がん看護
『がん看護』は、がんの医学・医療的知識から経過別看護、症状別看護、検査・治療・処置別看護、さらにはサイコオンコロジーにいたるまで、臨床に役立つさまざまなテーマをわかりやすく解説し、最新の知見を提供するジャーナルです。施設内看護から訪問・在宅・地域看護などの看護の場と領域に特有な問題や、告知、インフォームド・コンセント、生命倫理、グリーフワークといった、患者・家族をとりまく今日の諸課題についてもアプローチをしています。
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目次
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特集【骨転移患者への看護のモヤモヤ,すっきりさせましょう!】
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- 知って,すっきり! 骨転移の病態と治療の実際
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まずは,先入観を払拭しよう! 骨転移の症状のある患者に,どう対応する?
29, 5(2024);View Description Hide Descriptionまずは,骨転移に対する誤った先入観を払拭しましょう.① 骨転移は,画像診断をしないと見つからないのでしょうか?② 骨転移はステ-ジ4 なので,外科的に介入しないものでしょうか?③ 骨転移に放射線治療や薬剤は効かないのでしょうか?④ 骨転移は緩徐に進行し,緊急対応はないでしょうか?⑤ 骨折が怖いので,安静臥床でよいでしょうか?⑥ 骨転移の診療は,医師主導で行うのでしょうか? 上記の問い(先入観)に答えられるように,本稿では転移に対する正しい対応を解説する. -
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放射線治療って,実際どうなの? 骨転移に対する放射線治療
29, 5(2024);View Description Hide Description骨転移に対する放射線治療は放射線治療全体の13%を占める1).骨転移をきたしている時点で全身疾患であり,多くの場合は骨転移に対して局所治療である放射線治療を行うことで生存期間の延長は望めない.骨転移に対する放射線治療の目的は,症状の緩和,QOL の維持・向上である.このような目的で行う放射線治療を緩和照射とよぶ.緩和照射は生存期間の延長を目的とする根治照射と大きく性質が異なる(表1). 骨転移に対する緩和照射に期待される主たる効果は,痛みの緩和,脊髄圧迫(両下肢麻痺)の予防・緩和,(エビデンスは乏しいが)骨折の予防となる2). -
リハビリテ-ションはここまでできる! 骨転移のある患者に対するリハビリテ-ションのアプロ-チ
29, 5(2024);View Description Hide Description骨転移のある患者が当面,困っている問題は,痛みがあるために動くことができず,日常生活動作(activities of daily living:ADL)の低下が著しくなり,結果的に人生の満足感(quality of life:QOL)も下がってしまう事態であろう1). WHO 方式がん疼痛治療法2)では,疼痛治療の目標として三段階を示している.第一段階は苦痛のために睡眠を妨げられないこと,第二段階は覚醒しても体動しなければ精神活動を妨げられないこと,そして,第三段階は体動しても苦痛のためにADLを妨げられないことである.ここではこの第三段階を中心に,医学的リハビリテ-ション(以下,リハビリ)をふまえた介入について述べる. 第三段階の具体例として臨床場面で散見されるのは,患者がトイレに行きたい場面である.大部分はレスキュ-薬での対応がなされているようだが,薬物の効果はすぐには現れないので,結局,トイレには間に合わないことがある.トイレに行けたとしても,その後ベッドに戻って安静にしているとレスキュ-薬の効果が薄れるまでの間はオ-バ-ド-ズとなり,その有害事象が強く現れる.このような問題があるので,体動時痛に対して薬物を適応するのは効果的とはいえず,少なくとも安眠確保や安静時痛への対応のような効果は期待できない. -
キャンサ-ボ-ドで,看護師はここまで力を発揮できる! “人を看る”看護力が発揮しやすくなる場づくり
29, 5(2024);View Description Hide Description抗がん治療の進歩とサポ-ティブケアの充実により生命予後が延長した今,多くのがん患者で骨病変が問題になってきている.骨転移自体は生命予後に直接影響はしないものの,quality of life (QOL)に大きな影響を及ぼす.一方で,骨転移を専門とする医療者はきわめて少なく,かかわる多職種の医療者が手探りのなかで対応していることが多い.また,骨転移に関する悩みは,各職種によって異なる(図1). - モヤモヤ解消! 看護の実際
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安静度がストレスな患者に,看護師はここまでできる!
29, 5(2024);View Description Hide Description筆者は,緩和ケアチ-ムの専従看護師として骨転移の痛みのマネジメントの依頼を受けることが多い.その際,痛みにはどのような種類があって,神経症状があるのか,骨折や麻痺のリスクについてなどが検討される. 患者や家族が転移の説明についてどのように思っているのか,安静度のとらえ方や日々の生活で行っている対処のしかたに着目し,対応している. 多くの患者は,痛みが増すと,骨折や麻痺のリスクに対し不安を感じながら,リスク回避のための安静度にもストレスを覚えつつ,表出できないでいる. 本稿では,このような患者の思いを紹介し,援助方法についての気づきを示す. -
骨転移への放射線治療を行う患者に,看護師はここまでできる!
29, 5(2024);View Description Hide Description骨転移のある患者を目の前にして,「どうしたらこの痛みを和らげることができるのだろう」「私たち看護師にできることは何だろう」と,読者の皆さまも日々悩まれているのではないだろうか. 骨転移は,がん罹患患者の10%程度に認められるとされている.また,がん疼痛は骨転移に起因するものが多く,症状緩和において骨転移への対応は重要な位置を占めている. 骨転移診療における放射線治療の役割は,①有痛性骨転移による痛みの緩和,②患者のQOL (quality of life)の維持・向上,③脊髄圧迫による麻痺の予防・改善がある. とくに緩和的放射線治療は,保存的治療で,かつ比較的侵襲の少ない治療でもあり,全身状態が不良な患者でも放射線治療の適応となる.
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