臨床精神薬理
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【展望】
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精神科医療におけるゲノム情報活用の可能性と課題
28, 12(2025);
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ゲノム研究が進展し,精神疾患でも数多くの関連遺伝子の同定が進んでいる.しかし,それらは統計的に有意な結果であることに間違いないが,個々のバリアントの効果量(effect size)が小さいことからすぐには臨床応用が難しい現状にある.それを乗り越えるために方法論の工夫がなされ,ポリジェニックモデルを利用したスコア化(ポリジェニックリスクスコア:PRS)は,集合的に効果量を拡大させることが実証された.他方,薬物選択に直結する薬理ゲノム学的研究(pharmacogenomics : PGx)も解析が進んでおり,精神科臨床への応用も期待される.しかし現状では,これらの結果は十分に精神科臨床で利用されているとは言い難く,さまざまな問題点がある.本稿では,精神疾患のゲノム研究を臨床応用するための現状と課題を,臨床で用いるための「遺伝子検査」として機能しうるか,という観点から考察する. 臨床精神薬理 28:1263-1267, 2025Key words : pharmacogenetics, pharmacogenomics, antipsychotics, antidepressant, genomewideassociation study
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【特集】 個別化医療に向けたゲノム情報活用の現在と未来
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Clozapine の副作用発症予測に対するゲノム情報活用の可能性
28, 12(2025);
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Clozapine は治療抵抗性統合失調症の治療において重要な薬剤である一方,無顆粒球症や心筋炎といった重篤な副作用,さらに体重増加などの副作用を引き起こす.これらの副作用発症には個人差があることから事前に予測することが困難である点が臨床上の課題となっている.薬理遺伝学研究はこうした個人差をもたらす遺伝要因を同定し,副作用リスクを予測するための手がかりをもたらす.Clozapine 誘発性無顆粒球症に関しては,大きな効果量をもつHLA 遺伝子多型が同定され,臨床応用の可能性が示唆されている.また,抗精神病薬誘発性体重増加では,抗精神病薬誘発性体重増加GWAS デ-タに基づくポリジェ二ックリスコア(PRS)が体重増加に寄与することが報告されている.さらに,統合失調症PRS はclozapine 処方量や治療抵抗性の層別化にも寄与することが示唆されている.これらの薬理遺伝学研究の知見を現時点では直ちに臨床に応用することはできないが今後,遺伝情報と臨床情報を統合した個別化医療の実現が期待される.臨床精神薬理 28:1269-1274, 2025Key words : clozapine, pharmacogenetics, GWAS, PRS, schizophrenia -
向精神薬による重症薬疹発現リスクとHLA との関連性
28, 12(2025);
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本稿では,向精神薬が誘発する薬疹とヒト白血球抗原(HLA)との関連性について概説した.台湾人で同定されたHLA-B*15:02 は強力なカルバマゼピン誘発薬疹関連バイオマ-カ-であるが,日本人では頻度が低いため臨床実装が困難であり,代わってHLA-A*31:01 が有用なバイオマ-カ-であることを筆者らが報告した.さらに,日本人においてHLA-B*15:11 がStevens-Johnson 症候群や中毒性表皮壊死融解症と強く関連することを示した.ラモトリギンやフェニトインによる薬疹でもHLA との関連性が報告されている.これらのHLA 検査のうち,HLA-B*15:02 およびHLA-A*31:01 検査が重症薬疹の発症回避に有効であることが前向き臨床研究により実証されている.今後は,HLA 検査結果に基づく具体的な医療介入を明示するため,日本版薬理遺伝学ガイドラインの策定が求められる.臨床精神薬理 28:1275-1281, 2025Key words : carbamazepine, clinical utility, CPIC, lamotrigine, phenytoin -
シトクロムP450 酵素の遺伝子型と向精神薬
28, 12(2025);
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薬物代謝酵素シトクロムP450 は遺伝子型により活性が異なり,東アジア人では他の人種と比較してCYP2C19 やCYP2D6 のpoor metabolizer が多いなど人種によっても対立遺伝子の比率が異なる.向精神薬も大半がCYP の基質であり,その薬物動態はCYP の遺伝的多様性に影響されうる.そのため精神科の薬物療法においても,患者の薬物代謝活性を事前にスクリ-ニングすることで,副作用を避けながら速やかに薬効を出現させるなど,個別化医療に役立てられる可能性がある.一方で,患者が外部機関で遺伝子検査を行い,その結果をもとにした治療方針を希望することも考えられるため,医師や医療機関としてはそのような患者への対応に備える必要があるだろう.現時点では対象とする遺伝子や結果に応じた治療方針などの標準化が課題で,CYP だけが薬物動態や薬効を規定するわけではないので,あくまで副次的な検査ととらえる必要がある.臨床精神薬理 28:1283-1286, 2025Key words : cytochrome P450, CYP2D6, CYP2C19, poor metabolizer, psychotropic drugs -
セロトニントランスポ-タ-遺伝子多型5-HTTLPR の多様性と精神疾患・老年期認知機能への影響
28, 12(2025);
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セロトニンは腸管蠕動運動,血管収縮,血小板凝集などヒトの恒常性維持に重要であり,中枢神経系では神経伝達物質として機能し,睡眠,摂食,性行動,気分状態に影響する.古典的なモノアミン仮説では,セロトニンなどモノアミン枯渇とうつ病との関連が想定され,抗うつ薬の主要な薬理効果はシナプス間隙でのセロトニン再取り込み阻害作用であると考えられてきた.このため,再取り込みを担うセロトニントランスポ-タ-と精神疾患発症リスクや治療反応性との関連について多くの研究が実施されている.本稿では,セロトニントランスポ-タ-をコ-ドするSLC6A4 遺伝子の機能的な縦列反復多型である5-HTTLPR に注目し,その複雑性,精神疾患の発症や治療反応性および忍容性との関わりについて概説する.また,我々が開発した5-HTTLPR 遺伝子型の推定法や,コホ-ト研究の関連解析から明らかになった老年期の認知・精神機能との関係について紹介する.臨床精神薬理 28:1287-1292, 2025Key words : Serotonin transporter, SLC6A4, 5-HTTLPR, depression, cognitive function -
PTSD の治療的介入に対するゲノム情報活用の可能性
28, 12(2025);
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PTSD の主要な治療法は心理療法と薬物療法であるが,それらの効果や副作用には少なからず個人差が存在する.遺伝的要因によって治療反応性や副作用の現れ方が異なる場合,そういった情報が治療選択に役立つ可能性がある.PTSD に保険適用を有する薬剤はparoxetine とsertraline の2 剤であり,うつ病を対象とした薬理遺伝学的研究により,これらのSSRI の薬物動態にシトクロムP450 やP 糖タンパク質をコ-ドする遺伝子の多型が影響することが示されてきている.PTSD は治療選択肢が限られていることからも,そのような遺伝子多型に基づいて個別最適化された用量設定を行うメリットは大きいと考えられる.一方,PTSD の病因や病態への関与が示唆されている遺伝子として,FKBP5 やBDNF,さらには炎症やcyclic AMP 情報伝達に関与する遺伝子がある.これらの遺伝子の多型や発現,DNA メチル化などのゲノム情報は,薬物療法や心理療法の効果予測や効果評価に活用できる可能性がある. 臨床精神薬理 28:1293-1298, 2025Key words : posttraumatic stress disorder (PTSD), genetic polymorphism, gene expression,pharmacotherapy, personalized medicine -
統合失調症に対するゲノム情報活用の可能性
28, 12(2025);
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統合失調症は,双生児・家族研究などから遺伝率が約60-80%と推定され,一貫して遺伝要因の大きな関与が示唆されているにもかかわらず,遺伝子構造も含め,病態メカニズムは未解明な部分が多い.治療の柱となる抗精神病薬の反応性については,有効性や有害事象の個人差は大きく,薬剤の変更や中止に至ることも多々見受けられる.個別化医療に関心が高まっているが,実現には薬物の作用機序に加えて,根本である病態解明も重要な鍵となる.精神疾患は中枢が脳であり,容易に生検ができないがゆえに組織特異的なオミクス解析が困難であるだけでなく,疾患の特性として,多遺伝子の影響下にあり,また環境との相互作用に関連している可能性が高いことが研究の課題となっている.そのような状況下でも,近年はゲノムに焦点を当てた研究が加速度的に進展してきた.本総説では,ゲノムによる病態解明,および薬理ゲノム学(PGx)研究を中心に紹介する.臨床精神薬理 28:1299-1306, 2025Key words : schizophrenia, GWAS, pharmacogenomics(PGx), antipsychotics, precision medicine -
うつ病におけるゲノム情報の臨床応用:診断補助・重症度予測・治療反応性の観点から
28, 12(2025);
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うつ病は主観的評価が診断や治療方針の決定に重要である一方,臨床像や病態に個人差が大きく,客観的な生物学的指標を補助的に用いることで,より精緻な病態理解や個別化医療が期待される.本稿では,うつ病に対するゲノム情報の臨床応用を,「診断・発症予測」「症状・併存症評価」「治療反応性予測」の3 つの観点から整理した.ゲノムワイド関連解析(GWAS)に基づく多遺伝子リスクスコア(PRS)は,発症リスクの予測や双極性障害の鑑別,症状単位での遺伝的基盤や併存症の評価に応用できる可能性が示されている.また,薬物代謝酵素や治療反応関連遺伝子,多様な分子バイオマ-カ-を用いた個別化医療も進展している.さらに,マルチオミクス解析とAI 技術を組み合わせることで,治療選択や投与量の予測精度向上が期待される.今後は,倫理・社会的課題に留意しつつ,遺伝情報と環境要因を統合した精密精神医療の確立が求められる.臨床精神薬理 28:1307-1312, 2025Key words : major depression, GWAS, polygenic risk score, genomic information, drug-metabolizing enzymes -
遅発性ジスキネジアの脆弱性に対するゲノム情報活用の可能性
28, 12(2025);
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遅発性ジスキネジア(TD)はドパミンD2 受容体遮断薬の長期投与に伴って生じる運動障害である.近年,抗精神病薬の適応が統合失調症に加えて気分障害や発達障害,認知症へと拡大しており,曝露人口の増加に伴ってTD 予防と対策の重要性は一層高まっている.2000 年前後の候補遺伝子研究では,DRD3,HTR2A/HTR2C,GRIN2A,CYP2D6,酸化ストレス関連遺伝子などが関連候補として報告されたが,全体として再現性は限定的であった.その後のゲノムワイド関連解析(GWAS)でHSPG2,DPP6,16q24.1(GSE1近傍),TNFRSF1B,CALCOCO1 などが報告されたものの,効果量はいずれもオッズ比1.1–1.4 にとどまり,単独で説明できる表現型分散は小さい.これらの所見はTD が多数の遺伝因子と薬剤曝露・年齢・性別などの環境因子が複雑に相互作用する病態であることを支持している.将来的には,GWAS で同定された効果量の小さいバリアントを多数統合する多遺伝子リスクスコア(PRS)が,臨床リスク因子を補完する予測ツ-ルとなる可能性がある. 臨床精神薬理 28:1313-1319, 2025Key words : tardive dyskinesia, dopamine supersensitivity, candidate gene, genome-wide associationstudy, polygenic risk score -
ゲノム医療時代の精神科臨床における遺伝情報の適正管理と活用
28, 12(2025);
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従来,遺伝学的検査の実施や結果の取り扱いは,匿名処理や診療記録の別保管など,いわゆる遺伝子例外主義に基づいて運用されてきた.しかし近年,3 省2 ガイドラインに準拠した個人情報管理を前提に,電子カルテ上の共有とチ-ム医療での活用に運用が変わってきている.精神疾患の多くは多因子疾患であることから,現時点では臨床診断目的での遺伝学的検査は限定的であるが,電子カルテで共有された遺伝情報の活用,最新知見のアップデ-ト,遺伝医療の専門家との連携体制の構築は,精神科ゲノム医療の基盤をなす.本稿では,国内の関連指針を概説し,遺伝学的検査・診断の基礎知識と運用上の課題を整理するとともに,家族歴に基づくリスク推定を用いた遺伝カウンセリングの実践可能性と留意点を論じる. 臨床精神薬理 28:1321-1327, 2025Key words : genomic medicine, psychiatric practice, genetic testing, data governance, genetic counseling
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