Therapeutic Research
Therapeutic Researchは、各科の臨床医を対象とした医学,薬学の最新情報を提供する総合月刊誌です。国内外における最新情報やオピニオン,および投稿論文,短報,インフォメーション,会告などを掲載しています。
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Latest Articles
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Information:公益社団法人日本整形外科学会 令和7 年度記者説明会
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「勤労者ロコモ問題」に打ち勝つ-高年齢労働社会で,企業と個人が取り組むべきロコモ対策とは-
46, 11(2025);
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勤労者の高齢化とともに転倒・骨折の労働災害が増加している.また,高齢者だけではなく50歳代でも移動機能の低下が始まっているといわれている.長く働き続けるためには,安全で働きやすい環境づくりに加え,その背景にあるロコモティブシンドロ-ム,骨粗鬆症,加齢変性疾患への対策が個人,企業とも必要である.「勤労者ロコモ問題」について,中村英一郎氏(産業医科大学病院 脊椎脊髄センタ-)が,実態と原因,国内企業の事例を紹介し,健康に長く働くためのロコモ対策を提言した.
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総説
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2型糖尿病合併慢性腎臓病の基礎治療薬としてのフィネレノンとSGLT2阻害薬の位置づけ
46, 11(2025);
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2 型糖尿病を合併する慢性腎臓病の基礎治療薬としてレニン・アンジオテンシン系阻害薬(RASi),ナトリウム・グルコ-ス共役輸送体2阻害薬(SGLT2i),非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(nsMRA),グルカゴン様ペプチド‒1 受容体作動薬(GLP‒1RA)がガイドラインにおいて推奨され,4 pillarsとよばれるようになっている.そして,患者のイベントリスクに応じてこれらの薬剤の導入を最適化することが提案されている.2025 年にnsMRAであるフィネレノンとSGLT2iの同時併用したときの有効性と安全性を検討したCONFIDENCE 試験が発表され,同時併用の有用性が示された.CONFIDENCE 試験をはじめとする併用エビデンスがさらに蓄積され,4 pillarsが適切に使用されることで,2 型糖尿病を合併する慢性腎臓病患者の予後改善が期待される. -
Cardiovascular-Kidney-Metabolic症候群におけるフィネレノンの期待される役割
46, 11(2025);
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米国心臓協会によりcardiovascular‒kidney‒metabolic(CKM)症候群という概念が提唱され,肥満や糖尿病による代謝異常,心血管疾患(cardiovascular disease:CVD),慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)が相互に影響を及ぼしながら重症化することが明らかになっている.疫学研究から,アジア人または日本人と欧米人のCKM 症候群の実態は異なり,日本人は予後が悪化しやすい可能性が示唆されている.非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(mineralocorticoid receptor antagonist:MRA)であるフィネレノンは,2 型糖尿病合併CKD 患者を対象としたFIGARO‒DKD試験およびFIDELIO‒DKD試験において,レニン・アンジオテンシン系阻害薬(renin‒angiotensin system inhibitor:RASi)に追加投与することで,心血管および腎イベントリスクを有意に低下させた.左室駆出率が40%以上の心不全患者を対象としたFINEARTS‒HF 試験では,フィネレノンは心血管死および心不全増悪イベントをプラセボと比較して有意に抑制した.フィネレノンのさらなるエビデンスの蓄積により,CKM 症候群の治療に新たな進展が期待される. -
日本の高齢者におけるヒトメタニュ-モウイルス感染症の疾病負担-RSウイルス感染症との比較を中心に-
46, 11(2025);
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ヒトメタニュ-モウイルス(human metapneumovirus:hMPV)はBernadette G van den Hoogen らにより2001 年に発見された,RS ウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)と同じニュ-モウイルス科に分類される急性呼吸器感染症(acute respiratory infection:ARI)の原因ウイルスの一つである1).hMPV は遺伝子の系統樹解析からA とB の遺伝子群に分かれ,さらにそれぞれがA1 とA2,B1 とB2 のサブグル-プに分類される2).hMPV に関する全国的な疫学情報はないが,年間を通じて呼吸器感染症患者からhMPV が検出されている3).2025 年初めに報告された中国におけるhMPV 感染症の増加を受け4),国内でもhMPV への関心が高まりつつある. hMPV の初感染はおもに乳幼児期に起こるが,1 回の感染では十分な免疫を獲得できず乳幼児期においても再感染すると推測されており,また乳幼児だけでなく成人でも感染が認められている5).hMPV 感染症のおもな症状は発熱,鼻汁,咳などの急性の上気道症状であるが,乳幼児や高齢者では重症下気道呼吸器感染症(細気管支炎,喘息様気管支炎,肺炎等)を引き起こすことがあり,気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患患者の急性増悪にhMPV が関与するとの報告もある5).小児においてはウイルス性の呼吸器感染症の5~10%が,成人では2~4%がhMPV によるものであるとの報告もある5).しかし,hMPV の抗原検査は成人では保険適用がなく,また感染症法に基づいた患者発生の届出も求められていないことから,国内のhMPV 感染症の疫学や疾病負荷に関するエビデンスは限定的である.本稿では,hMPV 感染症の感染症法上の位置づけ,および検査とその保険適用について,類似症状を呈するRSV 感染症と比較しながら解説する.さらに,hMPV またはRSV を含む網羅的な文献検索結果から抽出した文献をもとに,国内での高齢者におけるhMPV 感染症の疫学,疾病負担および国内の高齢者介護施設での集団発生事例についても解説する.
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原著
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低栄養のデイサ-ビス利用高齢者に対する経口栄養補助食品活用が介護事業者の収益に与える影響
46, 11(2025);
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通所介護は,利用者が可能なかぎり自宅で自立した日常生活を送ることができるように,自宅にこもりきりの利用者の孤立感を解消し,心身機能の維持,さらに家族の介護負担の軽減を目的として実施される.利用者は通所介護の施設に通い,そこで食事や入浴などの日常生活上の支援を受けるほか,生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サ-ビスなども日帰りで提供される.また,生活機能向上を目的としたグル-プ活動を通じて,高齢者同士の交流も促進される.さらに,施設では利用者の自宅から施設までの送迎サ-ビスも行われており,利用者が安心して通所できる環境が整えられている1).通所介護を含む介護サ-ビスの利用者数は,2000年に149万人であったのに対し,2019年には487万人と約3.3倍に増加しており,高齢者の介護になくてはならないものになっている2).さらに,将来的には,要介護(要支援)認定者数は2040年には988万人となると推計されている3).このような背景のなかで,在宅介護の重要性がますます高まっており,とくに通所介護の役割は非常に大きい.しかしながら,その重要性にもかかわらず,経営状況は厳しく,2022年度の通所介護の経営状況をみると,赤字事業所の割合は49.6%であり,半数近くの事業所が赤字となっている4).利用率は68.0%で,COVID‒19感染拡大初期の利用控えなどによって利用率が低下した2020年度よりも低い数値である.また,登録者数も減少傾向にあり,利用者の確保が経営課題となっている.利用者である高齢者の特徴として,低栄養状態になりやすく,とくに要介護高齢者ではたんぱく質・エネルギ-低栄養状態(Protein Energy Malnutrition:PEM)となることが多い5).2023年に厚生労働省によって行われた国民健康・栄養調査によると,65歳以上の高齢者の低栄養傾向の者(BMI≦20 kg/m2)の割合は男性12.2%,女性22.4%と報告されている6).低栄養状態の持続は,認知機能低下リスクを高める7)ことや,低栄養の高齢入院患者は,栄養状態が良好な患者にくらべ,在院日数が長く,入院中死亡率が高いとの報告がある8).われわれのこれまでの研究結果から9),通所介護施設(デイサ-ビス)を利用する高齢者507例に対して,MNA®‒SF(Mini Nutritional Assessment‒Short Form)10)のWebフォ-ムを用いて評価を行った結果,138例(27.2%)が低栄養もしくは低栄養のリスクがあることが確認され,低栄養もしくは低栄養リスクのある利用者が経口栄養補助食品(ONS)を6ヵ月間継続摂取することにより,体重,BMI,握力,ふくらはぎ周囲長が摂取前と比較して有意に増加し,入院や入所によるデイサ-ビスの利用中止率が減少することが明らかとなった.そこで本研究では,早期の栄養評価・栄養サポ-トによるデイサ-ビス利用継続率の向上が,介護事業者の収益に与える影響について検討を行った. -
カイコ筋収縮によって高い自然免疫促進活性が見出されたブロッコリ-熱水抽出物によるヒト血球細胞での自然免疫活性化
46, 11(2025);
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菌やウイルスなど,敵をただちに除く自然免疫(natural[innate]immunity)の仕組みが,昆虫からヒトに至るまで,進化上,高く保たれているのは1),敵が変わらないからと思われる.カイコ(Bombyx mori)の幼虫を殺す菌はヒトの病原菌でもあり2),抗生剤が効く2)(いわば「人蟲共通疾患」である)―ヒト色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum:XP)も,大腸菌紫外線感受性変異(uvr)も,同じくDNA除去修復(excision repair)の異常が原因であって,『ヒトから大腸菌まで同じ病気にかかる最初の例』3)なのは,いずれ変わらず紫外線にさらされてきたから,にも似る―.実際,カイコ幼虫に菌の細胞壁成分(cell wall component)を注射すると,免疫細胞hemocyteが活性酸素種(reactive oxygen species)を放出し,麻痺ペプチド(paralytic peptides:BmPP)が成熟,筋肉が収縮するが4,5)―この生物学的意義(biological significance)は,成虫の外骨格(exoskeleton)のように,防御壁(barrier)1)として,筋線維を密にし,身をこわばらせ,さらなり敵の侵入を防ぐことかもしれない―,これを指標に自然免疫を促進する活性が高い素材とし見出されたブロッコリ-(Brassica oleracea var. italica)の熱水抽出物は5~8),ヒト摂取試験(human trial)でNK細胞(natural killer cell;癌細胞や,ウイルスが感染した細胞を殺傷)や好中球(neutrophil;細菌やカビを貪食[phagocytosis])を活性化した9).1日あたり20mL(カイコとヒトの体重差にあわせ,カイコ筋収縮1万活性)を20名28日分,クリ-ン・ベンチで小分けにし,凍結した抽出液を,当日解凍し,飲まれた―被験者から採血し,NK細胞はヒト慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia:CML)細胞K562株の殺傷を,好中球は蛍光ビ-ズの貪食を,摂取の前後で比較した9).このブロッコリ-抽出物(有効成分の名は“Brolico”8,9),実体はペクチン様の多糖類10))はin vitroでマウスのマクロファ-ジ(macrophage)を刺激し,サイトカインの一種,インタ-ロイキン‒12(IL‒12)を誘導した11).NK細胞はIL‒12によって活性化するので12),ブロッコリ-抽出物はマクロファ-ジの刺激を介し,見かけ上,NK細胞を活性化すると考えられ11).今回,ブロッコリ-熱水抽出物が,マウスのマクロファ-ジ11)のみならず,ヒトから採取した血球細胞(末梢血単核細胞[peripheral blood mononuclear cells:PBMC],マクロファ-ジなど単球やNK細胞などリンパ球を含む)13)でもIL‒12を誘導したことを報告する.また,TNF‒α(tumor necrosis factor[腫瘍壊死因子]‒α)のほかに11),GM‒CSF(顆粒球マクロファ-ジコロニ-刺激因子[granulocyte macrophage colony‒stimulating factor])も誘導,これらが協同して好中球を活性化すること(骨髄での分化増殖や血中への放出[GM‒CSF]14),感染組織への移動[TNF‒α]15))が考えられた.さらにIFN‒γ(インタ-フェロンγ)も誘導,ヒト癌CML細胞K562株が殺傷され,NK細胞の活性化12)が示唆された. -
Implementation and effectiveness of recurrent education for pharmacists dispatched to regional mass vaccination sites for COVID-19
46, 11(2025);
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Background: Securing healthcare personnel for mass mRNA vaccination campaigns against COVID‒19 was challenging. Furthermore, preparing mRNA vaccines requires knowledge and skills based on their pharmaceutical characteristics. Object: This study aimed to clarify the effectiveness of vaccine preparation training sessions conducted by Gifu Pharmaceutical University and Gifu University Hospital, in collaboration with the Gifu City Pharmacists Association, for community pharmacists dispatched to mass vaccination sites. Method: After conducting face‒to‒face group training sessions on mRNA vaccines, a skill assessment was conducted for participants without prior injection dispensing experience. Results and Conclusion: Only pharmacists who satisfied the inclusion criteria were assigned to prepare the vaccine. Consequently, over a 6‒month period starting in May 2021, 111 pharmacists required for mass vaccination sites within Gifu City were secured. Furthermore, dispatched pharmacists who had learned the correct techniques through a skill assessment were able to serve the public.
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Information
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Information:日本バイオシミラ-協議会メディアセミナ-
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バイオシミラ-って何?将来も安心して医療を受けるために-乳がん患者,専門医の立場で考える今後の在り方- 持続可能な医療を目指して-がん治療におけるバイオシミラ-の役割-
46, 10(2025);
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バイオシミラ-は,先行バイオ医薬品と同等/同質の品質,安全性および有効性を有しており,医療費の抑制や治療選択肢の拡大に寄与すると考えられるが,十分には浸透しておらず,理解が進んでいないのが現状である.日本バイオシミラ-協議会メディアセミナ-で,乳がん専門医の立場から原文堅氏(愛知県がんセンタ- 乳腺科部 部長)が,バイオシミラ-が果たす役割,今後の取り組みについて解説した.
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Information:製薬協メディアフォ-ラム
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急性呼吸器感染症(ARI)サ-ベイランスと新型コロナワクチンの有効性-情報発信におけるJIHSの役割-
46, 10(2025);
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2025年4月に国立感染症研究所と国立国際医療研究センタ-が統合し,国立健康危機管理研究機構(JIHS)が設立された.急性呼吸器感染症(ARI)サ-ベイランスは,デ-タを収集・分析してリスクを評価し,それを行政や市民に還元してアクションにつなげていくことを目的としており,JIHSではよりわかりやすい感染症情報の提供に向けた取り組みを行っている.製薬協メディアフォ-ラムで,鈴木基氏(JIHS 国立感染症研究所 感染症疫学センタ-)がARIサ-ベイランスと新型コロナワクチンの有効性,その情報発信におけるJIHSの役割について解説した.
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