みんなの呼吸器Respica
継続前誌:呼吸器ケア
Volume 19, Issue 5, 2021
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目次
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連載
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特集 【呼吸・排痰介助のための呼吸理学療法 身につく!テクニック&実例集】
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【Step.1 基本テクニック:手技による介助】 <1>呼吸介助法
19巻5号(2021);View Description
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呼吸介助法とは、患者の呼気に合わせて徒手的に胸郭運動を介助し、換気の改善、呼吸仕事量や呼吸困難の軽減を図る手技です。基本的に換気の改善を目的にしているため、急性期、慢性期を問わず適応範囲は非常に広いといえます。呼吸介助法を適切に行うためには、胸郭の解剖学的および運動学的理解や、患者の吸気と呼気を見極めるフィジカルアセスメント能力が重要となってきます。本稿では、基本的な呼吸介助法の手順、ポイントや注意点について解説します。 -
【Step.1 基本テクニック:手技による介助】 <2>スクイージング
19巻5号(2021);View Description
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スクイージング(squeezing)とは、排痰体位をとり気道分泌物が貯留している肺葉や肺区域に相当する胸郭を呼気時に合わせて圧迫し、呼気流量を増加させ、気道分泌物の移動を促進する気道クリアランスを目的とした手技です。効果として呼気流量の改善、気道分泌物の移動、肺の拡張、酸素化の改善などが期待されていますが、まだルーチンに実施するエビデンスに乏しいのが現状です。そのため、適切なフィジカルアセスメントを基にしっかりと適応を判断することが重要です。 -
【Step.1 基本テクニック:手技による介助】 <3>徒手的咳嗽介助
19巻5号(2021);View Description
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徒手的咳嗽介助は、咳嗽時にタイミングを合わせ、徒手的に胸郭や上腹部を圧迫することにより分泌物を除去する介助法です。咳嗽は中枢気道にある痰の除去に有効です。高齢者や慢性閉塞性肺疾患などの内科系疾患、外科術後の創部痛が強い症例では自己排痰が困難なことがあり、気管吸引処置を要し、身体的・精神的苦痛を強いられます。そのため、咳嗽介助で気道洗浄できれば、患者の苦痛を回避することが可能となります。 -
【Step.1 基本テクニック:手技による介助】 <4>ハフィング・咳嗽指導
19巻5号(2021);View Description
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咳嗽は誘発相、吸気相、圧縮相、呼出相に分けられます。呼吸器疾患や呼吸筋力が低下した患者にとって気道クリアランスは重要であり、その手技の1 つにハフィングがあります。気道分泌物を動かす力として、気流、線毛、重力があります。ハフィングは、ゆっくりと長い気流(低~中肺気量位)、速く短い気流(高肺気量位)を利用し、声門を開き呼出を強制的に行う方法です(図 1)。気道分泌物の中枢側への移動と除去を目的に行います。 -
【Step.1 基本テクニック:手技による介助】 <5>アクティブサイクル呼吸法(ACBT)
19巻5号(2021);View Description
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アクティブサイクル呼吸法(active cycle of breathing technique;ACBT)とは、呼吸コントロール、胸郭拡張練習、強制呼出手技を組み合わせ、末梢気道から中枢気道へ痰を移動させ、喀出させる排痰法です。特別な道具を必要とせず、自己にて実施可能であるため、幅広い分野の臨床において実施されています。本稿では、ACBT で押さえておきたいポイントについて解説していきます。 -
【Step.1 基本テクニック:手技による介助】 <6>ポジショニング・体位ドレナージ
19巻5号(2021);View Description
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ポジショニングは、体位変換により特定の体位を一定時間保持する介入方法です。目的に応じて治療や予防に用いられる手技で、気道分泌物貯留の予防と排痰促進、換気の改善を目的に行われます。体位ドレナージは、呼吸理学療法手技の1 つで、気道分泌物が貯留した末梢肺領域を高い位置に、中枢気道を相対的に低い位置となるような体位をとり、重力を利用して貯留分泌物の排出を図ります。 -
【Step.1 基本テクニック:手技による介助】 <7>腹臥位管理
19巻5号(2021);View Description
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腹臥位管理は、重症呼吸不全患者に適応され、仰臥位から腹臥位へ体位を変えることにより酸素化を改善する方法です。従来から腹臥位管理は、急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome;ARDS)を中心とした急性呼吸不全による重症低酸素血症を改善させるための治療手段に位置づけられてきました。しかし昨今では、人工呼吸管理に伴う肺損傷を予防する効果も明らかとなり、肺保護戦略としての役割も重視されています。本稿では、腹臥位管理の実際について、安全に実践するためのポイントとともに説明します。 -
【Step.2 機器・器具を用いた介助】 <1>バッグバルブマスク・ジャクソンリース
19巻5号(2021);View Description
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バッグバルブマスクは徒手的肺膨張手技(manual hyperinflation;MHI)といわれ、他動的に肺を膨らませる方法です。目的と効果として、末梢から中枢側への喀痰移動促進、肺胞虚脱の予防と改善、無気肺の改善、酸素化の改善、肺コンプライアンスおよび気道クリアランスの短期的な改善効果などがあります。禁忌は、未治療の気胸、循環動態不安定、頭蓋内圧亢進、気管支攣縮などです。 -
【Step.2 機器・器具を用いた介助】 <2>呼気陽圧療法(PEP)器具
19巻5号(2021);View Description
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呼気陽圧療法は、「呼気時に気道内へ陽圧を加えることにより気道閉塞を防ぎ、気道分泌物の移動を促す方法」と定義されています。特に、気管支拡張症(囊胞性線維症やびまん性汎細気管支炎など)のように喀痰が貯留しやすい症例に適応され、自己管理で行う排痰法の1 つとしてよく用いられています。本稿では、呼気陽圧療法器具の種類とその基本手順、使用時のポイントについて解説します。 -
【Step.2 機器・器具を用いた介助】 <3>排痰補助装置(MI-E、HFCWO)
19巻5号(2021);View Description
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機械による咳介助(mechanical insufflation-exsufflation;MI-E)と高頻度胸壁振動法(high frequency chest wall oscillation;HFCWO)について説明します。神経筋疾患患者を対象とすることが多いですが、最近ではICU での挿管中・抜管後など急性期領域でもよく使用されています。機器自体は高価ですが、操作が簡便で、徒手的な排痰手技とは異なり実施者による技術的な差が生じないことが大きなメリットであり、正しく使用すれば安全かつ効果的に実施することができます。 -
【Step.2 機器・器具を用いた介助】 <4>肺内パーカッションベンチレーター
19巻5号(2021);View Description
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肺内パーカッションベンチレーター(intrapulmonary percussive ventilator;IPV®)は、気道内に高頻度(100~600 回/min)のパーカッション流を送ることで陽圧換気を行い、同時にエアロゾル吸入を行うことができる治療用人工呼吸器で、換気の改善および排痰を促進させることができるとされています。本稿では、IPV® の適応や導入手順、使用にあたっての注意事項について解説いたします。 -
【Step.2 機器・器具を用いた介助】 <5>陽・陰圧体外式人工呼吸器(BCV)
19巻5号(2021);View Description
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BCV は高齢者から小児まで、また急性期から慢性期までと、年齢・領域を問わずさまざまなシチュエーションで用いられる機械です。また従来の陽圧的換気療法と比較して、陰陽圧の格差を増強し、換気をするため、生理的な呼吸パターンに近く、より生体への負担が少ないことから、近年さまざまな診療科で活用されています。BCV の特性を理解し、上手に陽圧的換気療法の使い分けや、組み合わせをしていきましょう。 -
【Step.3 症例展開:介入方法の組み合わせ実例集】 <1>排痰の自己管理の獲得を目指した安定期COPD患者
19巻5号(2021);View Description
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COPD では慢性の咳や痰が生じ、これらの症状は、患者の生活の質(QOL)や日常生活に影響します。よって、これらの症状を少しでも改善するために、自宅で排痰を自力で行えるようになることは、とても重要です。そこで本稿では、外来の安定期COPD 患者に対して、水分摂取、呼吸法、体位排痰法を中心とした指導を行い、自分で排痰ができるようになることを目指した症例をもとに、在宅での排痰の自己管理をどのように促したらよいかを考えていきたいと思います。 -
【Step.3 症例展開:介入方法の組み合わせ実例集】 <2>喘息発作を繰り返す患者への介入
19巻5号(2021);View Description
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喘息の治療は、発作時の対応と日常的な管理に分類できます。喘息発作時の治療の主体は、短時間作用性の気管支拡張薬吸入となりますが、呼吸困難感の軽減や排痰補助に対し、呼吸理学療法が有用となります。日常的な管理の最大の目的は、喘息発作を繰り返さないようにセルフマネジメント能力を改善させることです。そのために呼吸理学療法も有用な手段の一つとなります。実際の対応について考えてみましょう。 -
【Step.3 症例展開:介入方法の組み合わせ実例集】 <3>高齢心不全患者の急性期における呼吸理学療法の実例
19巻5号(2021);View Description
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近年の高齢化に伴い、心不全患者は増加の一途をたどっています。高齢心不全患者は、重複疾患、フレイル、心不全再入院を繰り返すことで、ADLやQOL 低下を招き予後不良といわれています。心不全患者の呼吸筋力低下は運動耐容能や予後と関連し、心不全患者における呼吸筋トレーニングの有効性が近年報告され、ガイドラインにおいても呼吸筋トレーニングが明記されています。本稿では、急性期における高齢心不全患者に対する呼吸理学療法の実例について紹介していきます。 -
【Step.3 症例展開:介入方法の組み合わせ実例集】 <4>腹臥位管理を必要とした重症ARDS患者への介入
19巻5号(2021);View Description
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近年、集中治療後症候群(post intensive care syndrome;PICS)の予防・改善を目的としたバンドル治療の一環として、人工呼吸器患者に対する早期離床や運動療法を中心とした早期リハビリテーションの需要が高まっています。その中でも、早期離床が実施困難な時期に、呼吸・排痰介助を目的とした呼吸理学療法の実施が重要な治療戦略となる症例も臨床で多く経験します。本稿では、重症ARDS 患者に対する呼吸・排痰介助のための呼吸理学療法の介入法の1 例を提示します。 -
【Step.3 症例展開:介入方法の組み合わせ実例集】 <5>転落により高位頸髄を損傷し、呼吸障害を呈した男性への介入
19巻5号(2021);View Description
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脊髄損傷は損傷した高位レベルが異なることにより症状はさまざまです。脊髄を損傷することで必ずしも呼吸障害を呈するわけではなく、頸髄を損傷した場合に合併症として生じるのが肺炎や無気肺などです。本稿では脊髄損傷による呼吸障害について理解を深めることに加えて、症例を通して急性期における呼吸障害へのアプローチを解説します。 -
【Step.3 症例展開:介入方法の組み合わせ実例集】 <6>せん妄を呈した開腹術後患者への介入
19巻5号(2021);View Description
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術後せん妄になった患者を担当する機会はないでしょうか。せん妄は侵襲の大きな術後によく経験します。その代表である開腹術後は、強い疼痛のために呼吸や排痰の介助に苦労しますが、せん妄を合併すると特に大変です。大きく動いて創部の負担となったり、ルート類が抜けたりしないように注意しなければいけません。このような患者に効果的で安全な介入をするにはどうすればよいか、一緒に考えてみましょう。 -
【Step.3 症例展開:介入方法の組み合わせ実例集】 <7>在宅でのMI-E、NPPV管理により呼吸器合併症を回避できている先天性筋ジストロフィーの症例
19巻5号(2021);View Description
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神経筋疾患患者(neuromuscular disorders;NMD)は、①進行性の呼吸筋力、咽頭・喉頭機能低下による咳嗽力低下、②胸郭変形などによる肺コンプライアンス低下、③肺胞低換気による低酸素血症や高二酸化炭素血症など共通の呼吸障害を生じることが多く、生活の質(QOL)を保つためにも適切な呼吸管理や気道クリアランスを行うことが重要です。本稿では、在宅で機械による咳介助(mechanical insufflation-exsufflation;MI-E)、非侵襲的陽圧換気療法(non-invasive positive pressure ventilation;NPPV)を継続し、呼吸器合併症を回避できている症例についてご紹介します。 -
【Step.3 症例展開:介入方法の組み合わせ実例集】 <8>TPPVを行う重症心身障がい児における気道クリアランス
19巻5号(2021);View Description
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気管切開下で人工呼吸器を装着する重症心身障がい児(以下、TPPV 重症児)では、経鼻の気流が減少することで難治性副鼻腔炎をきたしやすく、下気道感染の原因にもなっています。しかし、一方ではTPPV 重症児における鼻・副鼻腔のケアは、口腔ケアや下気道の気道クリアランス法に比べて確立されていません。重症児の死亡では、肺炎・気管支炎42.4%と呼吸不全10.8%を合わせると呼吸障害で50%を超えています。重症児の臨床像は多岐にわたり、単一な治療介入としてのエビデンスは乏しいですが、有効な医療的介入を行うために情報を共有し知識を活用していくことが大切です。
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【ナースのお悩み背負い投げ 鳥ボーイのコミュニケーション鬼道場】 vol.5 開くか閉じるかは、きみ次第!「クエスチョン」の魔術師になれ!
19巻5号(2021);View Description
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先輩から「ラウンドに時間かかりすぎ!」と言われてしまいます。でも、患者さんとの信頼関係を構築する時間でもあるし、手は抜けません! 鳥ボーイ師範はどういうことに気をつけていますか? -
【Good!Great!Wonderful! ケースでわかる人工呼吸管理 ときめきワンポイントレクチャー】 Lesson 5 人工呼吸器からの離脱(後編)
19巻5号(2021);View Description
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【マスクソムリエに聞く! NPPV快適ビフォーアフター】 相談 File.12 エアリークを減らすと呼気一回換気量が激減してしまうのはなぜですか?
19巻5号(2021);View Description
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【チーム医療を「現在進行形」でお届けします!包括的呼吸リハビリセンター立ち上げ実況中継】 TOPICS #05 COVID-19と呼吸リハビリテーション
19巻5号(2021);View Description
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20年来取り組んできた包括的呼吸リハビリテーションをセンターとして立ち上げたい! そんな想いを胸に、新しい挑戦を始めた大阪府結核予防会大阪複十字病院の医師・スタッフの奮闘の日々を同時進行でお届けしていきます。
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