遣労働も広く普及しています. 非正規雇用労働は経営側から見た場合,必要な期間や時間だけ労働力を確保する方法として効率的ですが,労働者側から見た場合,不安定な雇用であり,正規雇用労働者に比べて劣る労働環境や労働条件下での労働となりやすい制度と言われています. これらの雇用・勤務形態は,生活リズムのかく乱,過剰な業務負荷やストレスなどを介して健康に影響していると考えられるため,健康管理上,これらの勤務体系や勤務内容そのものへの対応を行うことが必要となりますが,勤務の設計は労務管理に属するものであるため,人事労務管理部門との密接な連携が必要となり,その意味でとくに専門性が要求される産業保健活動と言えるものです. - エビデンスを示せる統計学
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2 群の比較 (1)
2巻4号(2010);View Description Hide Description看護の分野においても,他の分野と同様,2 群の比較をして差があるかどうかを知りたい場合が多くあります.たとえば, (1)新しい健康指導を行った場合,健康状態が改善された人の集団のほうが,従来の健康指導をした集団よりもかなり多いように思えるが,確信を持ってそう言えるのかどうか. (2) B 療法を受けたグループとC 療法を受けたグループとでは改善の度合いが違っているようにみえるが,違うと言えるのかどうか. (3)保健指導の経験のある学生とない学生とでは,産業看護の実習後,労働者に対する意識が違っているように思えるが,本当にそう言い切れるのかどうか. といった疑問が生じてきた場合です.このような場合に,統計学的に意味のある違いなのかどうなのかを明らかにしようとするのが,統計学における差の検定です. 本稿では,2 群の比較について,(1)母集団と標本との比較,(2)対応のある標本の比較,(3)独立した標本の比較,に分けて説明していきます. また今後,例題を解く際に,皆さんがお持ちのMicrosoft .社のExcel . 2007 の【分析ツール】をできるだけ使用していきますが,この【分析ツール】には限度がありますので,必要に応じてSPSS(PASW Statistic)Ver 18.0 を使用して解説を行います.
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Knowledge
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- つかんでおきたい! 産業看護をとりまく社会動向・最新事情
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中国の大気汚染問題から見えてくるもの
2巻4号(2010);View Description Hide Description中国の都市部では,環境問題が経済発展の足かせになるかもしれない.2005年に発表された第11 次5 か年計画(2006 〜 2010 年)においては,環境保全が重要な課題として取り上げられ,そのなかで大気汚染,とくに二酸化硫黄に対する対策を早急に実行していく決意が記述されている.しかし,その対策は大規模な発電所への脱硫装置(排煙から二酸化硫黄を除去する装置)の設置と小規模な工場の閉鎖が中心となっている.実際に大規模な発電所などでは対策が始まったものの,稼動し続ける小規模な工場,公共施設,商業施設などに対する規制・監視や対策は,十分には進んでいないのが実情のようである.ようやく2000年前後になって北京や上海などの大都市では空気がきれいになってきたが,地方の工業都市ではいまだに大気汚染がひどく,死亡原因の多くは気管支の障害に関連しているという. - 産業保健専門職が知っておきたい 労働衛生行政の動向
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Column
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- World Report 今月の海外文献
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- 庭野すずめ 健康相談日記
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- 困ったら聞いてみよう! 産業看護実践Q&A
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Information
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