内科

日常診療に直結したテーマを精選して特集として掲載し、タイムリーな情報をクオリティの高い編集で提供する内科総合誌です。総合診療の現代において広く横断的な知識を得るのに最適で、とくに年2回の増大号は他の内科系雑誌の追随を許さない情報量です。
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目次
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特集【知っておきたい糖尿病診療の最前線】
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- [Chapter 1] 知っておきたい糖尿病診療の現状
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エビデンスに基づく最新の糖尿病診療
135, 3(2025);View Description
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糖尿病診療の目標は,血糖,血圧,脂質代謝の良好なコントロ-ル状態と適正体重の維持,および禁煙の遵守を行うことにより,糖尿病の合併症の発症・進展を阻止し,ひいては糖尿病のない人と変わらない寿命とQOL を実現することである.過体重・肥満を伴う2 型糖尿病の血糖コントロ-ルのために,エネルギ-摂取量の制限が推奨される.2 型糖尿病の血糖コントロ-ルのために,6~12 ヵ月以内の短期間であれば炭水化物制限は有用である.Metformin が第一選択薬として,DPP‒4 阻害薬とSGLT2 阻害薬が第二選択薬として推奨される. -
1型糖尿病診療の最前線
135, 3(2025);View Description
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緩徐進行1 型糖尿病の診断基準の改訂に伴い,インスリン欠乏状態に進行していない場合は,緩徐進行1 型糖尿病(probable)と判定することになった.緩徐進行1 型糖尿病(probable)に対する治療介入のステ-トメントが公開され,病初期の段階ではインスリン療法と並列でDPP‒4 阻害薬やビグアナイド薬の使用が推奨された.抗GAD 抗体(enzyme‒linked immunosorbent assay(ELISA)法)180 U/mL 以上の緩徐進行1 型糖尿病は,ELISA 法で180 U/mL 未満の症例よりも病勢が強い可能性がある.抗CD3 抗体teplizumab による1 型糖尿病の発症遅延効果が明らかとなり,本薬剤の使用が米国食品医薬品局(FDA)で承認された.ヤヌスキナ-ゼ(JAK)阻害薬baricitinib による第Ⅱ相試験の結果が公開され,本薬剤によるβ細胞保護作用が示唆された. -
高齢者糖尿病診療の最前線
135, 3(2025);View Description
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高齢者糖尿病は認知機能障害やフレイルなどの老年症候群,心不全やサルコペニア肥満などの併存症,マルチモビディティをきたしやすい.フレイル対策として,食事療法では適正なエネルギ-量と十分な蛋白質・ビタミンの摂取,多様な食品摂取を勧め,運動療法ではレジスタンス運動または多要素の運動を行う.薬物療法では重症低血糖を予防し,心血管疾患,慢性腎臓病(CKD)リスクを考慮した治療を行い,アドヒアランス低下に対しては治療の単純化を行う.認知・生活機能質問票(DASC‒8)などで認知機能やADL 評価に基づいたカテゴリ-分類を行い,血糖管理目標を決定する.カテゴリ-Ⅱの段階からフレイル対策,治療の単純化,および社会参加,訪問看護,介護保険のデイケアなどの導入といった社会的対策を行う. -
糖尿病におけるオンライン診療
135, 3(2025);View Description
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オンライン診療は地理的,身体的,社会的に対面受診が困難な者に受診機会を提供する.オンライン診療は災害時に有用である.オンライン診療は対面診療と比較するものではなく,互いを補完するものである.オンライン診療には必ずしも専用機器の準備はいらない.リアルタイムのビデオ通話ができれば診療可能である.オンライン診療用ソフト・アプリはなくても実施可能だが,あると便利である.オンライン診療には医師のe‒learning 受講と施設基準の届出,定期報告が必須である.オンライン診療の保険点数はおおむね対面診療時の87%である.ICT の活用で,オンライン診療においても血糖値管理は可能である.糖尿病オンライン診療の課題は,合併症や併存疾患の評価(検査が必要なもの)である. -
糖尿病診療におけるアドボカシ-活動の最前線
135, 3(2025);View Description
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アドボカシ-とは偏見・差別などに対抗して当事者を支援する活動を指す.糖尿病をもって生活する人たちの生活機会を広げるため,専門家としての関与が求められている.まずは自らが抱く「患者像」を省みて,当事者の声を受け止め,自らが発する言葉の重さを自覚することが重要である.
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その他
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特集【知っておきたい糖尿病診療の最前線】
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- [Chapter 1] 知っておきたい糖尿病診療の現状
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糖尿病診療におけるQOLと患者報告アウトカム(PRO)
135, 3(2025);View Description
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糖尿病をもつ人は生活習慣の変更や薬物治療が必要な場合が多く,合併症による健康障害で生活に制限が生じることもある.糖尿病をもつ人がよりよいQOL を維持できるような糖尿病治療を行うことが大切であり,QOL/患者報告アウトカム(PRO) の評価尺度を用いた評価がその一助となる. - [Chapter 2] 知っておきたい糖尿病に併存する疾患の最前線
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糖尿病とがんの最前線
135, 3(2025);View Description
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わが国では糖尿病をもつ人の死因第1 位はがんであり,約40%を占める.日本人の疫学デ-タでは,糖尿病はがん全体,大腸がん,肝臓がん,および膵臓がんのリスク増加と関連している.特定の糖尿病治療薬ががん罹患リスクに影響を及ぼすか否かについてのエビデンスは現時点では限定的である.糖尿病治療経過中のがんの発症に留意する.定期的ながん検診を勧めるとともに,明らかな誘因のない血糖コントロ-ル悪化を認めた際には,膵臓がんなどの併発を考慮する.糖尿病を有する場合は,周術期,化学療法中,エンドオブライフなど,がん治療のさまざまな場面での糖尿病管理やシックデイに関する教育が重要である.