外科
・1937年創刊。外科領域の月刊誌では、いちばん長い歴史と伝統を誇る。
・毎号特集形式で、外科領域全般にかかわるup to dateなテーマを選び最先端の情報を充実した執筆陣により分かりやすい内容で提供。
・一般外科医にとって必要な知識をテーマした連載が3~4篇、また投稿論文も多数掲載し、充実した誌面を構成。
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特集【ヘルニアに対する最新の外科治療】
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- Ⅰ.鼠径部ヘルニア関連
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1.鼠径部ヘルニア診療の総論―外科医は診療の多様化にどのように対応していくべきか?
86, 10(2024);View Description Hide Description鼠径部ヘルニアの診療法は,診療ガイドラインや施設ごとの標準で決めてしまうことが多いが,実はその選択肢が多様であるのが本疾患の特徴である.たとえば,術前診断に画像を使うか否か,watchful waiting の適応はどう決めるのか,小児手術とされているものをどこまで適応するか,鼠径部切開法か腹腔鏡法か,後壁補強は組織縫合によるかメッシュによるかなどである.外科医は個々の患者の病態に則って,この選択を自ら決めていかねばならない. -
2.再発鼠径部ヘルニアの手術について
86, 10(2024);View Description Hide Description再発鼠径部ヘルニアは正常構造が破綻しているとともにメッシュによる瘢痕が手術を難易度のより高いものにしている.術式として鼠径部切開法のほか腹腔鏡下手術も選択可能であるが,初回手術と異なり剝離や縫合など高度の技術を要する.鼠径部切開法や腹腔鏡下手術などいくつかのアプロ-チを習得するとともに,経験豊富な外科医の指導のもと行うことが大切である. -
3.鼠径部切開法と腹腔鏡法によるヘルニア治療のポイント
86, 10(2024);View Description Hide Description鼠径部切開法のゴ-ルドスタンダ-ドはLichtenstein 法であるが,本邦ではメッシュプラグ法や腹膜前修復法など非常に多彩な手技が選択されている.腹腔鏡法や,将来的にはロボット支援下手術も含め,多様かつ精緻となってきた鼠径ヘルニア手術であるが,治療のポイントは常に単純で,慢性疼痛などの合併症なく,再発させないことである.本稿では以上のポイントに焦点を当てて,Lichtenstein 法とtransabdominal preperitoneal approach(TAPP)を中心に,鼠径部切開法と腹腔鏡法の術式の解説を行う. -
4.大腿へルニアの治療戦略構築のために必要なエビデンスの理解
86, 10(2024);View Description Hide Description2024 年5 月に鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2024 が刊行されたが,成人大腿ヘルニアに対する腹腔鏡手術については,ほかの術式と比較し治療成績に明らかな差を認めず,どちらの方法が推奨されるかの結論は導けないと言及されている. 大腿ヘルニア,特に絞扼性大腿ヘルニアに対する治療戦略は,現時点で得られるエビデンスを理解し,各施設における鼠径部ヘルニアに対する診療状況に即して構築されるべきである. -
5.鼠径部ヘルニアの日帰り手術の注意点
86, 10(2024);View Description Hide Description日帰り手術(day surgery)とは患者が同一の日に入院,手術,退院をすることであるが,広義においては,患者が入院してから24 時間以内に退院する1 泊2 日の入院手術(overnight surgery)も日帰り手術である. 日帰り手術が適応となる術式としては,各種の鼠径部切開法,transabdominal preperitoneal repair(TAPP)法,totally extraperitoneal repair(TEP)法など,あらゆる術式で日帰り手術が可能である.注意点としては,術後出血をきたさないことである.
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連載
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- 外科医の私論
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特集【ヘルニアに対する最新の外科治療】
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- Ⅱ.鼠径部ヘルニア以外
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1.白線ヘルニアの治療戦略
86, 10(2024);View Description Hide Description白線ヘルニアはヘルニア門径が小さく嵌頓率が比較的高いため,診断された時点で手術を検討すべきである.ヘルニア門径1 cm 未満では縫合閉鎖かメッシュ修復が,1 cm 以上ではメッシュ修復が推奨され,腹直筋離開合併例では縫縮が必要である.SCOLA 法はヘルニア内容の処理や腹直筋離開への縫合がしやすく,白線ヘルニアの標準術式になりうる.また本法は術後漿液腫の多さが懸念されていたが,臍や皮下組織と腹直筋前鞘との縫合で解決できる可能性がある. -
2.内ヘルニアの治療と予防
86, 10(2024);View Description Hide Description内ヘルニアは体腔内の陥凹部,囊状部,裂孔などに腹腔内臓器が陥入したもので,ヘルニア門の解剖学的位置により分類される.多くは腸閉塞症状が認められ,腸管の血流障害により絞扼性腸閉塞にいたると重篤な転帰をたどる.治療の基本は手術で陥入した腸管を整復し,ヘルニア門を閉鎖もしくは開放することである.壊死腸管は切除を要する.すべての腹部手術において術中に認められた間隙は閉鎖するか開放することで医原性の内ヘルニアを予防することが求められる. -
3.閉鎖孔ヘルニアの治療戦略
86, 10(2024);View Description Hide Description閉鎖孔ヘルニアは急性非還納性ヘルニアとして受診することが多い疾患である.緊急手術を要する疾患であるが,嵌頓解除を行い,待機手術とする試みも行われている.また,腹腔鏡手術も多く行われるようになり,腸管切除時には二期的手術も行われるようになっている.治療戦略を構築していくために必要な考え方と治療手技について解説する. -
4.横隔膜ヘルニア(成人)の治療について
86, 10(2024);View Description Hide Description成人横隔膜ヘルニアは非外傷性/外傷性のほかに医原性のものも報告されている.無症状のまま経過することも多いが,臓器の嵌頓・閉塞・穿孔・壊死をきたす場合もあるため,基本的に診断がついた時点で手術適応となる.経胸,経腹のアプロ-チがあるが,近年では胸腔鏡や腹腔鏡下の手術も多く行われている.ヘルニア門の閉鎖は直接縫合される場合が多いが,ヘルニア門のサイズが大きい場合や辺縁組織が脆弱な場合はメッシュによる修復が必要である.