外科

・1937年創刊。外科領域の月刊誌では、いちばん長い歴史と伝統を誇る。
・毎号特集形式で、外科領域全般にかかわるup to dateなテーマを選び最先端の情報を充実した執筆陣により分かりやすい内容で提供。
・一般外科医にとって必要な知識をテーマした連載が3~4篇、また投稿論文も多数掲載し、充実した誌面を構成。
・毎号特集形式で、外科領域全般にかかわるup to dateなテーマを選び最先端の情報を充実した執筆陣により分かりやすい内容で提供。
・一般外科医にとって必要な知識をテーマした連載が3~4篇、また投稿論文も多数掲載し、充実した誌面を構成。
Volumes & issues:
Latest Articles
-
目次
-
-
-
特集【腹部救急疾患への対応:診断と治療の実際】
-
-
1.食道破裂
87, 3(2025);View Description
Hide Description
特発性食道破裂は診断のタイミングや治療法の選択肢を誤ると致命的となる重篤な疾患である.診断ではまず疾患を疑い,胸部単純撮影,胸腹部CT 検査をすみやかに行うことが重要である.治療は縦隔内限局型であれば保存的治療がまず試みられるが,胸腔内穿破型は原則手術が基本である.外科治療のポイントは破裂創の確実な閉鎖・修復,被覆による補強および洗浄ドレナ-ジである.特発性食道破裂は術中・術後管理の技術が向上した結果,1990 年以前と比較して死亡率が著明に低下している.まれな疾患ではあるが,遭遇する可能性がある疾患として,術式や合併症対策への予備知識をもって対応すれば,治療成績の向上につながるであろう. -
2.腸間膜動脈閉塞症・上腸間膜静脈血栓症
87, 3(2025);View Description
Hide Description
腸間膜動脈閉塞症と上腸間膜静脈血栓症は,急性腸間膜虚血を引き起こす重要な血管性病変である.腸管壊死にいたれば大量腸切除が必要となる非常に予後不良な疾患である.早期診断と適切な治療が予後を左右するため,臨床症状,血液検査,画像所見を総合的に評価し,迅速な診断を行うことが重要である.治療では外科治療と血管内治療を適切に選択し,場合によってはハイブリッド治療を行うことで,より良好な治療成績が期待できる. -
3.絞扼性腸閉塞
87, 3(2025);View Description
Hide Description
機械的腸閉塞は,単純性腸閉塞と複雑性腸閉塞に分類され,複雑性腸閉塞の中で,腸管が癒着したり,索状物で腸管が締めつけられたり,腸管がねじれたりすることで,腸管の血行障害をきたしてくる腸閉塞を絞扼性腸閉塞という.絞扼性腸閉塞の発症原因の多くは,術後に発症した癒着,索状物が原因となり腸管血流が途絶えたり,鼠径ヘルニアなどの嵌頓によって腸管血流が途絶えたり,多種多様な原因で発症する.これらの結果,最終的に腸管が壊死して孔が開いたり細菌感染を合併して敗血症から多臓器不全を引き起こすと,生命の危険に及ぶことがあるため緊急手術が必要になる疾患である.そのため臨床所見に加えて,血液検査所見,さらには造影CT 検査などの画像検査が確定診断において非常に重要である.本稿では,絞扼性腸閉塞における特徴的所見を提示し,さらには各疾患画像を供覧し診断・治療について述べる. -
4.Crohn病(腸閉塞,穿孔,膿瘍)
87, 3(2025);View Description
Hide Description
Crohn 病(CD)は,消化管の全層性炎症を特徴とする疾患であり,腸閉塞,穿孔,膿瘍といった重篤な腹部救急疾患を引き起こす可能性がある.これらの合併症への対応では,病態の正確な把握に基づく迅速かつ適切な外科的介入が必要である.治療の基本方針は,患者の長期的な生活の質(QOL)の向上をめざし腸管の温存を最大限図りながら,術後合併症の発生を最小限に抑えることである.特に緊急手術においては全身状態や炎症の程度を考慮し,侵襲を抑えた慎重な手術が求められる.適切な周術期管理と治療選択が良好な治療成績をもたらす鍵となる. -
5.潰瘍性大腸炎(出血/中毒性巨大結腸症)
87, 3(2025);View Description
Hide Description
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)の治療指針において,中毒性巨大結腸症(toxic megacolon:TMC),大量出血は絶対的手術適応である.全身状態が不安定な状態の緊急手術となることも多く,状況に応じて腸管の切除範囲,再建の有無を適切に判断しなければならない.どちらの状態においても,内科・外科が早期から連携をとり患者に対して治療の説明を行い適切な外科治療のタイミングを逃さないようにすることが重要である. -
6.大腸憩室出血に対する非手術的治療
87, 3(2025);View Description
Hide Description
大腸憩室出血は,下部消化管出血のもっとも多い原因であり,多くの症例は自然止血が得られる.そのため安易に考えられる傾向があるが,中には止血が遅れることによりショック状態から生命を脅かす状態になることもある疾患である.診察時のポイントを押さえ,検査を選択し,的確な治療方針を計画しなければならない.各止血術の長所や短所を押さえ,プランB を考えながら対応することが求められる. -
7.大腸穿孔(憩室/癌)
87, 3(2025);View Description
Hide Description
下部消化管穿孔は,良性疾患である憩室炎や悪性疾患である大腸癌による直接的な穿通,閉塞性大腸癌に伴う腸管破裂などが主な原因であり,ほとんどの症例で緊急手術を必要とする.迅速な診断と対応が求められるが,術中に診断が確定する場合もあり,そのときの状況に応じて治療方針の変更が余儀なくされることもある.悪性腫瘍が判明しても,まずは救命を目的とした腹膜炎手術を優先させ,癌に対する治療は患者の全身状態に応じて検討する必要がある. -
8.閉塞性大腸癌(ステント留置/緊急手術)
87, 3(2025);View Description
Hide Description
高齢者の腹部救急疾患診療として腸閉塞を伴う閉塞性大腸癌,いわゆる“大腸癌イレウス”は比較的よく遭遇する病態である.その治療としての大腸ステントは閉塞性大腸癌の緩和治療に加えて,腸閉塞を解除して緊急手術を回避し安全な一期的手術に橋渡しするbridge to surgery(BTS)にも使用されている.低侵襲であり,治療方針決定に対して時間的余裕ができる大腸ステント治療を外科医としては学んでおくべきである.
-
-
連載
-
- 外科医の私論
-