Pharma Medica
臨床医・薬剤師を対象に,各種疾患治療に関する最先端の臨床学の学術的トピックスを解説。医学・薬学の中間領域を目指す学術月刊誌。医師の薬学に対する理解を深め,薬剤師にも臨床の啓蒙となる雑誌を基本方針として,近年注目されている臨床薬理学分野からも 高い評価を受けている。
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特集【主役となる補体】
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補体 概論
42, 4(2025);
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補体システムは,自然免疫系の1つで,プロテア-ゼによる補体の分解によって活性化し,そのカスケ-ド反応は進行する.補体の活性化は,外来異物や生体内の不要物に迅速に応答し,それらを除去する働きをもつ.一方,異物と自己細胞を正しく認識し,外来異物の侵入がないときや自己細胞上では,補体の活性化が惹起されないように,巧みな制御機構が備わっている.補体は,凝固系・線溶系,Granzyme Kなどの非典型的経路による活性化や,細胞内で補体が活性化し作用する報告もある.最近,補体活性化と制御のバランスが崩れて発症する補体疾患が注目され,終末経路だけではなく,近位補体を阻害するさまざまな薬剤が使用されるようになってきている.それゆえ,補体疾患の病態や制御状態を反映するバイオマ-カ-の開発も急務である. -
先天性補体欠損症―注目されている遺伝性血管性浮腫を中心に―
42, 4(2025);
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近年,先天性補体欠損症のなかでも特に注目されている疾患のひとつが,補体C1インヒビタ-(C1-inhibitor:C1-INH)の先天的欠損によって生じる「遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema:HAE)」である.HAEは,顔面,喉頭,四肢,消化管など,全身のさまざまな部位に発作性の浮腫を繰り返す.なかでも消化管の浮腫は激烈な腹痛を生じ,喉頭浮腫は突然の窒息死を引き起こす可能性があるため,臨床現場では見逃してはならない重要な疾患である.HAEでは,C1-INHの機能不全によりブラジキニンが過剰に産生され,血管透過性が亢進することで浮腫が生じる.発作時に使用する従来のオンデマンド治療薬に加え,近年,発作の予防を目的とした長期予防薬が次々と承認され,治療選択肢が大きく広がった.長い歴史をもつHAE 診療は,今まさに新たな局面を迎え,飛躍的な進展を遂げつつある. -
血液疾患
42, 4(2025);
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近年,さまざまな疾患が補体(関連分子)異常により発症(補体異常症),または増悪(補体関連疾患)することに注目され,抗補体薬が開発されている.2007年に初の抗補体薬として抗C5抗体エクリズマブが,発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria:PNH)に対して承認された.抗C5抗体の適応疾患は拡大するとともに,さまざまな疾患において,新規抗補体薬の開発が精力的に展開されている.PNH では,血管外溶血という新たな課題克服に向けて,近位補体阻害薬が開発された.また,寒冷凝集素症(cold agglutinin disease:CAD)の治療薬として,抗C1s 抗体が承認されている.本稿では,これら抗補体薬の血液疾患における開発状況について概説する. -
補体と腎疾患
42, 4(2025);
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補体と腎疾患とのかかわりは,血中のC3・C4・CH50の低下や腎免疫染色における補体成分の沈着を認める疾患の存在から古くより指摘されてきたが,ここ数十年でその病態における補体の役割解明が大きく進展した.代表的な疾患は,補体介在性腎疾患と呼ばれる希少疾患の非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)・C3腎症であるが,これまで補体との関係が乏しいと考えられてきたANCA 関連血管炎やIgA 腎症といったより日常臨床で遭遇する腎疾患においても補体の制御異常が病態に深く関与していることが数々の研究で示されている.現在,これらの疾患に対して抗補体薬が国内外で承認され,患者の予後が改善することが期待されている.一方で,補体系は活性と制御のバランスが重要であるとされており,そのシステムへの介入に伴う副作用には十分な注意を要する. -
補体と神経疾患のかかわり
42, 4(2025);
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補体は自然免疫において中心的役割を果たし,自然免疫と獲得免疫をつなぐ機構として知られる.近年,補体が神経疾患の発症・進展に関与することが明らかとなり,治療標的として注目されている.本稿では,補体阻害薬がわが国で適応を有する視神経脊髄炎スペクトラム障害(neuromyelitis optica spectrum disorders:NMOSD)および重症筋無力症(myasthenia gravis:MG)を中心に,補体の関与と治療戦略を概説する.またギラン・バレ-症候群やアルツハイマ-型認知症などにおける補体の関与も報告されており,その他の神経疾患においても補体阻害薬が今後の治療開発において重要なタ-ゲットとなる可能性がある. -
C1qファミリ-分子の神経系における機能
42, 4(2025);
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C1qファミリ-は,C末端に補体と同様の球状C1q( gC1q)ドメインを有するタンパク質であり,ヒトでは33のタンパク質からなる.C1qグル-プはアディポカインとして脂肪細胞や肝臓で合成され,Cblnグル-プに属するC1ql サブファミリ-やCbln サブファミリ-は神経系で高発現する.さらにCollagenVIIIのように細胞外基質の構成分子も含まれる.このようにC1qファミリ-には多様な分子が含まれ,神経系・代謝系・免疫系を越えた多臓器において機能するが,いずれもgC1qドメインがもつ多量体形成能とパタ-ン認識機能が機能の発現に重要な役割を果たしている.本稿では,近年,精神神経疾患との関連性で話題が多いC1q サブファミリ-,そしてシナプス形成分子Cbln サブファミリ-について概説する. - 座談会
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機能性神経障害(ヒステリ-)の医学
42, 4(2025);
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かつてヒステリ-と呼ばれていた症状群は,機能性神経障害(functional neurological disorder:FND)として整理され,脳神経内科領域の疾患となった.しかしその変化は医療者の間でもなかなか認知されず,脳神経内科医の理解度も,いまだ十分とはいい難い.FND の患者数が増加傾向にあるともいわれるなか,医療者への疾患啓発は重要な課題となっている.本座談会では,脳神経内科,総合診療科,リハビリテ-ション科からFND 診療のエキスパ-トの先生方にご参加いただき,各々の診療科の立場から,FND をめぐる諸問題について話し合っていただいた.
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連載
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- 【ゲノム医療の現状】
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神経領域の遺伝学的検査とゲノム解析研究の特徴
42, 4(2025);
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神経内科領域においては,遺伝性疾患を扱う場面が多い.保険診療として行うことのできる遺伝学的検査の種類が増えてきており,診断をつけられる例が増えてきている.また治療法の開発も進んでおり,遺伝学的検査が治療を行うための前提になる場合も増えてきている.一方で,研究として検査を行う必要がある場面も多く,また原因も治療法もない疾患も数多く残されている.広く日本全国でゲノム医療を行う体制を構築しつつ,ゲノムに造詣の深い医師を育成し,ゲノム研究を推進していくことが望まれる. - 【医学・薬学 人物往来】
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第7 回 AJMCの活動から見る,医育機関が直面する課題と展望
42, 4(2025);
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本日は,一般社団法人 全国医学部長病院長会議(Association of Japan Medical Colleges:AJMC)の相良理事長にお越しいただきました.まずは,AJMC の事業内容についてご紹介いただけますでしょうか.

