がん看護
『がん看護』は、がんの医学・医療的知識から経過別看護、症状別看護、検査・治療・処置別看護、さらにはサイコオンコロジーにいたるまで、臨床に役立つさまざまなテーマをわかりやすく解説し、最新の知見を提供するジャーナルです。施設内看護から訪問・在宅・地域看護などの看護の場と領域に特有な問題や、告知、インフォームド・コンセント、生命倫理、グリーフワークといった、患者・家族をとりまく今日の諸課題についてもアプローチをしています。
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目次
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特集【通号200号記念特集! 2026年の現在地と未来図〜“進化”し“深化”するがん看護〜】
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【第1章:がん看護の現在地 〜見えているようで見えていないもの〜】ケア現場における“患者中心”の構造的パラドックス
31, 2(2026);
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「患者中心の医療」「患者中心の看護」 1)という言葉は,今日では特別な理念ではなく,制度・研修・ガイドラインなどあらゆる場に一種の“共通言語”として定着している.とりわけがん看護においては,治療選択,意思決定支援,緩和ケア,advance care planning(ACP)など,あらゆる場面で“患者中心”が掲げられ,その実現が当然とされている.しかし現場に立つと,この理念がむしろ形骸化し,制度上の項目を満たすことが「患者中心」を代替してしまっているのではないか,という疑問が生じる.理念を語るほど,その中心に患者がいるのかどうかが見えにくくなる逆説がある.本稿では,この“患者中心”が抱える構造的パラドックスに焦点を当て,その制度化が生み出したズレと,看護が回復すべき本質的な実践について考察する. -
【第1章:がん看護の現在地 〜見えているようで見えていないもの〜】がん医療政策と看護の影響力
31, 2(2026);
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看護職の役割は時代とともに変化してきている.ここでは,医療技術や社会の変化のなかで策定されてきた政策などと看護職が役割を果たしてきた多様な活動を振り返り,今後の方向性を模索したい 1). -
【第1章:がん看護の現在地 〜見えているようで見えていないもの〜】ACPとケアの意思決定〜希望と現実のはざまで〜
31, 2(2026);
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人生の最終段階において,患者自身の意思を尊重し,その人らしく過ごすための取り組みとして,アドバンス・ケア・プランニング(ACP)が注目されてきた.2018年度の調査では,ACPを「よく知っている」と回答した人の割合は,医師22. 4%,看護師19. 7%であったのに対し 1),2022年度にはそれぞれ67. 1%,45. 8% 2)と大幅に増加しており,臨床現場での認知度と関心の高まりが窺える.このように,ACPの概念はこの数年の間で大幅に普及が進んできた.しかし,普及が進んだ今だからこそ,実践の質,制度・システム上の障壁,多職種連携のありかた,文化・倫理的課題など,次の段階の課題が顕在化しつつある.本稿では,ACPが広まった背景と見えてきた課題,今後の展望を考察する. -
【第1章:がん看護の現在地 〜見えているようで見えていないもの〜】多職種連携の深化と課題
31, 2(2026);
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近年,がん医療において,チ-ム医療は当たり前に提供されるものとなった.チ-ム医療に期待される効果は,①医療・生活の質(quality of life:QOL)の向上,②医療の効率性による医療従事者の負担の軽減,③医療の標準化・組織化を通じた医療安全の向上などである 1).がん医学の進歩やがん医療の専門分化と多様化,患者のより質の高く安心・安全な医療のニ-ズを背景に,さまざまな専門性をもった多職種が連携し協働して患者のケアにあたるチ-ム医療は不可欠である.看護師はチ-ム医療のなかで,単なる診療の補助でなく,患者のQOLを向上させるための専門職としてその役割を果たし,高度な看護教育を通してその専門性を発展させている.さらに医師不足などを背景としたタスクシフトの波のなかで,看護師による特定行為など,新たな役割拡大を図っている.看護師の専門性もますます多様化するなかで,改めてチ-ム医療における看護師の多職種連携の深化の過程を振り返り,今後のさらなる発展につなげるための課題について考えたい. -
【第2章:治療と看護の最前線〜技術革新とケアの変化〜】手術療法〜個別化医療の時代における周術期ケアとは〜
31, 2(2026);
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近年,全ゲノム解析やバイオマ-カ-の活用,生活背景をふまえた個別化医療が注目されている.個別化医療とは,患者一人ひとりの体質や病態に合った有効かつ副作用の少ない治療法(オ-ダ-メ-ド医療)や予防法(個別化予防)をいう 1).すべての患者に同一の治療を行うのではなく,遺伝的特性,併存疾患,生活習慣,価値観などを総合的に考慮し,最適な医療を選択することが目的である.周術期ケアにおいても,従来の画一的な対応から,個別性を重視した看護実践への転換が求められている.本稿では,これまでの周術期ケアの取り組みをふまえつつ,今後,個別性に応じた回復支援をいかに高度化させていくかについて概説する. -
【第2章:治療と看護の最前線〜技術革新とケアの変化〜】分子標的治療薬・免疫療法〜看護支援の未来像〜
31, 2(2026);
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近年のがん治療は,従来の外科手術,放射線療法,細胞障害性抗がん薬による薬物療法に加えて,分子標的治療薬による薬物療法や,免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI),CAR-T療法(キメラ抗原受容体T細胞療法)などの免疫療法も普及してきている.これらは「個別化医療」の象徴であり,高い治療効果が期待できる.一方で,ICIの最適投与期間の不確実性や免疫関連有害事象(immune-related adverse events:irAEs)の予測困難性,薬剤特異的副作用への即応などの課題がある.加えて,医療費支出の増加や,収入や資産の減少とそれに伴う患者・家族が経験する不安や苦痛などの経済毒性(financial toxicity)や診療報酬制度の持続可能性も無視できない.看護師は,患者が安心して治療を受けられるよう,症状マネジメント,意思決定支援,生活背景をふまえたケアを担い,現場と制度をつなぐ役割を果たしている.本稿では,分子標的治療薬や免疫療法が看護に与えた影響と今後の展望を整理する. -
【第2章:治療と看護の最前線〜技術革新とケアの変化〜】放射線療法〜晩期有害事象への継続支援の視点から〜
31, 2(2026);
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放射線療法では,がん組織だけでなく,周囲の正常組織にも放射線が影響を与え,治療中に現れる「急性有害事象」だけでなく,治療後2,3ヵ月から数年,時には10年以上経ってから「晩期有害事象」が発生することがある.晩期有害事象は,発生頻度は低いものの,症状が多様であり,臓器の機能障害による慢性的な症状,リンパ浮腫,2次がんなど,がん患者の生活の質(quality of life:QOL)を大きく損なう可能性がある.また,治療後に出現するため,医療者や患者自身も放射線療法が原因となっていることに気づけないこともある.従来の放射線療法に対する看護は,急性期の有害事象と治療完遂に向けた支援に重点を置かれてきたが,長期生存が望めるようになったがん患者にとって,晩期有害事象への継続的な支援の必要性が高まっている.
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