脳神経外科速報
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特集【当直を乗り切るために知っておきたい主要薬剤マニュアル】
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2. 抗血小板薬
35, 5(2025);
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抗血小板療法は,急性期脳梗塞(特に非心原性脳梗塞)において再発予防と転帰改善のための基本治療である.特に発症早期の抗血小板薬の導入は再発リスクを抑制するうえで極めて重要であり,病型,重症度,出血リスクに応じて最適な薬剤選択と治療方針が求められる.アスピリンやクロピドグレル硫酸塩などの抗血小板薬は,急性期治療の第1選択となることが多いが,抗血小板薬2剤併用療法(dual antiplatelet therapy:DAPT)や,薬剤反応性を考慮した薬剤選択が必要である.また,遺伝子多型によるクロピドグレル硫酸塩への反応性の違いや,出血リスクとのバランスを考慮した薬剤選択が必要とされている.本稿では,急性期脳梗塞における各種抗血小板薬の位置付け,使用法について包括的に解説する. -
3. 抗凝固薬
35, 5(2025);
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脳梗塞急性期の治療戦略は,主に再灌流療法と再発・増悪予防を目的とした抗血栓療法に大別される.心原性脳塞栓症では心腔内血栓形成を抑制する抗凝固療法が再発予防の鍵となる.一方,非心原性脳梗塞に対しては,急性期に選択的トロンビン阻害薬であるアルガトロバン水和物が使用されることがある.アルガトロバン水和物は,フィブリン生成の抑制,血小板凝集の抑制,血管収縮の抑制といった作用を有し,抗血小板薬との併用によって急性期の神経症候の増悪予防が期待される.本稿では,心原性脳塞栓症および非心原性脳梗塞に対する急性期抗凝固療法について概説する. -
4. 中和薬
35, 5(2025);
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日本の高齢化は急速に進展している.総人口に占める65歳以上の者の割合(高齢化率)は,1950年には5%に満たなかったが,1994年には14%を超え,2024年には29.3%にまで達している 1).まさに世界最高水準の超高齢社会である.日本社会の高齢化に伴い,心房細動の有病率の増加や,心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患の増加がみられ,抗血栓薬の服用者数が増加している.抗血栓薬の服用は,心筋梗塞や脳梗塞などの予防に効果的ではあるが,同時に出血性合併症のリスクを伴う.抗血栓薬を服用中の頭蓋内出血の発症率は,抗血小板薬で0.2〜0.3%/年,抗凝固薬では0.3〜3.6%/年と報告されている 2-4).特に抗凝固薬を服用中の頭蓋内出血患者の急性期死亡率は43〜54%と高い 5)が,原因としては発症後も止血の完成が遅延し,血腫拡大によって重症化するためと考えられる.BAT study 6)によると,頭蓋内出血発症後の血腫拡大の割合は,抗血栓薬を服用していない脳出血患者においては18%であったが,抗血小板薬あるいはワルファリンカリウムの服用によって,それぞれ27%,37%にまで上昇していた.さらに両剤併用患者では45%に血腫拡大が認められており,頭蓋内出血の発症や病態悪化に対する抗血栓薬の影響の大きさが理解できる.このような影響は,頭部外傷においても認められている.例えば,軽症頭部外傷患者(意識清明)が画像にて外傷性変化を認める割合は,抗血栓薬を服用していない患者群では6.3%であったが,抗凝固薬服用患者群では8.1%,抗血小板薬服用患者群では12.9%,DAPT(dual antiplatelet therapy)患者群では25.8%であった 7).また,日本頭部外傷デ-タバンクのデ-タから,高齢者頭部外傷におけるtalk & deteriorateの頻度を比較すると,抗血栓薬を服用していない患者群では17.6%であるのに対して,抗凝固薬服用患者群では27.3%,抗血小板薬服用患者群では30.8%,両剤併用患者群では33.3%と有意に上昇していた 8).このように日本の社会構造の変化によって抗血栓薬の処方が増加するとともに,抗血栓薬を服用している頭蓋内出血患者と遭遇する機会は増加している.我々は,適切に抗血栓薬を処方するとともに,出血性合併症に遭遇した際には,適切な対応ができなければならない.本稿では,抗血栓薬による病態悪化を防ぐための適切な対応法について概説する. -
5. 降圧薬
35, 5(2025);
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脳神経外科当直で対応する疾患には,血圧管理が患者の予後に影響するものがある.特に対応する頻度の高い脳卒中,頭部外傷などでは,血圧の変動が二次的な脳損傷や症状悪化を引き起こす可能性がある.搬送時に血圧高値を示す症例が多いため,降圧薬は当直の際に頻用する薬剤の一つである.本稿では脳卒中(脳梗塞,脳出血,くも膜下出血),頭部外傷における疾患別の降圧目標とエビデンス,頻用薬剤(特にニカルジピン塩酸塩,ジルチアゼム塩酸塩)について概説する. -
6. 脳浮腫治療薬
35, 5(2025);
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当直や救急外来では脳浮腫による頭蓋内圧(intracranial pressure:ICP)の上昇に直面する機会が多いが,脳浮腫治療薬の選択や投与法はいまだ経験則に依存しがちである.本稿では国内外の主要ガイドラインを概観したうえで,本邦で長年用いられてきた濃グリセリン(グリセオ-ル),世界的に標準となっているD-マンニト-ル(マンニット-ル),そして近年エビデンスの蓄積が進む高張食塩水,脳腫瘍に伴う脳浮腫の治療薬として使用されるステロイドの特性と使い分けを,実臨床でのポイントに焦点を当てて解説する. -
7. 抗てんかん薬・抗発作薬
35, 5(2025);
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頭部外傷や脳卒中,脳腫瘍をはじめとして脳神経外科で扱う中枢神経疾患の多くでは,様々な状況で合併症としてのseizure(発作)に出合う.この発作はいわゆるけいれん発作であることが多いが,側頭葉てんかんなどでは運動症状を伴わない非けいれん性の発作もある.頭部外傷や脳卒中などの急性期でみられる発作は急性症候性発作とされ,慢性疾患であるてんかんとは区別される.これは,急性症候性発作は脳損傷に伴う一時的な症状であり,慢性期に必ずしも再発リスクが高くないことによる.急性症候性発作は重症例で発症リスクが高いが,特にてんかん重積状態(status epilepticus:SE)に陥ると頭蓋内圧亢進や脳浮腫,過灌流などによる二次的脳損傷の原因となるため,発作の早期コントロ-ルが望ましい.また,頭部外傷や脳卒中のハイリスク症例の急性期や周術期では,抗発作薬(anti-seizure medication:ASM)の予防投与が考慮される.慢性期のてんかんに対するASMの予防投与は無効であるが,発症した場合にはADLへの影響があるためASMの投与が必要となる.本稿では,脳神経外科医が遭遇する様々な場面でのASMの選択と使用方法を解説するが,実際の使用前には,投与方法の詳細を添付文書にて確認されたい.
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